ホメパチ学長異聞

ホメパチ余聞みたいなお話です。山口の助産師のVitK不投与死亡事件からの日本学術会議の声明、それに連動するようなホメパチ批判、さらにホメパチ側の紋切り型の一向に挫けない反論は記憶に新しいところです。「挫けない反論」に関しては、ホメパチ側も商売がかかっていますから必死になって当然ですが、あまりの反論の紋切りさと言うか、宗教的確信の深さに驚かされました。

私的には1mmも譲るつもりのない相手に議論を重ねる事の徒労さと、議論の勝利よりも実態が周知された事で瞑すべしで終わった事件となっています。それでもホメパチに傾倒するなら、自己責任でヨロシクぐらいのスタンスです。まあ、ツケを払わされるのは医療者なので勘弁してくれの世界ですが、ネット上で展開する批判程度では、永久に頑張られると思うからです。

私は前線から脱落してしまいましたが、それでも医師の良心として放置できないとして取り組んでおられる方はおられます。これは皮肉ではなくて、本当に感心しています。あの不毛な議論を続けるのは並大抵の根性では無理だからです。もちろん野放しにする不利益は計り知れないものがありますから、声援だけは贈らせて頂きます。


そういう訳でホメパチの布教活動は今も続けられています。そういう方の中に、ハーネマンアカデミーオブホメオパシーなる団体があり、そこの学長が永松昌泰氏と仰るそうです。学長は永松学長のひとりごとなるブログを書かれているそうで、ホメオパシーの素晴らしさ(2)なるエントリーを書いているようです。

(2)と言うからには(1)もあるでしょうし、ひょっとしたら(3)とか(4)もあるかもしれませんが、(2)も含めて私の精神衛生上の観点から読んでいません。精神衛生上と言うよりも、下手に読んだら延々と反論を書きたくなり、そんだけ書いても「暖簾に腕押し」「糠に釘」「馬の耳に念仏」の徒労に終るのは確実ですから回避させて頂きます。

その(2)に対して、まぶたの匠 Dr. Go(中川 剛 なかがわ ごう)を書かれている中川剛氏がコメントを寄せています。残念ながら中川氏については私も知るところがないのですが、美容整形外科となっていますので、もしmoto様がご存知でしたら差し障りの無い範囲で情報下さい。今日の趣旨からして中川氏がどんな人物であるかはさして重要な問題ではないので、ホメパチ批判者の医師であるぐらいで話を進めます。

中川氏はコメントを寄せただけでなく、ホメパチ学長のブログを読まれた感想をホメオパシーが素晴らしいわけが無いとしてエントリーに仕立てられています。とりあえず学長ブログのコメ欄の状況についてこう書かれています。

2011年6月5日00:42現在、このエントリに寄せられたコメントで公開されているものは、控えめに見ても好意的な、私の目には気持ちの悪いほどに絶賛するコメントだけだ。

今の状況からして流行りもの的ホメパチ支持者の数は減り、残っているのは相当コアなシンパの方のみと想像していますから、「絶賛するコメント」がずらりと並ぶのは理解可能です。だいたい中途半端な批判など行なおうものならホメパチ式反論がワンサカ押し寄せますから、そういうところには批判者はそうそう書き込まないだろうからです。もっとも当該エントリーには「絶賛するコメント」は1個だけですので、中川氏は他のエントリーもウォッチされているのだと考えています。

そいでもって今回は中川氏自身が書き込んでいます。コメント書き込んだ結果、どんな議論に展開したのかを「あえて」知りたい方はリンク先を御参照下さい。引用するには長すぎるのと、ホメパチ式反論と言うか、ちょっと品の悪そうな応酬が展開されていますので省略します。ここになんですがNATROM様も参戦されています。今回の焦点は議論の内容ではなく、永松学長の議論の終息のさせ方です。実は中川氏に対してではなく、NATROM様への永松学長のコメントなんですが、

NATROMさま

 初めまして。あなたがNATROMさんなのですね。
いらっしゃるのを楽しみにしておりました。
これから、末長くよろしくお願いします。

・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・

いろいろと書きたいこともありますが、
 おそらくは長いお付き合いになるでしょうから、
 今日はこれくらいにしておきます。

さすがはNATROM様は有名人で、ここだけ読むと「ゆっくりお相手します」としか解釈しようがないコメントです。ではこれがどうなったかです。元のエントリーであるホメオパシーの素晴らしさ (2)は、

