所得制限 1億円也

子ども手当は財源問題から所得制限案が登場し、

    800万円 → 2000万円
こういう風にジャンプアップしています。800万は現在の児童手当相当であり、2000万円は議員の歳費相当だそうです。800万円なら約1割程度が所得制限に該当し、2000万ならその1/3の3%ぐらいが該当するとされています。2000万円の割合はあまりしっかりしたソースはありませんから、伝聞情報ぐらいの信憑性です。

感想として800万の案を聞いたときに、それなら子ども手当なんて作らずに児童手当の増額にすれば良いのに思いましたし、2000万円の案では制限される人数があまりにも少なく、わずか数パーセントのための制限なら所得制限などやめた方が良いんじゃないかと思ったりしていました。

議論の方向として800万と2000万の中間ぐらいに、財源問題や負担の問題も絡めて落ち着くかと予想していましたが、さすがは新しい事をやりたい現政権です。ちょっと常人では思いつかない方向に議論は進んでいるようです。12/17付日テレNEWS24より、

子ども手当所得制限「目安は1億円」財務相

 「(子ども手当の所得制限について)世間の一部の人が800万円とか言っているが、基本的な(マニフェストの)修正になるので、あってはならない。1億円になった時にどうかという話です」−藤井財務相は17日の閣議後会見で、民主党が要望した子ども手当の所得制限について、1億円という所得の目安を示し、一部の富裕層に限定して実施すべきとの考えを述べた。 また、子ども手当の財源として、現在の児童手当程度の負担を地方自治体に対して求めるべきとの考えを示した。

もう笑うしかありませんが、なんと所得制限はドドーンと、

    1億円♪
億万長者と言われてもピンとこないのですが、とりあえず日本で資産が1億円を越える億万長者は130万人いるそうです。これはあくまでも資産ですから、子ども手当が対象にしている年間所得とは概念が違います。課税対象所得が年収1億円以上の人数は探し回ったのですが、どうもはっきりしたものが無い様です。

そこで参考までですが、富裕層といわれる人々がいます。富裕層とは世帯年収が3000万円以上、純金融資産(現金・有価証券)が1億円以上の方を指すらしいですが、これが6万所帯ほどだとされています。ただし富裕層の条件は年収3000万以上ですから、6万世帯のうち、かなりの割合が所得制限に該当しない事になります。

また華やかな高給取りいえばプロ野球選手が思い浮かびますが、あくまでも推定ですし、他のCMなどの収入は含んでいませんが、年棒トップ100を参考にすると、野手で44人、投手で27人の71人です。これは昨年度のデータのようですが、プロ野球選手なら1割ほどが所得制限に引っかかる事になります。

ほいじゃサッカーはどうかになりますが、これがまあ日本のデータが見つからないのですが、2006年のワールドカップ代表チームの年棒なるものがありました。

代表23人中で中田と小野の2人です。中田は海外ですから、日本チーム所属としては小野だけが所得制限に該当することになります。もっとも中田を含めても2人です。代表チーム以外でも1億円を越える選手はいるかもしれませんが、さて4人もいるのでしょうか。

ついでですから芸能人を見てみますが、参考にしたのはスクープ!エンタメ 芸能 のツボの女性芸能人年収ランキング!2008年度版です。これによると、

これもあくまでも推定ですが、1億円以上の該当者が7人になります。女性芸能人と言うのをどういう範囲で数えるのか知りませんし、女性芸能人が全体で何人いるのかも存じませんが、プロ野球選手やサッカー選手と同じぐらいはいそうな気はしています。それと詳しくないので「たぶん」ですが、いずれも子どもはまだいなかったような気がします。そうなると子供がいる女性芸能人はすべて子ども手当がもらえる事になります。

藤井財務相のお言葉の、

    一部の富裕層に限定して実施すべきとの考えを述べた
お言葉の「一部の富裕層」は使い方として間違ってはいません。しかしどう考えても日本で年間所得1億円以上の方々は非常に少なく、また1億円以上の所得がある方で子ども手当対象である子どもを持たれている方はさらに少ないと考えられます。見当もつきませんが1万人を割るんじゃないでしょうか。その数少ない方々の受給資格を審査するための事務コストはどれぐらいなんでしょうか。子ども手当の支払いを節減した分と較べて、どれぐらいメリットが生じるのでしょうか。

仮に1万人とし、対象者に平均2人の子どもがいるとすれば、来年度の年間支給額は子ども1人に15万6000円ですから、1所帯あたり31万2000円となり、子ども手当の総支給額は31億2000万円になります。事務コストがゼロでもこれ以上はメリットが出ません。一方で審査は支給対象所帯全員に行なわれます。ちなみにですが所得制限無しでの子ども手当の予算総額は来年度で2兆2500億円です。

31億2000万円が子ども手当(2兆2500億円)の中に占める割合は、

    0.000014%0.14%
なんかゼロが多すぎて算数に自信が無いのですが、たぶんこの程度です。、1桁ぐらい違ってもさして問題がないぐらいのレベルです。(どうも桁の多い算数は苦手で申し訳ありません。謹んで訂正させて頂きます。)所得制限も800万とかせいぜい2000万までなら、政治としてどの程度にするかの議論をする価値があるとは思いますが、1億円となると何をしようとしているか、かえってわかりにくくなります。

それでも閣僚であり、政府の金庫番である財務大臣の発言ですから、有識者の無責任な放言とは重みが違うはずです。違うとは思うのすが、かなり違和感を持つ感触があります。力一杯好意的に取って、「所得制限に反対だ」の喩えとは解釈可能ですが、それなら1億円なんて持ち出さずに単に反対でよかったような気もします。

喩えの効果が逆効果で、真意より1億円が独り歩きしてしまいます。まあ、こういうのも総理のお言葉である、

    「すべてがまだ完ぺきとは言えないと思う。一生懸命努力していることだけは認めていただきたい」
これの範疇に入るのでしょうかねェェェ。