枝野氏に影響を及ぼしたのは、だ〜れだ♪

息抜きの雑談です。5/9付朝日新聞より、

 枝野幸男・行政刷新相は9日、さいたま市で講演し、海外に子どもがいる在日外国人が、子ども手当の支給対象となることについて「率直に言って対応を間違った。国民に不信を招く結果になったことを謙虚に反省すべきだと思う」と語り、制度設計に問題があったとの認識を示した。

 子ども手当をめぐっては、兵庫県尼崎市に住む韓国人男性が、海外にいる554人と養子縁組しているとして、総額約8600万円の手当を申請した例があり、国会でも制度の問題点が取り上げられていた。枝野氏は講演後、記者団に「日本とかかわりなく外国に住んでいる方、日本国籍がなく外国に住んでいる方が支給対象になるのは、国民感情として理解が得られない。批判を受けない制度に変えたい」と述べた。

これは100人トライ問題554人トライとして現実に起こった事を踏まえてのものであるのはわかります。では100人トライ問題が法案検討時に懸念されなかったかと言えば十分懸念されています。委員会強行採決のあった日でも指摘があり、これに長妻大臣がまともに答弁できなかった事は子ども手当への100人トライ国会質疑にも書いた事があります。

今日はメディア・リテラリシーの敷居をわざと下げますが(話題としてはその程度なので・・・)、面白いのは枝野氏が554人トライ問題が現実に起こって初めて問題点に気がついておられる様に思えることです。まあ担当が違うので委員会審議の内容を知らなくとも仕方が無いのですが、子ども手当法案は民主党政権が沽券にかけて実現させたものですから、ちょっとぐらいは知って欲しかったところです。

枝野氏が100人トライ問題を知らなかったことをどうこう言うつもりはあんまり無いのですが、100人トライ問題が子ども手当法案で問題視されたのは事実です。そういう問題点を事実上法案を作成し決定する民主党や政府に、どうやって訴えたら良いのだろうと言うのに興味を持ちました。法案決定前に見つかった問題点ですから、決定する前に修正するのが本筋であり、国益にも叶うはずだからです。

教科書的には法案を審議し決定する立法府こそがその場になるはずです。つうかそれ以外の場には権限が無いのが大原則です。実際にも国会の委員会審議で指摘が行われています。しかし政府与党は結果として耳を傾けていません。つまり国会で国会議員がいくら指摘しても効果は乏しい事になります。法案は委員会だけではなく本会議でも可決されていますから、枝野氏も法案に欠点は無いと判断して賛成票を投じられたはずです。

その枝野氏が「突然」欠点に気が付かれたわけです。記事にもその事は明記されています。

    制度設計に問題があったとの認識を示した
枝野氏の認識が改まったのは委員会審議によるものではないだろうと考えています。枝野氏ほどの有力政治家が、制度設計に問題がある法案に安易に本会議で賛成票を投じられないと考えるからです。100人トライ問題も委員会審議の指摘にまったく反応しなかった訳ではなく、指摘に対して厚労省は現実的な対応を行なっています。

子ども手当について 一問一答に、

母国で50人の孤児と養子縁組を行った外国人については、支給要件を満たしませんので、子ども手当は支給されません。

554人トライの時もこのQ&Aに基いて厚労省は「554人だから」と即日申請却下の判断を行なっています。この対応は100人トライ問題に対する厚労省の非常に具体的な対応を示しています。そういう対応を行なっていても枝野氏は制度設計の不備を突然認識されたわけです。


枝野氏が認識を改められたのは自力でそうされた可能性も十分ありますが、枝野氏も行政刷新相の重責を担われているわけですから、自分の受け持ち分野の仕事に忙殺されているはずです。そうそう決定されたばかりの子ども手当法案の制度設計の不備まで腰を据えて検討する余裕は少ないかと考えるのが妥当です。

そうなると誰かが枝野氏に助言をされた可能性が強いと考えられます。長い前フリでしたが、この「誰かが」誰であろうと言うのに興味があります。まず委員会で不備を指摘した野党議員で無いだろうと考えます。委員会審議に枝野氏は参加されていませんし、まさか議事録を取り寄せて詳細に検討するなんて事は為されないであろうと言う事です。


色々考えを巡らしてみたのですが、医師としての日常診療でこういう経験があります。診療ですから医療に関する相談や質問を聞いて答えるのですが、ある人物からの助言を強硬な根拠として主張される方が時におられます。小児科で良くあるのは、

  • 母がそう言っていた
  • 友達がそう言っていた
  • 隣のおばちゃんがそう言っていた
これも医学的に「正しい事」であるのなら問題はないのですが、かなりトンデモ系の主張である事がしばしばあります。全くのウソとまで言いませんが、そんな事を言い出したら医療はなんでもありの世界になってしまう類のものです。ですから「そういう事はありませんよ」とやんわり説明するのですが、これが実に深く信じ込まれておられるのです。

「そこまで言うなら、他所で診てもらえ」の本音を押し隠しながら忍耐強く説明するのですが、これが実に手強いのです。ある種の宗教的確信みたいな感じです。なんとかかんとか納得させたつもりで診察を終えても、顔には不信感アリアリで、そのまま二度と受診されない方もおられますが、後日にリターンマッチを挑まれる方も少なくありません。

そういう方を云々するつもりはないのですが、ここで言いたいのはそういう風に信じ込ませる「隣のおばちゃん」の壮大な影響力です。ひょっとして枝野氏が認識を改められたのも「隣のおばちゃん」的な影響力を持つ人物のためではないだろうかと言う事です。影響力の強力さは日常診療でよく承知しています。

それとこういう言葉もあります。

    上行なえば、下これにならう
民主党政権の「上」とは一応首相ですが、首相もこれまでの実績から「誰か」からの影響力を非常に受けやすい様に思います。そうでもなければ、あれだけコロコロ言動がぶれる事はないと考えています。首相がそうですから、それに従う閣僚も同じように振舞うのは自然の成り行きのように思います。昔から「朱に交われば赤くなる」って言いますからね。

実に侮り難い「隣のおばちゃん」パワーです。あらら、何を書きたかったのか意味不明の結びになってしまいましたが、こんな日もあるとお目こぼし下さい。