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10/28付Asahi.comより、

教授の人権侵害と朝日新聞社に通知書 東大医科研報道

 東京大学医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンを使った付属病院の臨床試験で起きた有害事象が、ペプチドの提供先である他の医療機関に伝えられていなかったと報じた15、16日付朝日新聞朝刊の記事に関し、中村祐輔・東大医科研教授は代理人の弁護士を通じて、「一連の報道は重大な人権侵害」だとする通知書を、27日付で朝日新聞社の秋山耿太郎社長あてに送った。

 通知書では「記事には基本的な医学的知識ないし表現の誤りや基本的な事実に関する事実誤認が含まれている」などとして、事実関係や取材経緯について検証を行い、その結果を明らかにするよう求めている。

 ■朝日新聞社広報部の話 当該記事は、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から問題があることを、東大医科研病院の事例を通じて指摘したもので、確かな取材に基づいています。

な〜るほど、医科研の抗議文も公開されています。

これが記事の主題であり、主張が国家管理にせよである事がわかります。それはそれで良いとしても、東大医科研から指摘があった、
    記事には基本的な医学的知識ないし表現の誤りや基本的な事実に関する事実誤認が含まれている
これに対しては、
    確かな取材に基づいています。
「医学的知識ないし表現の誤り」も「基本的な事実に関する事実誤認」も存在しないと公式発表したことになります。つう事は、たとえばですが朝日は今回のペプチドワクチンの開発者は「確かな取材」に基づいてやはり中村教授であると見なしてよいのでしょうか。それとも「とあるペプチドワクチンを開発したのが中村教授」であって、朝日は「今回のペプチドワクチンの開発者とは一言も書いていない」と力説されるのでしょうか。

中村教授の件は抗議文には見当たらないようですから、「具体的な指摘が無い」として朝日は答える必要はないかもしれませんが、抗議文にある、

 記事には、『記者が今年7月、複数のがんを対象にペプチドの臨床試験を行っているある大学病院の関係者に、有害事象の情報が詳細に記された医科研病院の計画書を示した。さらに医科研病院でも消化管出血があったことを伝えると、医科研側に情報提供を求めたこともあっただけに、この関係者は戸惑いを隠せなかった。「私たちが知りたかった情報であり、患者にも知らされるべき情報だ。なぜ提供してくれなかったのだろうか。」』とあります。

 我々は東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターとの共同研究として臨床研究を実施している研究者、関係者であり、我々の中にしかこの「関係者」は存在し得ないはずです。しかし、我々の中で認知しうるかぎりの範囲の施設内関係者に調査した結果、我々の施設の中には、直接取材は受けたが、朝日新聞記事内容に該当するような応答をした「関係者」は存在しませんでした。

 我々の臨床研究ネットワーク施設の中で、出河編集委員、野呂論説委員から直接の対面取材に唯一、応じた施設は7月9日に取材を受けた大阪大学のみでした。しかし、この大阪大学の関係者と、出河編集委員、野呂論説委員との取材の中では、記事に書かれている発言が全く述べられていないことを確認いたしました。したがって、われわれの中に、「関係者」とされる人物は存在しえず、我々の調査からは、10 月15 日朝刊社会面記事は極めて「捏造」の可能性が高いと判断せざるを得ません。朝日新聞の取材過程の適切性についての検証と、記事の根拠となった事実関係の真相究明を求めると同時に、記事となった「関係者」が本当に存在するのか、我々は大いに疑問を持っており、その根拠の提示を求めるものであります。

この指摘については間違い無く「確かな取材」と返答したのは間違いありません。ここについては例の「取材源の秘匿」で頑張られると予想しておきます。最後にBugsy様のコメントを紹介しておきます。

こりゃ血が出るな。もう後には引けんでしょう。

私も事態が圧縮されて臨界点に達しようとしている感触を持ちます。どうなるんでしょうね。