青春のノスタルジック・カー

 クルマは何台か乗り継いでいますが、思い入れが一番深いのが初代のミラ・ターボ。L55Vとするらしいですが、あの時のミラはヒットしていました。

 ミラにターボ・バージョンが出たのが1983年10月になっていますが、1985年11月に二代目のミラ・ターボが出ていますから、購入したのは1983年から1985年の間になるはずです。たぶんですが購入したのは1984年だったはずです。

 美化された過去の記憶の中では良く走ったと思いますが、改めてスペックを確認してみると、

    直列2気筒550cc OHCキャブターボ、41馬力、5.7kg-m
 今なら笑われそうなスペックです。この頃から後に軽の規格変更があり、排気量も660ccになり、馬力も64馬力まで跳ね上がる事になります。アルト・ワークスとかミツビシ・ダンガンの時代です。

 美化された記憶を引きはがしながら実際はどうだったかですが、急坂は苦手でした。六甲山を登るのにも苦戦しましたし、西名阪国道の五条坂もそうです。

 どちらかと言うとドッカン系のターボで、パワーバンドから落ちると一遍にカメになったはずです。そうやって一度落ちると上がってこない感じです。ですから一度遅いクルマに捕まるとガタガタって感じです。

 それでも平坦地では問題を感じませんでしたし、山陽道の下りではメーターを振り切るぐらいの速度は出ました。もっとも下りに続く登りで100kmまで落ちましたけど。(若かりし頃のヤンチャと目を瞑って下さい)

 オプションでエアコンもありましたが、これの効きは悪かった。真夏にランチのために駐車して温度が上がると手に負えないぐらいです。さらにエアコンによる馬力落ちは著明で夏は苦手だったかな。窓を開けて熱風が入るよりマシ程度だった気がしています。

 軽だからそんなもんだですし、とにかく40年近く前のクルマですから、やっぱりそんなもんだろうでしょうが、現在の軽との比較でちょっと引っかかる点があります。これも今となっては信じられないかもしれませんが車体重量が驚愕の、

    550kg
 現在の軽は安全規格のために重くなっています。たとえば売れ筋の軽1boxなら1トン近くあります。ですからPWRだけなら軽1boxターボを凌駕します。この辺はエンジン特性とかもありますから、PWRだけで語るのは無理はありますが、速さだけなら変わらないかもしれません

 もっとも今の軽と較べると内装は貧弱でした。とにかく小物を入れるところがなく、フルトリムでさえなく、ピラーなどは鉄板剥き出しで、マグネットを付けるのに重宝していました。ドアを閉めても『バシャーン』で、いかにものペラペラ感満載でしたからね。

 それと今の軽との最大の違いは乗用車ではなく、軽ボンバン。そう4ナンバーのトラック扱いでした。そのために荷物室がやたらと広く、その代わりに後部座席はホンマのオマケです。短距離の移動なら耐えられても、旅行なんて絶対無瑠です。足さえ入りにくいぐらいでしたし。

 記憶の中では快走してくれていますが、今乗ったらウンザリしそうな気はします。それでも青春時代の一番楽しかった頃の思い出はこのクルマにすべてあり、このクルマが最高に楽しかった記憶は棺桶まで持って行くのは確実です。