日時: 2011年05月24日 06:16

こうなっています。中川氏がエントリーに掲載しているコメントの投稿日時を拾っておくと、

日付 時刻
5/31 23:58
6/1 15:39
6/2 11:50
6/3 10:20
10:49
13:26
16:08
19:25


5/31から6/3にかけてコメント投稿があったのが確認されます。どうもこのコメ欄のやりとりに反応されたのか永松学長はブログのコメントについてと言うエントリーを

2011年06月04日 16:12

この時刻に立てられます。そこには、

ですので、これからは、
せっかくコメントをいただいても、
公開せずに「スルー」するコメントも出てくるでしょうし、
今まで公開していても、
その方を「晒し者」にするようなことは無意味で不適切だと考えて、
削除する場合もあると思います。

あしからず。

これを読まれた中川氏は、

この一文を読んで、私は慌てた。これは事実上の削除宣言だろうと。案の定、当該エントリに戻るとコメント数が減り始めている。

中川氏がエントリーに掲載したコメントは

自身のPC内に残されていたキャッシュから再生したのが上記のコメントだ

それでもって慌てて魚拓にしたのが、6/4の「18:40」です。この時点でコメントは5つに減っています。中川氏のコメントはまだ2つ残っていますが、NATROM様のコメントは既に削除されています。

念のために魚拓をチェックしてみると、

魚拓 コメント数 中川氏のコメント NATROM様のコメント
2011年5月31日 14:19 0個 0個 0個
2011年6月3日 13:44 7個 3個 0個
2011年6月4日 18:20 5個 2個 0個


実は中川氏が掲載された削除されたコメントで、永松学長の最後のNATROM様へのレス・コメントの投稿時刻がありません。その前の永松学長のコメントが19:25です。内容からしてそれほど時間を開けて書いたとは考えられません。と言うのは、コメントについては承認制のようなので、魚拓にある6/3の13:44の時点ではまだコメントを承認しておらず、19:25に時点で承認しながらレス・コメントを書いたと考えるのが妥当です。

そうなると時刻関係を整理すると、

日付 時刻 事柄
6/3 13:26 NATROM様コメントを投稿
13:44 誰かが魚拓を取る
19:25 永松学長がコメントを承認の上、2つのレス・コメントを書く
6/4 16:12 永松学長、エントリーにて削除宣言を行う
18:20 魚拓にてNATROM様のコメント削除確認


永松学長がNATROM様のコメントに「これから、末長くよろしくお願いします」としたのが6/3の19:25から20:00ぐらいと推察されるので、それを翻す決意を書いたのは6/4の16:12としても良さそうです。中川氏は

永松学長の言う所の「末長く」「長い間」とは、5時間14分を超えるものでは無いようだ。

これは検証する限りもう少し長くて、20時間程度とした方が良さそうな気がします。もっとも実際のウォッチャーは中川氏ですから、「5時間14分」の時点でNATROM様のコメントが既に消去されているのを確認されたのかもしれません。いずれにしても永松学長の言う所の「末長く」「長い間」とは1日を超えるものでないのだけは事実として残ってしまいました。


実は大した話ではありません。ホメパチと言うバイアスが入るのでわかり難くなるのですが、事実を単純化して見ると、

  1. エントリーに対して批判的なコメントが寄せられる
  2. 最初は相手をしていたが、ブログ主は「荒らし」「粘着」さらには「被害拡大」の懸念を抱いた
  3. コメ欄が荒れない様に問題コメントの削除を決断した
  4. 削除宣言を出した上で、「問題」と判断したコメントを削除した
自分のブログが荒れない様に、この程度の対策を行うのはブログ主からすれば余裕で裁量範囲と考えます。私だって類似の対策を時に取ります。あえて注文を付ければ、中川氏への対応はともかく、NATROM様への対応はチト不手際だった言うところでしょうか。コメントにレスした時は「末長くよろしくお願いします」の判断があったのだと思いますが、これをあっさり翻している点です。コメントは承認制ですので、もう少しコメント内容を考慮すべきであったかもしれません。

ま、あくまでも異聞、余聞程度のお話ですので、今日はこの辺で。