旅への誘惑

 小説で旅に出るシーンがありますが、実際に経験したものはともかく、どこかで聞いたことがある程度のものは当然ですがディテールは書きようがありません。当たり前ですが知らないからです。その辺は画像じゃないのでいくらでもボヤかす事は出来るのですが、リアリティというか臨場感を出したい時があります。

 ネットで情報をあれこれと調べるとわりと情報は集まるのですが、テキスト情報や静止画では自ずから限界があります。もちろん有用で乗り物なら時刻や料金のかなり詳細な情報が入りますし、宿も間取りだとか、料金の情報がわかります。旅先の名物であるとか、観光スポットの情報なんかも小道具に使えます。

 旅そのものが話のメインではないので、これぐらい集まれば後は想像でなんとでもなるのですが、最近の作品で東京に行くのに旅費の節約に知恵を絞るエピソードを出しました。時代は近未来ぐらいの設定で、リニアが大阪まで延伸されてるぐらいの話にしています。

 舞台の中心を神戸にしているので、大阪までリニアが延伸されていると1時間半ぐらいで東京に行ける事になりますが、料金は現在想定されている設定なら1万7000円だそうです。往復で3万5千円ぐらいになりますが、この出費が手痛いので節約したいぐらいです。

 そこで捻くり出したのが高速夜行バスで、シーズンのもっとも安い時期なら片道1500円ぐらいなのです。そんなに安いのかと逆に驚いたぐらいですが、そうなると安いなりの苦労譚が欲しくなります。つまりは道中描写です。これもあれこれ情報を集めていたらちゃんと経験談がありました。

 コロナ禍で最近良く見ているのがYouTuberで、やりそうだと思っていたらしっかりありました。動画ですし、もろの経験談ですから非常に参考になりました。世の中の進化は楽しいものです。

 この東京行きも当初は寝台特急を使おうと考えていました。料金の問題もありましたが、もっとネックになったのは東京行は三ノ宮に停車するのですが、下りは停車せずに姫路まで行ってしまう点です。発着時刻も使いにくくてボツにしています。結論的には神戸から寝台特急を利用するのは無理があるぐらいです。

 その延長線上でフェリーも調べていました。この場合は神戸・大阪から東京を結ぶフェリーはないので、行先の変更も含みますが、こっちも調べると楽しかったです。イメージとしてフェリーは長距離トラック御用達ぐらいでしたが、船内の設備はかなり充実しています。

 料金もクルマを使わなければリーズナブルです。というか、メインがクルマを使う乗客で徒歩乗船客はサービス価格になっている気がしました。

 これもYouTuberがあれこれ乗船経験記をあげていますが、庶民派クルーズみたいな様相でした。値段はそれなりの部屋を使えば、そうですね、それぐらいのホテルに泊まるぐらいでしょうか。そこそこならビジネスホテルぐらいです。安い部屋なら蚕棚・・・寝室もそれ相応ってところです。

 まあクルーズ船でないので、豪華なレストランの代わりにファミレスぐらいの食堂があり、船内アトラクションはありません。その代わり、かなり立派な大浴場があるのが日本の特徴かもしれません。

 あれこれ見てるとフェリーでの船旅をしたくなりましたが、無理がありますね。料金はともかく、そんなにノンビリとした休みをまとまって取りにくいのが最大の問題です。それと神戸からフェリーに乗るまでは問題ないのですが、着いた後の足に困ります。

 都市に住んでいると公共交通機関だけでクルマはさして欲しいと思わないところもありますが、少しでも地方に行くとムチャクチャ不便です。というか、ちょっと観光するにもクルマで動くのを前提としているところが多くなります。さんざん誘惑されましたが、指をくわえてディスプレイを見てるだけで終わりそうです。