総合医資格・・・なんか頑張っているみたいです

6/26付m3.com医療維新「家庭医療専門医は質とアクセス、どちらを優先すべきか」よりと言いたいのですが、全文引用すると長いのでツマミ食いしながら読んでいきます。とりあえず日本プライマリ・ケア連合学会てのがあるみたいなんですが、これは、

日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の三つの学会が今年4月に合併して誕生

ゴメンナサイ、どれも聞いたことがないのですが、「総合医総合医」と国策が振り回されていますから、大同団結したそうです。でもって学会の当面の目標は、

当面の課題が専門医・認定制度の確立

認定医、専門医制度がなければ学会じゃないというところかもしれません。それも

医療法に基づく「広告可能な専門医」

だそうです。それでもって、専門医認定の基本条件として、

認定制度検討委員会委員長を務める、伊藤澄信・国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部長は、「厚生労働省医政局総務課と広告規制緩和に関する協議を行ったところ、きちんとした研修施設で研修を受けていない人を専門医として認めるわけにはいかな、と言われた」と説明。

ほぉ、

    きちんとした研修施設で研修
ええかげんな研修施設より、きちんとした研修施設の方が望ましいですが、現状でどれほど「きちんとした研修施設」がどの程度の規模であるかと言えば、

家庭医療専門医の養成数について、『今は年間約20人だが、将来は100人、200人にしたい』と説明

現在の養成規模は20人程度で、これを将来的に10倍にしたいと言うのが学会の構想のようです。マックスの200人で10年養成して2000人程度と言う事のようです。これを狭き門と言うべきなのか、学会が予想している総合医の需要がこの程度なのかは私にはわかりません。とりあえず現在の家庭医療専門医は、

「家庭医療専門医」は、「プログラム認定」。つまり、2年間の卒後臨床研修を終了後、学会が認定した後期研修プログラムで3年間研修した医師に対し、「家庭医療専門医」の受験資格を付与する形を基本とする(2014年3月までは、前日本プライマリ・ケア学会の専門医Aコース(所定の5年間の研修修了者)とするなど、移行措置あり)。

あんまり興味が無いので大雑把にこの辺のお話をまとめておくと、総合医の養成は新卒から基本的に5年間のストレートコースを基本とするようですが、それでは当然のように専門医はなかなか増えません。そこで開業医であっても総合医的な医療を実践している医師にも経過措置で専門医資格を付与して数を増やそうの意見が出ているそうです。

ただ厚労省は「きちんとした研修施設」での研修を専門医資格の必須条件としており、調整にこれから取り組んでいくと予定みたいな話で良いかと思います。家庭医療専門医の資格が何とか欲しい開業医の方は動向に注目していてください。


さて家庭医療専門医のほかに病院総合診療専門医(病院総合医)と言うのも作るそうです。これはまだまだ構想中だそうですが、現在のところ求められる能力として挙げられているのは、

  1. 内科を中心とした幅広い初期診療能力(1次、2次救急を含む)
  2. 病棟を管理運営する能力
  3. 他科やコメディカルとの関係を調整する能力
  4. 病院医療の質を改善する能力
  5. 診療の現場において初期・後期研修医を教育する能力
  6. 診療に根ざした研究に携わる能力
こんな能力を発揮するのが病院総合医だそうです。こりゃ、なかなか大変そうな資格ですが、実際に病院の中で具体的にどんなポジションになるのか非常に興味深いところです。6つの条件だけで思いつくのは・・・病院から離れて久しいので、私が言うのは控えさして頂きます。本音で言えば「何をする医師なのか、よ〜わからん」です。

それと気になるのは家庭総合医(家庭医療専門医)との関係です。まだ構想が十分に固まりきっていないようですが、とりあえず家庭総合医は卒業から5年間のストレート・コースみたいですが、そこから病院総合医が別資格ならば、さらに2年から3年間の「きちんとした研修施設」での研修が必要になるんでしょうか。それとも最初から基本的にチョイスで家庭総合医か病院総合医の5年間コースでも作るんでしょうか。

そうそう、病院総合医も病院内のポジションが想像し難いものでしたが、家庭総合医となるともっと想像しにくくなります。やはり家庭総合医科みたいなものが出来て、外来や病棟を受け持つんでしょうね。別に家庭総合医に「家庭」が付くから開業しなくてはならないわけじゃないでしょうし。そうなると総合医が増えれば、大きな病院では家庭総合医科と病院総合医科が並立するかもしれません。


総合医がやたらともてはやされ、現在の医療の救世主みたいに取り扱われる傾向がありますが、私は今でも「何をする医師」なのかイメージが固まりません。今までの日本の医療に無かった概念とは言えますから、イメージするのが難しいのは当然かもしれませんが、なんとなく今の医療の矛盾点をすべて総合医に投げ込んで処理しようとしている様に感じられるのが不思議です。

べつに総合医なるものを全面否定しようなんて気はサラサラありませんが、総合医と言われだして、それなりに年月が過ぎていますから、医療の中での受け持ちポジションがもう少し明瞭になっても良さそうな気だけはしています。あくまでも私がそう感じるだけですが、妙に過大な期待だけを背負わされて「実際は?」なんて事になる懸念を強く抱いています。世間が総合医に抱く期待はどうも、

    あらゆるジャンルをなんでも出来るのが総合医
こういう感覚が先行しているようですが、病院総合医に求められる条件を読む限りでは、中途半端な内科医みたいにしか感じられません。連合学会も追い風に勇んでいるようですが、後で世間が求めているイメージとのギャップに苦しまれない様に心配しておきます。私はこの歳から総合医の資格には興味がありませんが、漠然と取得するのも活用するも大変そうだと感じるばかりです。