競技カルタ:囲い手

 映画ちはやふるの中で印象的だったのが囲い手。これが発生するシチュエーションはちょっと特殊で良さそうです。そのためには決まり字ルールを知っておいた方が良いと思います。

 決まり字とは下の句の札を特定できる字のことです。最初の一文字で特定できる一枚札から、十六枚札まであります。競技カルタでは決まり字が出るまで札に触れるのは無効になる規則もあります。つまりはフライング禁止です。

 とはいえ87首が三文字以内に決まり字が出ますし、決まり字も歌が詠み進むにつれて変わります。この辺は空札と呼ばれる持ち札に使われていない札とも関連します。空札は五十枚もありますから、競技開始時点で本来は二枚札であったものが一枚札になっていたり、四枚札が二枚札になっていたりはある事になります。

 つまりって程ではありませんが、囲い手が使われるのは決まり字までの文字数が長いものになります。三文字程度で決まり字が出る札で囲い手なんてやってるヒマがないからです。

 決まり字までが出るのに時間がかかる札に大山札があります。3種6枚なのですが、第一句では決まり字が出ず、第二句の最初の文字が決まり字になります。これもさらにがあって、第一句と第二句の間には、少し間が出来ます。

 では大山札が出た時に囲い手が使えるかと言えばそうとは限りません。その時点で一枚になっていたり、既に一枚が空札として詠まれていたら決まり字が繰り上がってしまうからです。

 では二枚とも持ち札に残っていたら囲い手を使うかと言えば、どうなんでしょう、私は競技者ではありませんからわかりませんが、1/2の確率で使うこともあるかもしれません。

 一番使いそうな状況をあれこれ考えたのですが、自陣の持ち札に大山札が一枚あり、なおかつまだ2首とも詠まれていない状況ならありそうです。この時には第一句の時点では、出札か空札か不明だからです。そこで囲い手にしておいて、第二句で決まり字が出た瞬間に押えてしまうぐらいの使い方です。

 それでもいつも囲い手を使えるかどうかは疑問です。囲い手の基本は小指側を畳に付けて札を覆うとされます。もちろん親指側を付けても良いのですが、この時に左右に札がある状況なら使えないと思います。上記した状況で空札ならお手付きが発生するからです。

 囲い手のバリエーションで、単に札の上に手をかざすもあるようなので使われるのかもしれませんし、大山札の配置を常に囲い手を使える状況にするのが基本なのかもしれません。

 他に絶対使われるシチュエーションとして運命戦があります。運命戦とは大接戦の末に双方に一枚ずつ札が残っている状況を指します。後はどちらの札が先に詠まれるかだけの勝負になるので、お互いは自陣の持ち札をガッチリ囲い手でガードして運命の瞬間を待つからです。

 運命戦も映画では良く使われていましたが、実戦ではどれほどの頻度で発生するのでしょうね。