ミサトの不思議な冒険:あとがき

 この作品を書く時は小説を書き始めて初めてのスランプ状態に陥りました。どうにもアイデアが浮かばず、強引に書き始めてもちっとも話が広がらないぐらいです。才能の限界なんて言葉が頭を過りましたが、別に小説で食べてる訳ではないので、

 「まあ、ええか」

 これぐらいの感じです。しばらく小説から離れていたのですが、あるシーンが頭に浮かんできました。完全に浪花節的な世界ですが、ピンチに思わぬ助っ人が現れるパターンです。そう言えば、そのパターンは書いていない気がしたのです。

 どういうシチュエーションにすれば、良いかをあれこれ考えて書いたのがハワイ決戦のところです。もう少しドラマチックなプランもあったのですが、そこに持って行くのに最終的に無理があって、あの程度にしています。

 それと今回は珍しく悪役を登場させています。出す必要があったので出したのですが、我ながらステレオ・タイプにしかなっていません。もうちょっと捻るべきだったと思っていますが、これはこれからの課題と考えてます。小説は魅力的な悪役、敵役がいるほど良い作品と思うからです。

 今回の影の主役はシオリです。シオリには弟子の育成に熱心な師匠のエッセンスを与えていましたが、今回はそれをより色濃くさせただけでなく、理想主義者の一面を加えています。

 ヒロインのミサトですが、写真の話にした都合で引っ張り出しています。なかなか使いやすいキャラで、しばらくミサトを軸に書いても良い気がしています。そのための伏線も仕組んで置いたつもりです。

 最後に今回のスランプでわかったのは、やはりドタバタ劇が書き安いところことです。そうですね、ジェット・コースターのように事件が連鎖して起って行く展開とすれば良いでしょうか。シーンをしんみりと書くのは苦手のようです。