ラブレターと電話の思い出

ごめんなさい。本業が少々多忙で医療ネタを繰ってる間がありません。ですから休載代わりの埋め草閑話と思ってご堪忍下さい。ネタモトはとても明かせない(明かしても誰も知らない世界ですが・・・)のですが、ある女親が年頃になりつつある娘の恋愛を見て大発狂みたいな状況を御想像下さい。単なる親バカなんですが定番の

    私の時からすると信じられない(怒
てな感じです。私も年頃の娘がいますから、同感するようなしないようなです。この辺は女親と男親の違いかもしれません。まあその話の顛末は置いといて、展開したお話がラブレターと電話です。

なにか前世紀の遺物みたいな感慨に浸ってしまったのですが、考えればラブレターなんて今や死語になっているかもしれません。一生懸命に思いを書き込み、これを相手にどうやって渡そうか悩んだ青春の日々です。もっとも私は字が余りにも汚いのを自覚してましたから、書きもしませんでしたし、見事にもてなかったので貰った経験もありません。私の事はさておき、ラブレターを渡す古典的な方法として、

  1. 自分で直接渡す(・・・渡し逃げする感じ)
  2. 靴箱とかに忍ばせる
  3. 友人に頼んで渡してもらう
  4. 郵送する
ざっとこれぐらいでしょうか。恋愛ドラマ、恋愛マンガ、恋愛小説でも数え切れないぐらい使われた手法です。今の子供でもラブレターなるものがあり、そういう手渡し手法があるぐらいは知っている可能性はありますが、現実には存在していないような気がしています。じゃ、どうしているかと言えばメイルでポンです。簡単かつ確実迅速に相手に送る事が出来ます。

詳しい普及率まで調べていませんが、実感としてここ10年ほどで携帯は子供も含めて1人1台時代に突入しています。小学生だって持っているのが普通で、中学生以上になれば当たり前以前の世界になっています。この手のツールはとりあえず学校は禁止にするのですが、携帯に関してはロクな抵抗が出来なかったように思っています。まあ学校はダメでも、学校が終れば自由に使っているのが実情です。

メイルがあれば別にラブレターを苦心惨憺して書き、手渡す必要性がなくなります。まあ返事も早いですから、ラブレター時代のように何日も、何日も来るか来ないかわからない返事を待つみたいな事も少なくなります。これはどこかで小耳に挟んだだけの根拠の薄いお話ですから、その程度で思って欲しいのですが、メイル利用の場合は結構ノリも軽いとも言われています。ここまで軽いかどうかは不明ですが、

    「好っきゃねん、付き合って」
    「やだ」
    「そう、しゃ〜ないなぁ」
この辺は手続きの軽さと、それに伴う情念の軽さもあるのかもしれません。ラブレター時代は時間がかかる分だけ思い込みも強くなるもあったんじゃないかと思っています。メイルならお手軽な分だけ軽いです。ここら辺の感覚も自信がないので”n = 1”の現役に確認したら「だいたい」合っているようです。そいじゃ、あえてアナクロのラブレター作戦をやったらどうかも聞いてみたら、
    重いから嫌だ
実はこの後に非常に常識的な事を言われまして、ラブレターやラブメイルより「直接言うのがベスト」。ごもっともです。



電話は完全に伝説の時代のお話になります。どれだけ伝説的であるかですが、

    電話はかつて一家に一台であった
これも古典的には電話は玄関に置かれている事が多かったものです。サザエさんの家の電話の位置ははスタンダードであったです。そのための電話台なるものが普通に売られていて、電話台の中には電話帳が定番でした。家によっては出前してもらう店のメニュー表があったり、台の上にメモ台みたいなもの(チラシを切って束ねたやつ)もあったかな。電話番号記憶なんかしてくれませんから、よくかけるところの抜き出し早見表なんてのも壁に貼ってあったりもしました。

そういう一家に一台時代で電話をかけるのはどういう意味があると言うか、どういう事態が生じるかです。今日は恋愛のお話ですから、愛しの彼女宅に電話をすれば、

  1. 父親なり母親が電話に出てくる
  2. 自分の名前を告げる
  3. 電話口までの呼び出しをお願いする
  4. ようやく彼女が登場
わかります? 一度電話をかければ、電話をかけた人物として家族内にアッと言う間に情報共有されてしまうです。とくに異性となれば、電話が終わった後に「誰?」の家族からの質問は不可避となるわけです。これで長電話でもしようものなら後が大変みたいな展開になります。こういう状況を知らないと、私の世代ぐらいなら誰でも知っている笑い話である「彼女の母親に電話でプロポーズをしてしまった」の面白味が理解できない事になります。

プロポーズはともかく、電話で家人に不信感をもたれないようにするため、かける時には少々の工作を行ないます。

  1. 父親なり母親が電話に出てくる
  2. 名前を告げる
  3. 電話が必要である要件を伝える
  4. 電話口までの呼び出しをお願いする
  5. ようやく彼女が登場
時間を決めて他の家族より先に電話を取るのもありますが、そうはいつもうまく行きません。そこで家人に誤解を招かないないように(つうか誤解してもらうために)電話が必要である理由をしっかり添えるです。とは言うものの、そうそうはうまい要件がいつもあるわけでなく、また回数が重なればやはり「誰?」の好奇の目にさらされるのは不可避であったと言うところです。

でもこれはラブレター以上に伝説の世界になっていると思います。今でも固定式の電話は健在(たぶん)ではありますが、そんな面倒な手続きを踏まなくても直接携帯にかければ終わりです。良い時代になったものだと羨ましい限りです。


だからどうしたのお話ではありませんが、こういう現代ツールがあれば、私にもバラ色の青春時代が存在したであろうかです。ここについては自信を持って「無理」と断言できます。これだけは今も昔も全く変わりませんが、どんなにツールが進歩しても、自分が恋愛対象にならないと無用の長物に過ぎ無いという事です。そこの改良ツールは・・・まだ出てないなぁ、つうか出ないだろうなぁ。