競馬で必勝法を編み出し、これで勝ったものの税法で巨額の税金が発生し訴訟になっている件は前に触れさせて頂きました。私は競馬どころかギャンブルに殆んど興味が無いのですが、どうやって勝ったんだろうは興味があります。あちこちで推測は既にされていると思いますが、私の仮説をチョット書いてみます。
■前提
JRAのテラ銭は25%と聞いています(単勝・複勝は20%らしいです)。でもって競馬の基本システムですが、
- 勝ち馬投票がなされる
- その総金額から25%がテラ銭としてJRAが取る
- 残りの75%が勝ち馬投票金額に基づいてオッズになる
■データ
ポーカーの高速道路とけものみち様に投資と配当のデータがありましたので、表にしてまとめてみます。
年 | 馬券購入額 | うち当たり馬券 | 配当金額 | 差額 |
2005 | 9900万円 | 600万円 | 1億800円 | 900万円 |
2006 | 5億3800万円 | 1800万円 | 5億4400万円 | 600万円 |
2007 | 6億6700万円 | 3200万円 | 7億6700万円 | 1億円 |
2008 | 14億2000万円 | 6500万円 | 14億4600万円 | 2600万円 |
2009 | 7億8400万円 | 3100万円 | 7億9500万円 | 1400万円 |
これを再編集して、
年 | 当たり馬券平均配当 | 当たり馬券/馬券購入費 (%) |
配当/馬券購入費 |
2005 | 18.0 | 6.06 | 1.091 |
2006 | 30.2 | 3.35 | 1.011 |
2007 | 24.0 | 4.80 | 1.150 |
2008 | 22.5 | 4.58 | 1.031 |
2009 | 25.6 | 3.95 | 1.014 |
こうやって見ると通算で1億5500万円勝ってはいるのですが、2007年が突出して勝っている事がわかります。実に馬券購入費の15%増しの配当を受けています。これに継ぐのが2005年で9.1%です。ただしその他の年の平均は1.9%で、平均で5.9%になります。負け越している年が無い事は立派なものですが、配当/馬券区入費をグラフにしてみると、
■推理
実はこのデータを見る前の必勝法の予想として、ある確率論を用いていたのではないかと考えていました。負け馬予想法です。JRAの単勝の配当率は80%になっているそうで、オッズの高い下位3割を排除し、残り7割の馬券を均等に購入するです。ここで下位3割の配当が全体の5%なら、上位7割の配当に75%が付くわけですから、差し引きで5%の利益が生れるです。オッズと配当金の分配に不均衡があるの仮説です。
ところがどうも違う感じがします。負け馬予想の確率論でやれば、投資金額が多くなるほど安定した配当が出るはずです。ところがどうもそうなっていないです。もう一つの違う傍証は、当たり馬券当たりの平均配当です。2005年こそ18倍ですが、以降の年は20倍を越え、2006年などは30倍になっています。負け馬予想法はハズレのようです。ま、負け馬予想法で勝てるぐらいならとっくに誰かが思いつくはずです。
それでもオッズと配当金の不均衡に目を付けた可能性は高いと思っています。つうのも、オッズ通りに配当が発生していたら、どんな方法で買おうがテラ銭分だけの損が最終的に生じます。それでも勝つのはそれこそ運です。しかし運だけで勝ったにしては、膨大な投資額がこれを否定すると思います。それと何らかの方法でプログラムを組み、それに従った馬券購入をやっているわけです。
それとハズレ馬券の額からしてなんらかの網羅的な購入を行っているのは確実です。金額ベースで言うと20枚に1枚ぐらいしか当たり馬券を買っていないからです。そうなると当たり馬券の平均配当の大きさからして、大穴狙いの可能性は出てきます。最初の発想と逆で、オッズと配当金の不均衡はオッズ比の高い不人気馬に多く配当されているです。
ただ競馬は詳しくないので大きな事を言えませんが、大穴狙いにしては逆に平均配当が小さい気がします。また大穴狙いであれば、いかにも荒れやすい新馬戦や障害レースが狙い目になりそうなものですが、これは避けたの情報もあります。う〜ん、これは難しいと言うか、こんな単純な必勝法で勝てれば誰も苦労しないところです。
■やっぱりわからん
おそらくですが、プログラムを組むに当たって、過去のレース結果(配当)とオッズの関係をかなり徹底して調べたはずです。これになんらかの不均衡を見出したので必勝法としたはずです。なんとなくオッズ中位の馬を中心にした馬券購入の様な気がします。だから平均配当は結構高いです。ただしこれだけで勝てると思えません。
