な〜んだ、そんな話だったのか!

私にすれば相当不注意だったのですが、あるツイートに適当に首を突っ込みました。でもってNATROM様の「過剰診療」ってどういうこと?怪文書から学ぶ医療保険のしくみ で元がどんな話であったか漸く判明した次第です。なにやらオリジナルは既に削除されたとかなので、NATROM様のところのものを孫引きします。

小児の甲状腺検査について



本年5月診療分にさかのぼり、甲状腺検査の保険請求分が急に支払い拒否されました



不払いの理由は「過剰診療」ということで、

「今後、小児に関して、福島県医大以外の甲状腺検査はうけさせない」という

厚生労働省のメッセージ(脅し)です



本来到底受け入れられることではありませんが、

今後も皆さんの甲状腺検査は続けていかねばなりません



すでに当院は「マークされている」ので

今後 甲状腺検査は保険診療でなく 健康相談(自費診療)として行います

甲状腺検査に関わる¥10490のうち¥4500を負担してください

10490円

正直なところ小児の甲状腺疾患と言ってもクレチン症ぐらいのもので、クレチン症ならマス・スクリーニング時点で小児内分泌医のところに御案内になり縁がありません。他もあるんでしょうけど私は見たことがありません。だからよく知らないです。平たく言えば小児科開業医であれば、内分泌をサブスペでやっていた者以外は怪しければ二次以上の医療機関に紹介する疾患です。

怪しいと言っても甲状腺疾患まで疑えるかどうかは、私はまったく自信がありません。頻度としてはそんなもので、開業してからでもクレチン症(当然、他院フォロー中)以外の甲状腺疾患を見たことがありません。その程度の知識なので御了解下さい。


とりあえず引っかかったのは費用です。妙に桁が細かいのですが、算出根拠がわかりにくいです。まず「皆さんの甲状腺検査は続けていかねばなりません」って書いてあるので再診と仮定すると再診料は690円、6歳未満なら乳幼児加算が加わってさらに380円増えます。そいでもってこの上に検査料が積み上げられていきます。

甲状腺検査」のお値段が検査項目数によって変わり、

項目数 お値段
3-5項目 4100円
6-7項目 6300円
8項目以上 9000円


最大の8項目以上やっても9000円です。後はおそらく甲状腺癌をチェックするみたいな話になるのですが、一応の腫瘍マーカー

検査項目 お値段
CEA 1500円
カルシトニン 1150円


小児白血病も気を使うのなら、

検査項目 お値段
血算 210円
血液像 180円


エコーもやれば3500円です。順列組み合わせを表にして見ると、

再診料 690円
超音波検査 3500円
甲状腺検査 3-5項目 4100円
6-7項目 6300円
8項目以上 9000円
小計 8290円 10490円 13190円
腫瘍マーカー CEA 1500円
カルシトニン 1150円
血液検査 血算 210円
血液像 180円
お支払 11330円 13530円 16230円


あった、あった、6歳以上でエコーと甲状腺検査を6-7項目行った時にピッタリ10490円になります。この程度はネット上でも情報を集めるのは可能ですが、それなりに保険請求の基礎を知っていないと難しいかもしれません。


過剰診療

NATROM様が保険診療の解説をバッチリやってくれるので簡単にしますが、本当に甲状腺疾患患者の検査をやっているのなら査定されません。ここも詳しくないのですが、再診の度に6-7項目の検査が常に必要かどうかの問題とか、再診頻度の問題は別です。この辺の査定ラインは複雑怪奇で誰も正答を知らないとしても良いかもしれません。

ただ保険診療の大原則は現在罹患している疾病の治療には給付されますが、これから罹るかもしれない疾病の診療には適用されません。だからガン検診にしろ、小児の乳児健診にしろ、予防接種にしろ公費で行うときには保険診療と別途で支払われます。それ以外の健康チェックになると、それこそ自費の人間ドックとかになるわけです。

ここでバッサリ査定されても、本当に甲状腺疾患の治療を行っていれば抗議は可能ですし、もし過剰と査定されても過剰でない範囲で検査も治療も行なう事は出来ます。何も抗議できずに査定を受け入れ、なおかつ今後は自費路線を打ち出すと言う事は、抗議はもちろんの事、自粛の上での診療継続も出来ないような行為を行っていたと判断できます。


基本的にはNATROM様の

医療機関や医師の名前が明示されておらず、怪文書の類とみなしてよいと思う。

これに同意です。たぶんこの文章で一番アピールしたかったのは、

    「今後、小児に関して、福島県医大以外の甲状腺検査はうけさせない」という

    厚生労働省のメッセージ(脅し)です

    本来到底受け入れられることではありませんが、

    今後も皆さんの甲状腺検査は続けていかねばなりません

これに過敏に反応する人はネットに少なくありませんから、そういう意味では効果的だったかもしれません。ただこの手の患者(関東から避難して来ただったかな?)は前に経験したことが1年ほど前に1人だけいます。
    定期的に検査を行わなければならないと言われた
申し訳ありませんが、関西はその点ではすこぶる平和で、噂に聞く放射脳とはこういう方かと得心した次第です。もちろん鄭重に大病院にご紹介させて頂きました。紹介先の先生方、本当に悪い事をしたと思っています。そういう経験からすると実在の可能性は捨てきれません。細部が妙に合ってますし、風の噂に聞くところでは、東日本の放射線への反応は未だに凄いらしいですから。

まあ、なんちゅうか前に白血病患者7倍増デマとか白血病患者7%増デマがありましたが、あの頃よりスケールが小粒になった気はします。7倍増デマの時はわざわざ日医が声明を出し、7%増デマの時には週刊誌が書き立てましたから、チョットは落ち着いたぐらいで納得しておきます。