厚生労働省医政局 平成21年度概算要求の概要

あくまでも概算要求段階ですから、このままになるかどうかは不明です。元資料はコチラですのでよろしければどうぞ。まずはなんですが、

平成21年度概算要求額 2473億5400万円
平成20年度予算額 1967億6700万円
差引増△ 505億8800万円
対前年度伸率 125.7%


資料がこれだけなんで厚労省の何の予算かがよくわからないのですが、概算要求分ですが505億6700万円、25.7%の増額となっています。何があっても機械的に削られる2200億円と較べると豪儀なものと感じます。これ以外にも

(注)上記計数には、「★厚生労働科学研究費補助金175億8千9百万円(平成20年度143億7千6百万円)」等は含まない。

こうだそうです。続いて予算の内訳です。

1.医師等人材確保対策の推進

全部読むのは大変なのでこれだけ見てみます。「1.」というぐらいですから、残りは「2.」から「4.」までありますが、どうも重複が多いのでここだけにしてみます。冒頭に予算の用途と言うか趣旨が掲げられてまして、

勤務医の勤務状況の改善、業務負担の軽減を図るとともに、特に業務負担の多い勤務医等に対する支援、離職防止・復職支援を進め、勤務医の過重な労働の緩和を図る

勤務医のための予算である事が明記されています。その概算要求額が、

    595億5600万円(平成20年度374億1200万円)
前年度比159.2%、金額にして221億4400万円の増額です。来年度の概算要求額の伸び率も凄いですが、平成20年度にも374億1200万円が費やされていた事が分かります。用途は多岐に渡るでしょうし、私は開業医なので無縁の予算ですから実感しようがありませんが、具体的に実感された方はレポートください。多岐に渡る用途のうちもう少し具体的に判明しているところは、
    医師確保対策の推進368億800万円(平成20年度160億6800万円)
相も変わらず「確保」なのは置いておいて、ここは記憶に頼りますが、この費用は、
    安倍総理の100億円 → 福田総理の160億円 → 麻生総理の368億円
こんな感じでしょうが、なんと昨年度の2倍以上です。それでもって以下にもう少し詳しい情報があります。順番に見ていくと、

(1)救急・産科・へき地医療を担う勤務医等への支援96億3700万円

  1. 救急医療を担う医師の支援(新規) 40億9000万円


      救急医療の中でも特に過酷な夜間・休日の救急を担う勤務医の手当への財政的支援を行う。


  2. 産科医療を担う医師の支援(新規) 36億7700万円


      地域でお産を支えている産科医の手当への財政的支援を行う。


  3. へき地医療を担う医師の支援(新規) 1億3600万円


      へき地に派遣される医師の移動などに要する手当への財政的支援を行う。


  4. 医師確保困難地域へ派遣される医師の支援(新規) 17億3400百万円
      地域の医療機関の協力により医師確保困難地域へ派遣される医師の手当への財政的支援を行う。

これらは全部「新規」となっています。もう少し実感できる数字に直すと、「救急医療を担う医師の支援」には「夜間・休日の救急を担う勤務医の手当」となっています。年間の休日数が土日+祝日+アルファ(年末年始)で約120日です。平日が245日となり休日が2倍と換算とすると、

    平日:843万3000円
    休日:1686万6000円
これは一つの医療機関あたりではなく、全国の救急医療期間の全て合わせた1日額です。どのあたりの範囲の病院まで「財政的支援」は行なわれるのでしょうか。例えば救命救急センターは全国に205ヶ所あります。センターにより様々でしょうが、まさか1人で夜間休日の勤務をやっているとは思えず、最低限外科系・内科系の2人はいる様な気がします。また二次救急は厚労省資料によると3108施設あり、このうち7割は夜間一人体制であるとの報告もあります。

そうなると救命救急センターだけでも500名以上、二次救急で4000名ぐらいとなりますから一人当たりとなると平日で2000円弱ぐらいでしょうか。二次救急も輪番日以外を対象にしなければ3000円〜5000円ぐらいになるのかもしれません。確かその上で受け入れ実績に応じて配分を変えるなんて報道もあったような気もします。その他の項目の計算は省略しますが、おおよそそれぐらいではないかと考えられます。余裕のある方は概算してみてください。

