産科医に「分娩手当」=お産1件当たり1万円−救急医の当直支援も・厚労省
2009年度予算編成の焦点だった3300億円の重要課題推進枠で、厚生労働省は22日、お産1件当たり1万円の「分娩(ぶんべん)取扱手当」を産科医に支給することを柱とした医師確保、救急医療対策を発表した。
東京都内で10月、救急搬送された妊婦が8病院に受け入れを拒否され死亡した問題などで産科、救急医不足が顕在化。産科、救急医に手厚く財政支援することで、医師不足解消を目指す。
産科医支援策では、分娩取扱手当に加え、医学部卒業後3年目以降の若手産科医に対して3年間、1人当たり月5万円を支給することも盛り込んだ。
一方、救急医支援策では、救急医療を担う病院のうち、重症患者を扱う第2次と第3次救急医療機関(全国約630カ所)で勤務する救急医に対し、夜間の当直1回当たり1万8659円、土日祝日の当直1日当たり1万3570円を支給する。
これらの事業はいずれも国が3分の1を負担。残りは都道府県と市町村が負担するが、自治体の協力が得られない場合には医療機関側に負担を求める。
記事情報なのでどこまで本当かに注意しないといけませんが、
お産1件当たり1万円の「分娩(ぶんべん)取扱手当」を産科医に支給すること
つう事は助産師の分娩には支給しないという事でよろしいのでしょうか。助産院とか助産師による自宅分娩なら区切りやすいですが、病院の体制によっては微妙で、産科医ではなく助産師が取り上げる事も無いとは言えないと考えています。その場合はどうなるのでしょうか。助産師会とか看護協会が怒りそうな対策です。
助産師による分娩はともかく他にも産科支援策として、
医学部卒業後3年目以降の若手産科医に対して3年間、1人当たり月5万円を支給する
予算的にはどれぐらいかですが、助産院もしくは助産師により自宅分娩は全国で1%以下ですから、誤差の範囲とし、分娩数を110万分娩とすると約110億円です。もう一つの若手産科医師の数ですが、これの概算が難しいのですが現在のところ産婦人科医数で年間300人弱程度かと考えられます。多めに見積もっても3年間で1000人ですから、
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1000(人)× 5万円 × 12(ヶ月)× 3(年)= 18億円
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手厚く財政支援することで、医師不足解消を目指す。
それとこれは微妙な問題にはなりますが、産科が敬遠されるのは薄給だからとは言えないかと考えています。薄給のみの理由で敬遠されていると考え難いですし、より高給になったからと言って人気沸騰になるものではないとも考えています。給与は多いに越した事はありませんが、手当を厚くするのは十分条件の一つに過ぎないと思います。産科医が必要条件と考えているのは訴訟リスクの軽減です。他の診療科に較べても格段の被訴訟率に心が折れているのが一番深刻な原因かと考えています。
130億円は巨額ですが、果たしてこの額で訴訟リスクを補う事が出来るかどうかが問題のように感じます。この感覚は産科医でないと最後のところは分かりませんが、どうにも次元の違うところで産科医が感じている恐怖を補おうとしているように見えてなりません。つまりお金の使いどころが明後日ではないかと言うことです。
それでも産科支援はやらないよりやった方が良いのは間違いないのですが、
これらの事業はいずれも国が3分の1を負担。残りは都道府県と市町村が負担するが、自治体の協力が得られない場合には医療機関側に負担を求める。
これは不思議な書きようが為されています。130億円弱の産科支援策ですが、国は1/3の約40億円は支払うが残りは都道府県と市町村負担との事です。一種の補助金みたいな格好かと思います。まあそれは良いとしても、
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自治体の協力が得られない場合
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医療機関側に負担を求める
これなら個人開業医で自治体がこの事業に協力しない場合は、自分で「分娩取扱い手当」を負担する、すなわち2/3はもらえないという事です。それと記事情報だけではよく分からないのですが、自治体が協力しないときに医療機関も協力しない自由はあるのでしょうか。こういう事は案の発表段階で根回しが十分でなくとも伏せる事が通常かと思います。それでもって予算成立後に向けて厚労省が自治体と折衝に当たるのが本筋かと考えます。それとも案を発表する段階で自治体から強烈な拒否反応があり、マスコミを使って予防線を張っているのでしょうか。
それと救急医の支援ですが、救急医の当直料の支援と書いている段階で既に噴飯物です。あくまでも当直料とするならば、救急医は当直業務だけで仕事は必要にして十分であると受け取れます。当直業務が公式にどう定義されているかはもう書きませんが、これも根本に完全に目を瞑っての厚生『労働省』の姑息策以下の対策にしか私は読めませんでした。
個人的には、この記事を読みながら「活きたお金の使い道」みたいな言葉が頭の中を乱舞しています。