爺医のひとりごと

 このブログは新小児科医のつぶやきなのですが、ここに付いている「新」は新人とかの意味じゃないのを知っている人は・・・もうおられるかどうかは疑問です。

 そんなに捻ったネーミングじゃなく先代に小児科のつぶやきがありまして、これがシステムトラブルでぶっ壊れて、はてなでやり直した時に「新」としただけの理由です。ですから書いているのはアラカンの爺医です。

 爺医ですから現在の医療の最前線からは遠ざかってしまっています。かつて医療問題を取り扱っていた時期もありましたが、やめてしまったのは最前線の現場の肌感覚から遠ざかり過ぎたのも理由の一つです。まあ、結構書いたのでネタ切れになったのも大きいですけどね。

 そんな爺医が久しぶりに最前線治療に接する機会が巡ってきました。あんまり巡り合いたくない原因でしたが大腸癌です。あははは、エライ目に遭いました。まだまだ再発リスクに怯えていますが、とりあえず生きています。

 治療中は自分の事でさすがに精一杯でしたが、今から思うとラッキーな面もあったと思っています。大腸癌は大病ですが、幸いにして他に持病がなかったことです。高血圧が見つかってしまったのは愛嬌としておきます。

 何がラッキーかですが、大きな病院になるほど診療科ごとの壁が高くなるのは実感しました。大腸癌一つでもそうです。手術するのは消化器外科ですが、大腸ファイバーとか胃カメラをするのは消化器内科で、化学療法は腫瘍科です。

 ケモが腫瘍科なのはまだわかるとして、大腸ファイバーつうかこの時に見つかった大腸ポリープは消化器内科の担当になります。それも当然そうな話ではありますが、大腸ファイバーをやってもらうだけで消化器内科を受診し、そこで予約を取り、さらにはその結果を消化器内科に聞きにいかなければなりません。

 これでも仕事をしてますから、そのたびに診療のやり繰りが必要になります。ですけど、大腸ファイバーの結果は消化器外科も共有していているのです。そこで問題が出ればともかく、先に消化器外科で結果を聞いていても消化器内科でも結果を聞かなければならないのは正直なところ手間でした。

 ついでに言えば膵臓にcystも見つかり発がんリスクがあり要フォローとはされましたが、これもまた別建てです。これだって実質なにをやっているかと言えば画像フォローのみです。それだったらと思うのですが、病院とはそういうもののようです。

 ここも誤解を招いたらよくないのでお断りを入れておきますが、各担当医はよくやってくれています。ですがトータルのシステムとしてどうなんだろうと感じた次第です。事は病院受診ですから、受診するたびに良くて半日仕事、これが一日仕事になるのも珍しくないですからね。

 その辺は静脈ポートを抜去したのを機に個人的に一本化に持ち込めたので良かったですが、これだって・・・長くなるのでやめておきます。

 そういうのが現在の治療システムと言えばそれで終わりの話なのですが、なるほど、だからあれだけ総合診療医の導入があれだけ叫ばれた時期があったのだと痛感した次第です。その総合診療医がどうなってしまったのかも長くなるのでやめておきます。

 ここまでが最前線の病院治療を受けた爺医の本音の感想部分です。批判的に受け取られる方は多いとは思いますが、医師でも患者として経験したら、それぐらいの感想は抱くぐらいのお話に過ぎません。

 これを踏まえて明日に続きます。