続爺医のひとりごと

 大腸癌だけでも複数の診療科が必要になる今の医療システムですが、当然ですが現在の勤務医の医師たちは、

    それが当然
 こう考えておられます。これは責めているのではありません。そういうシステムの中で働いていればそうなる以外にしかありません。私は患者の立場として面倒だとか、効率悪いと感じましたが、世の中に完全無欠なシステムなど存在しません。

 それになんだかんだと言っても、ちゃんと動いていますし、わたしもちゃんと治療を受けられました。ですから基本的には私が感じたデメリットは患者側からすれば受忍範囲内とするのが良いと見ています。

 ただこういう医療システムが前提として構築されていますから「専門外」の意味は大きくなります。専門外の意味するものとしては少なくとも2つ考えられます。

  1. その分野の診療能力を欠いている
  2. 十分な知見の無い分野に手を出すリスク
 1.はよくわかります。医師は全診療科が出来る建前にはなっていますが、たとえば小児科医である私のところに切った貼ったが必要な外科患者が来られてもお手上げです。来るだけ無駄な時間になります。

 2.についてはJBM問題が今も猛威を振るっています。善意とか、好意とか、やむなくで手を出しても結果不良になれば、

    訴えてやるからクビの皮を洗って待ってろ
 これが起こるリスクが一定確率で生じます。これで拗れれば医師人生を棒に振ります。本音で言えばハイリスク・ノーリターン案件です。ドライに言えば、無理して手を出したからと言ってBJのように巨額の報酬があるわけじゃないですし、お手当は変わりません。

 そういう現状を是認するかと言われたら返答に困る部分は医師の倫理としてあるのですが、だからと言って、

    医師たるものなら・・・
 これだけでゴリ押しされても辟易するだけです。そういうゴリ押しは昭和の時代なら普遍的でしたし、私もそういうタイプの指導医に育てられた一人ではあります。ですが今は令和も6年になっています。

 医師個人の倫理に押し付けてマウントを取ろうとするのは時代錯誤も良いところかと存じます。成功体験は人に自信を与えますが、成功体験に固執すれば思考が頑迷になり、弊害を撒き散らせば老害となります。

 そんな医師が今でもラッパを吹かれまくっているのを見かけて、ふと感じた次第です。これじゃ、バランスが良くないですね。具体的な改善提案もされていました。

    オレのような救急医スキルをすべての医師が身に着ければ万事解決♪
 これがどれだけの医師の賛同を得られるかは未知数とさせて頂きます。