学会を作ろう6

しばらく休んでいましたが、再開条件がある程度整いましたので、今日は6です。簡単に1〜5をまとめます。、

  1. では、医療事故に対する専門家による公平な第3者機関として医療事故防止学会を作ろうでした。
  2. では、学会を作るのは簡単ではないので既製の学会で近い路線のものは無いのかと言うものです。現在のところまだ見つかっていません。
  3. では、どうも既製の学会に相応しいものは無さそうなので、実際に作るならどこから手をつけるかを考えました。学会自体は自由に作れそうですが、問題は学会の信用性で、信用性を得るためには、有力な発起人を集める必要がある事がわかりました。
  4. では、学会を作る原動力の機関として、「周産期医療の崩壊をくい止める会」を活用したらどうかの提案を実行した事です。
  5. では、学会の目的は、臨床の最前線の医者が納得する医学常識としての「正しい医療」を確立する事です。
ところでこれだけシリーズでやっていて、実はよくわかっていないのは、普通の医学会の活動は何をしているのだろうと言うことです。学会活動にお世辞にも熱心といえない末端会員が関与するのは、せいぜい年に何回か(全国、ブロック、地区レベル)開催された時に聞きにいく、もしくは何か演題を抱えて発表しにいくぐらいです。後は学会誌が郵送されてきて、学会費を請求されるぐらいかなと思っています。

非常に杜撰な理解しかできていないのですが、知っている限り目に付く活動はそれぐらいです。後はたぶん特定のテーマ(治療ガイドラインみたいなもの)についての作業委員会みたいなものがあって、総会とは別に定期的に審議されているのかな?とも思っています。この辺は学会の性質により異なるのでしょうが、それ以上は何をしているのでしょうね。詳しい方がおられたら、簡単にレクチャーしていただけると助かります。

今回構想している学会は、少し毛色の違う活動が必要と考えています。従来の学術総会的な活動も必要でしょうが、日常活動もかなり重要と考えています。また多忙な最前線医師の参加が不可欠とも考えます。そうなるとどこかの大会議場に、そう何回も集まるわけにはいかないのは当然です。そうなると多数の人間が意見を交換できるWEBの力を利用しない手はありません。

WEBの進化は凄まじいものがあります。20年前とは言わず、10年前と較べてもWEBの普及率は格段に上がり、今でも使えない医者はいるかもしれませんが、大多数がメイルぐらいは使えるでしょうし、掲示板に書き込みぐらいは可能になっていると思います。今でも使えない方には気の毒ですが、日常活動はWEBを利用したものにするべきでしょう。

WEBでの議論方式となるとやはりBBSということになります。BBS方式の利点と欠点は4月6日付で触れましたし、ご意見も頂いています。少しまとめておきます。

  • 完全匿名式では本音の自由な意見交換が可能であるが、匿名であるが故の暴論、極論、無責任な発言が懸念される。また「荒らし」と呼ばれる、議論を混乱させる事のみを目的とする者の排除が難しい。
  • 完全実名式にした場合、暴論、極論、無責任な発言、荒らしなどのデメリットは防げるが、発言者の実名が知れ渡り、本音が抑制され、さらに名前が出ることにより参加意欲が抑制される可能性がある。
  • 匿名式と実名式の両方のメリットをそれなりに活かすには、BBSの参加者を登録制にし、BBS上では匿名であるが、管理者は発言者の実名をいつでも特定できるシステムが良いのではないか。
いたって平凡ですがとりあえずこれぐらいの設定なら、そこそこの議論の場がもてるのではないかと考えます。BBSの場に特定の議長役を置く必要性も指摘されましたが、議長役の負担はあまりに重く、またBBSの場では議論重ねる事により、議長役無しでも、とりまとめ役は自然に出てくるとのご意見もあり、議長と言うより管理者的な者がいれば十分と判断します。

また学会におけるBBSは一つに集約するのではなく、ある程度階層的なものを考えています。たとえばm3.comのようにある程度誰でも自由にスレをたて、それについてざっくばらんに意見交換をする一般部会のような場と、特定の議題に責任をもって結論に近いものを出す専門部会のような場は分けておいたほうが良いような気がします。もちろんこの二つは独立しているのではなく、一般部会で出て来た議題を専門部会で煮詰めるようなスタイルが好ましいかなと考えています。

最後の問題は公開性です。この学会のもつ目的として、世間へのアピールも必要と考えています。福島の事件でも医者の専門用語が飛び交う議論を理解しようと努力する一般の方も少なからずおられました。医者同士の議論を生で読んでもすぐには理解は難しいかとは思いますが、情報発信は大事ですし、結論の構成過程をできるだけガラス張りにすることは、一般の方のみだけではなく、医者にとっても必要だと考えます。

学会で議論した結論を受け入れてもらうためには、結果としての結論だけではなく、議論過程を共有する事が非常に大事と考えます。できうれば医者以外の人間にも、最低限理解できるような工夫を凝らしておく配慮が必要だと考えます。

公開性の話はちょっと手強いのでこれはまた後日に。