元寇みたいな話 その3

 元寇はこれまで映画にも大河ドラマにも取り上げられていますが、記憶にある限りヒットしたものは無かったはずです。ですが素材は良さそうな気がするのです。迫りくる世界帝国の脅威、これを迎え撃つ日本軍であり、なおかつ日本が勝っています。なのに元寇物はヒットしていません。あれこれ理由を考えたのですが、

    主役が現場にいない
 日本側の主役は幕府執権の北条時宗になるはずですが、見せ場での存在感が希薄です。あれこれ思い出そうとしても、ひたすら鎌倉にいるだけで、ドラマ的な見せ場が乏しすぎる気がするのです。そうですね、1日で決着がついてしまった文永の役はともかく、せめて弘安の役は陣頭に立って欲しかった。

 そうしなかったことは戦略的に良かったの評価はあるのでしょうが、ドラマとしては主役であるのにインパクトが乏し過ぎます。ですが、時宗が主役なので、ドラマ的にはひたすら鎌倉での考慮シーンとか、会議シーンが展開してしまいます。

 近いものとして源平合戦時の頼朝がいます。頼朝も鎌倉にひたすらいましたが、その代わりに義経と言う華が活躍してくれます。ですが元寇には義経的な存在もいません。

 結果としてクライマックスになるはずの博多での戦いに、存在感のある立役者が不在になるぐらいの関係でしょうか。比較するのも申し訳ないですが、川中島みたいに両雄が対峙する合戦シーンになりようがありません。

 それと元寇には文永の役、弘安の役と2回ありますが、重点を置くのは弘安の役になりがちです。これもわかるところがあって、弘安の役の時の元軍の規模は、上陸戦としたら、次に出現するのがノルマンディー上陸戦になるぐらいだそうです。

 ですが、弘安の役の展開はシーンとしては地味です。元の東路軍は博多湾に築かれた石築地の突破をあきらめ、主力ある江南軍の到着をひたすら待ちます。ですから、停泊する東路軍の船団への襲撃ぐらいに終始してしまいす。そしてようやく江南軍が到着したら台風です。

 こんな合戦経過にカタルシスを持たせるのは難しい気がします。ここも何度も石築地突破を試みる元軍と日本軍との激しい攻防戦があり、それこそ時宗が陣頭で采配を揮えば絵になるのですが、そうはならなかったのが弘安の役です。

 その辺を組みなおせる話が出来ないかとあれこれ考えたのをそのうち発表する予定です。