ロータリー・エンジン

 ちょっと都合で調べたのですが、思い起こすとエンジンの構造とかを勉強したのは中学の技術以来で、理解するのに一苦労させられました。まず内燃機関はオットーサイクルで働くのですが、これは辛うじて覚えていました。

    吸気 → 圧縮 → 膨張 → 排気

 4サイクルエンジンがわかりやすくて、

  1. ピストンが下がると混合気が送り込まれる
  2. ピストンが上がってくることで圧縮される
  3. ピストンが上がりきったところで膨張(爆発)
  4. 膨張によりピストンが下がり、次にピストンが上がる時に排気

 大昔に試験に出た気がします。ロータリーは繭型のハウジングの中をおむすび型のローターが回転する形式ですが、ローターが三角形なので3か所の燃焼室が出来ます。これがクルクル回るのですが、

  1. まず吸気が行われる、
  2. 次に回ったところで圧縮が行われる
  3. そこで点火され膨張が起こる
  4. 排気が行われる
 ローターが1周するうちにオットーサイクルが終了するのがロータリーになります。これが3つの燃焼室で同時進行で行われるので、最初の燃焼室では吸気が、次の燃焼室では圧縮が、さらに次の燃焼室では膨張が行われている事になります。

 ここまでなんとか理解するのも一苦労だったのですが、エンジンの回転数の話が出てきます。レシプロエンジンはピストンによる上下運動を回転運動に変える必要があるのでクランクシャフトを回します。4サイクルエンジンならピストン2往復、つまりクランクシャフト2回転に1回で爆発が起こります。

 ロータリーエンジンでは、ローターが1回転する間に3回の爆発が起こりますが、この間にレシプロではクランクシャフトに該当するエキセントリックシャフトが3回転します。つまりエキセントリックシャフト1回転につき1回の爆発が起こります。

 この事により理論値では4サイクルエンジンにくらべ2倍の出力を得られるとなっています。他にもテンコモリあれこれ説明があったのですが、細かい技術的な説明はお手上げでサジを投げています。


 ロータリーの出力は同じ排気量なら理論値で2倍ですが、実際のところは1.5倍程度になるようでレシプロとの排気量換算でロータリー係数として1.5が掛けられます。たとえば1000CCのロータリーならレシプロで1500ccと同じとするものです。どうしてそんな換算をする必要があるのかのはっきりした根拠が見つからなかったのですが、

    ロータリーエンジンは、おなじ排気量のレシプロエンジンより高出力で燃費が悪い傾向があるため、実際の排気量で分類するとレシプロエンジンと不公平が生じる。
 おおよそこんな理由になっているようでした。わかったような、わからないような理由ですが、レースならまだしも理解可能です。レースはカテゴリーがあり、参加車の条件を公平にする必要が生じます。F1ぐらいがわかりやすいですが、かつてターボ全盛時代がありました。

 今はなくなったのはレースではターボ係数が存在し、これが実に1.7だそうです。ここまでの係数が掛けられるとNAに太刀打ちできなくなったぐらいの理解で良いと思います。

 ですが、ここで違和感を感じてしまった次第です。エンジン出力を上げるためにターボは今も頻用されます。日本では少ないですがスーパーチャージャーもあります。市販車をターボで出力アップを行っても排気量の扱いは同じです。エンジン回転数あたりの爆発で比べるにしても、これも今は少なくなりましたが2サイクルエンジンなら、1回転につき1回の爆発になります。

 最近のターボは昔のターボに較べて燃費は各段に良くなっているそうですが、かつてのターボ車は出力アップの引き換えとして燃費は良くないものでした。2サイクルエンジンも然りです。

 どうしてロータリーだけここまでの冷遇を受けたのだろです。ロータリーエンジンにも様々な欠点がありますが、本来はかつてのターボ車のような魅力をもつはずだったものの気がします。

 ここも今のエンジンは高出力から、燃費重視まで様々なエンジンが存在するので話が見えにくくなりますが、かつて、そうですね、私の父親の時代の排気量の認識は、

    排気量が大きい方がパワーが強い
 これは今でも究極では同じのはずです。世にロータリーエンジンが送り出された時はもっとそうだったはずです。つまり1000ccなのに1500ccと同じパワーを持つエンジンです。その代わり1500ccより燃費は落ちるぐらいです。これってターボ車が登場した時のコンセプトと同じとしか思えません。

 ロータリーの欠点は様々にありますが、あれだって改良の余地はあったはずです。つうか、レシプロ並みの開発資金と情熱を傾けていれば変わった可能性は十分にあると思います。

 調べているとエレジーを感じてしまいました。