あるとしたらオッズの分散の仕方から、ある法則を導き出し、レースによって賭け金の額を調整していた可能性です。もう一つ可能性を付け加えると、新馬戦や障害のような波乱が多いレースでの勝負を避けたところから、本命が強そうなレースの方がプログラム的には有利だったのかもしれません。ま、本命が転べば残りの馬券の配当は必然的に高くなるからです。頭を捻った割には、ありきたりのツマラナイ推測しか出てこなかったのが残念なところです。
それにしても驚異的なプログラムであるのだけは間違いありません。辛勝年が3回としましたが、テラ銭が20%なり25%あり、とりあえずこの分は勝ってしまっているわけです。テラ銭25%とすると、まともにやれば100円賭けても25円負けるわけです。競馬で負けないとは、まずテラ銭分の25%を勝たないといけません。1億円勝った2007年などは、テラ銭25%勝った上にさらに15%の勝ちを収めている事になります。
■勝手に競馬ロマン
とは言うものの、平均にして5.9%の利益率はどんなものだろうと思わないこともありません。あくまでもこれは平均で、低い年には1.1%まで下がっています。損はしていませんが、年がら年中競馬に突っ込んで差額が900万円はチトしんどいかなってところです。900万円はもちろん立派な収入ですが、年間に5億3800万円の馬券を買うのは結構大変そうだからです。
もちろん5億3800万円と言っても延べであって、年の初めにそんだけの大金があったわけではありません。たぶん手許にあったのは去年の勝ち分900万円(本業の収入は別にあります)で、これで勝ったり負けたりしての延べが5億3800万円です。競馬が好きならそんな生活も苦にならないかもしれませんが、実際はどうなんでしょう。
これはあくまでも想像に過ぎませんが、このプログラムに従っての競馬をやると、馬も、騎手も、競馬場もすべて関係なくなる気がします。競馬好きに言わせると、パドックの馬の気配(尻を見るとも言ってました)で最後の決断を行なうなんて聞いたこともありますが、そういうエッセンスはゼロになります。つうかそういうエッセンスをすべて取り除いたのがプログラム必勝法の気がします。
競馬と言うギャンブルの醍醐味は勝ち馬予想に熱中し、レース結果に興奮する点じゃないかと勝手に思っています(私はやらないので・・・)。ここで「勝つ」のは当然の目標ですが、「勝つ」は熱中と興奮に較べると下位に置かれる気がなんとなくします。勝つだけが目標なら20%とか25%もテラ銭を取られる勝負は余りにも不利だからです。
勝ち負けは熱中と興奮の調味料であって、究極的にはどっちでも良いみたいなところがある気がします。絶対に勝たなければならないと思って競馬に参加していないから、多くのファンが集まってくるです。だってどう考えたって、競馬ファンの中でトータルで勝っている者は僅かとしか思えないからです。9割以上は負け越している気がします。
ギャンブルは好きでないので喩えが微妙に的を外している気がするのですが、熱狂的な阪神ファンが応援のために全国の球場に押し寄せるのに似ている気がします。プロ野球はギャンブルではありませんが、行けば交通費とチケット代を失います。しかし球場内の熱狂と興奮がこれを綺麗に代償してお釣りまでくれるです。サッカーも似ているかもしれません。
これを勝つ事だけに重点を置いたのが必勝プログラム競馬です。たぶんですが、人間の主観は排除されています。主観の排除とは予想の熱中が失われている事になります。結果の興奮は残るかもしれませんが、これは予想の熱中に連動するもので温度は相当下がる気がします。つまり勝つために競馬の醍醐味をかなり犠牲にしているぐらいの感じです。競馬ファンは果たしてそうまでして勝ちたいんだろうかです。
あくまでもなんとなくですが、一審(控訴審に進んでいます)で被告の主張が認められたのは、あまりにもツマラナイ競馬であると認定された気がします。喩えればデイトレーダー並と言うか、いや必勝プログラムで自動的に取引をやっているデイトレーダーと実質として同じであるの裁判所判断です。こんなクソつまらない競馬をギャンブルと認定できない心証が働いたぐらいでしょうか。
そう考えると、ヒョットすると裁判官は案外競馬好きだったかもしれません・・・裁判官が競馬をやってもエエのかな? やったら悪いとは言えないような気もするのですが、ここはロマンとしての競馬に理解があったぐらいにしておきます。