民主党自爆テロ

たしか今回の国会ではマンション強度偽装問題、ライブドア疑惑、BSE問題と最初から与党サイドがボロボロとエラーをしてくれたはずですが、民主党が偽装メイル問題で自爆、ひょっとしてこの辺の問題も一所にふっ飛ばしてしまったような感じです。

本来は別問題のはずですが、国会論理の不思議なところで、追及野党がへこむと他の問題も道連れ消滅した事が多々あります。今回も同様の経過をたどりそうで、しょせんはその程度の問題であったという事でしょう。

巷では偽装メイルより大事な事があるだろうとの議論が多いようですが、1/3野党では何も出来ないのではないかと私は感じています。財政問題社会保障問題、外交問題にしても対案を出したところで、与党は聞く耳持たずで、新人議員の質疑練習の茶番でオシマイです。

最後は抵抗しようの無い数で圧倒される宿命があるのですから、数に関係ない疑惑追及に活路を見出す戦略自体は理解します。理解はしますが、証拠能力薄弱なメイル1枚ではどうしようもありません。結局民主党が血相変えて追求した根拠が黒塗りメイルで裏も表もないのなら、批判は甘んじて受けざるを得ないでしょう。

小さくなった民主党が弱体勢力で臨む国会への戦略は存在感を示す事です。何を言っても巨大与党が数の力で押しきってしまうのはしかたないとして、その中で自民党の失点を厳しくとがめ、民主党ならこういう政策を断行するとアピールし、与党はこんないい加減な事をやろうとしているんだを暴き出し、一方で民主党なら違う期待を持てそうだの印象を持たせることが、次回選挙への長期戦略の基本であるはずです。

自民党の疑惑追及はそういう戦略上で必要でしょう。必要でしょうが、なんでも追及すれば良いわけではありません。追及したからにはポイントをあげないといけません。今回程度の材料で追及をしたら駄目だとは言いませんが、材料の価値と稼げるポイントの設定がいかにも甘すぎます。

今回程度の材料なら「どうもいかがわしい事をやっていそう」の印象点を稼ぐのが精一杯です。当の幹事長が「私は清廉潔白」と顔を真っ赤にして熱弁を振るわせれば、「やっぱり武部はクロだな」と誰もが思いますし、その辺で材料不足で幕引きにすれば「惜しいな、あの手の古狸は簡単に尻尾を出さないな」で疑惑だけ深くなってポイントを稼げたはずです。

ところが民主党執行部は何を血迷ったのかこの程度の材料で幹事長を辞職させ、政権を揺るがそうとまで妄想を抱いてしまったようです。相手は与党の要職を占める人物です。与党だって面子にかけてガードするはずです。疑惑を罪状に変化させるためには明々白々の切り札的証拠が必要です。それを確実に握り締めて初めて出来るものです。

うがって考えると民主党はブラフをかけたら自民党内の反小泉派が蠢動して、新たな材料が手に入り、そこから自民党分裂、政界再編、解散総選挙から政権奪取まで夢見ていたのかもしれません。もしそんな事まで計算していたのなら、痴人の夢です。自民党小泉政権の幕切れが近づいているので、有力者はこの巨大与党を継承しようが政権戦略です。与党と野党の議席差はかけ離れています。10人や20人が民主党に走ったところで、政権構造に変化はありません。

代表就任後から勇み足の目立つ前原氏ですが、今回の件でも思い切り味噌をつけたしまいました。頭を下げて謝罪会見をし、全面降伏する姿は「前原じゃダメ」という印象を思い切り植え付けてしまいました。こりゃ次期代表選は前原続投で一本化なんて夢の夢で、一波乱も二波乱もある権力ゲームが展開されるでしょう。

前回の選挙で有力者がかなり落選していますから、最終的に小沢氏あたりに落着すれば、あの人は排除の理論が強い独裁者ですから、民主党の方が分裂弱体化するような気もします。やっぱり民主党は万年野党、2005年体制として後世に語り継がれるかもしれませんし、10年後ぐらいには今の社民党のように弱小野党に落ち込み、選挙のたびに存亡の危機になっているかもしれません。

政治も閉塞してますね〜。