次に大きいのが

(2)勤務医等の勤務状況の改善・業務負担の軽減33億1100万円

  1. 短時間正規雇用を導入する病院に対する支援(新規) 20億7100万円


      「短時間正規雇用」の導入により、勤務医の過重労働の軽減及び女性医師の出産・育児等と勤務との両立を可能とし、医師の離職防止・復職支援を図る。


  2. 医師事務作業補助者を設置する病院に対する支援(新規) 8億1500万円


      医師の業務負担を軽減するために、書類記載、オーダリングシステムへの入力などを行う医師事務作業補助者の設置・充実を図る。

「短期間正規雇用」とは美しい言葉ですが、どれほどの支援なんでしょうか。私も経営者ですから少しは知っていますが、正規雇用となれば保険、年金などもろもろの額はバカになりません。1人100万円として2071人、50万円として4142人です。もう一つの医師事務作業補助者ですが、どれほどの報酬が相応しいのか見当が付きませんが、仮に年収400万で全額支給として203.8人です。半額支給で407.5人です。ただ半額ならその分は病院負担ですから人件費は純増します。

(3)医師と看護師等の役割分担・協働の推進30億7400万円

  1. 医師と看護師等との協働の充実


      看護師の薬剤の投与量調整や療養生活指導等の技術、助産師の正常なお産の進行管理等の技術を向上させる研修を行うことにより、看護師や助産師がその能力を活かすとともに、産科医等の負担の軽減や院内助産所助産師外来開設を促進する。

なるほど30億円ですね。資質向上に30億円が悪いとは言う気は無いのですが、順番を前後させて、

(6)看護職員の資質の向上と確保対策103億4400万円

     新人看護師に対する研修を推進するためのモデル事業を引き続き実施するとともに、多様な勤務形態により看護職員を活用している医療機関の事例を普及することにより看護職員の就業の促進を図る。

     更に、助産師については、都道府県に助産師確保・連携策等を協議する「助産師確保連絡協議会」の設置の促進を図るとともに、潜在的助産師等の復職のための研修を行い、産科診療所での就業を促進する。

    なお、看護職員の中長期的な需給見通しについて検討を行う。

個人的には重複する部分が多いとは思うのですが、完全に別立て事業であると考えても良さそうです。

(4)臨床研修病院等への支援15億7900万円

    医師不足問題が深刻な地域や産科・小児科・救急医療等に貢献する臨床研修病院等の研修経費に対する支援の充実に加え、新たに外部講師の招へいに必要な経費等を支援することにより、臨床研修の質の向上を確保しつつ、研修医の都市集中の是正促進を図る。

臨床研修病院数は厚労省資料によると2380施設あります。あくまでも平均ですが施設あたりで66万3000円です。施設の規模でも額は変動しますので、年間の研修医誕生数を7700人として、これが2年間前期研修を行ないますから、一人頭にすれば年間10万2500円、1ヶ月あたり8500円ほどになるかと考えられます。

(5)補償制度・医療事故における死因究明5億2800万円

    医師等が萎縮することなく医療が行える環境を整備するため、医療事故における死亡の死因究明・再発防止を行う仕組みの検討や出産に起因して重度脳性まひとなった者への速やかな補償を行うなど産科医療補償制度(平成21年1月開始予定)の円滑な運用を進める。

事故調と産科の無過失補償制度の準備予算に5億円みたいです。

ところでなんですが、概算要求をもう一度見直すと


医師等人材確保対策の推進 595億5600万円
(うち医師確保対策の推進) 368億800万円
(1)救急・産科・へき地医療を担う勤務医等への支援 96億3700万円
(2)勤務医等の勤務状況の改善・業務負担の軽減 33億1100万円
(3)医師と看護師等の役割分担・協働の推進 30億7400万円
(4)臨床研修病院等への支援 15億7900万円
(5)補償制度・医療事故における死因究明 5億2800万円
(6)看護職員の資質の向上と確保対策 103億4400万円
(1)〜(6)の小計 284億7300万円


なんとなく帳尻が合わなさ過ぎる気がするのですが、やはり気のせいでしょう。この概算要求資料が提出されたのは公立病院に関する財政措置のあり方等検討会(第4回)ですから、きっと当該会議に関係ない予算項目は掲載されていないためだと考えていますが残りは何に使われるでしょうか。