馬券と税金

ギャンブルはパチンコさえ滅多(5年に1回ぐらい)にしない人なのですが、ちょっと興味を引いたので5/22付弁護士ドットコムより、

詳細はリンク先を読んで頂たいのですが、競馬でいわゆる勝った人です。競馬で勝つと言う事自体が凄いのですが、投資された金額も物凄いものです。
  • 馬券購入費:約28億7000万円
  • 払戻金:約30億1000万円
3年間のお話だそうですが、単純に差し引きすると約1億4000万円「勝った」事になります。本当に競馬でこれだけ勝つ人がいるんだとまず感じた次第です。問題はギャンブルの勝ち金は宝くじと違って税金がかかる事です。一時所得として課税されるのですが、これは勝った馬券にのみ課税されるのが税法だそうです。どういう事かと言えば、馬券(今でも100円単位かな?)があたり10万円勝ったとします。この時に課税されるのは、
    10万円(払戻金)− 100円(馬券購入費)= 9万9900円(課税対象額)
こうなるそうです。ではでは、この時に他にハズレ馬券を1万円勝っていたらどうなるかですが、これは税金には無関係なものになります。そう明記されているともどこかに書いてありました。今回の訴訟では払戻金のアタリ馬券購入費は約1億3000万円だったそうで、そうなると課税対象額は、
    30億1000万円(払戻金)− 1億3000万円(馬券購入費)= 28億8000万円(課税対象額)
巨額の脱税とされた訳です。税法的に真っ当に解釈すればそうなるそうです。「へぇ」てなところですが、そうなるとトータルで負けていても税金は当然かかる事になります。たとえば
  • 馬券購入費:1000万円
  • 払戻金:500万円万円
  • あたり馬券購入費:20万円
こういう状態なら競馬で500万円負けた上で、さらに480万円の課税対象額が発生し税金として支払う必要があると言う事になります。まさに泣きっ面に蜂状態になります。ギャンブルで儲けると言うのはどれだけ難しいか改めて思い知らされます。


漠然と思っていたのは、こういう問題が生じたのは馬券のネット購入のためじゃないかと考えたりしています。競馬は冒頭で書いたように馬券は愚か、競馬場にも行った事がないので怪しげな伝聞知識で書きますが、競馬場で馬券を買う分にも払い戻しを受ける分にも、おそらく身許確認はされないんじゃないかと思っています。だから本当は税金が発生しても「ほとんど誰も払ってなかった」のではないかと考えています。

税務署だって誰がいつ馬券を買い、それが当たったかどうかを把握するのは事実上難しそうだからです。ところが今回の様にネットで購入すれば馬券購入履歴だけではなく、払戻金の把握も容易になります。なんと言ってもITですから、その気になればネット馬券購入者を根こそぎ調べて課税するのもさしたる手間とも思えません。プログラムを一度組んでしまえば自動的に課税額を把握されるわけです。

JRAの払い戻し率は75%とか80%とかどこかで聞いた事がありますが、そのネット分だけでもITで課税できるようになれば、小さくない金額ですから、そこまでやっても不思議ないかもしれません。くわばら、くわばらです。なんとなくそれなら、払い戻し時に源泉徴収しておいても良さそうなものですが、そっちの方がコストがかかるのかな?


ギャンブル小説でよくあるパターンで、人生の一発逆転を賭けて競馬に臨み、第1レースからなんとかそれなりに勝ち越し、最終レースに勝ち分をすべてぶち込んで勝負したら夢敗れてオケラなんてのがあります。あれは正確にはオケラではなく、勝ち分には確実に課税されており、最終レースに勝とうが負けようが税金は払う必要が生じていた事になります。ま、それなりに正確に直せば、

    払戻金は1000万円だが、馬券代に1000万円使っている。結局オケラだが、払戻金にも税金がかかる。そんなカネはどこにもない、もう破滅だ。これからは脱税者としても追われる事になる。
う〜む、タダのオケラとしての悲哀さだけではなく、脱税者としてのアウトローさが強調されてより効果的になるかもしれません。ちょっと説明的になるのがネックですが、そこはそれプロなら上手く表現してくれるでしょう。それにしてもギャンブルは儲からないように作られているとシミジミ思った次第です。そう言えば、あちこちの自治体で浮かんでは消えるカジノ特区も似たような税金が発生するんでしょうかねぇ。