(山井政務官)
昨日の夜に子ども手当の件で投げ込みをさせていただきましたが、市町村に対して子ども手当のQ&Aを改めて出させていただきました。今日の午前中にはホームページにも掲載させていただきます。その中の重点の一つは外国人の支給についてでして、厚生労働省にも「日本にいる外国人が、母国で50人養子を貰ったら子ども手当が出るのか」という問い合わせが相次いでおりますが、これは当然出ません。ですから、そういう50人とか、100人とかいう問い合わせがありましたので、そのことも答えさせていただきました。これについては、先日もお配りさせていただきましたが、3月31日付けで「年2回は面会」という確認は、お子さんが飛行機に乗って日本に来たか、もしくは、親が飛行機に乗って母国に帰ったかという飛行機のチケットなどで確認をします。また、「4ヶ月に一回は送金」、さらに「同居要件」というのは帰国してから親子が暮らすのではなくて、当然今までからも日本に親が来る前にも親が同居していないと当然駄目なわけで、日本に来てから養子を取りましたという話は全く駄目です。今まで市町村で統一のフォーマットがありませんでしたから、今回は外国人に対する申請書の統一のフォーマットも作りました。また、今まで証明書について「外国人本人が翻訳したら窓口は正しいかどうか判断しようがないではないか」という相談も市町村からもございましたので、今回は「第3者の日本人がそれを翻訳して証明せねばならない」ということも徹底させていただきました。特に市町村は今回子ども手当の要件に関して、分からない点も当然あろうかと思いますので、今回出した市町村、都道府県への通知の中では厚生労働省の連絡先も明記して、何かあれば連絡して欲しいということを書かせていただきました。繰り返しになりますが、子ども手当のために養子を取って、子ども手当を外国に住んでいる方が貰うということは、子ども手当の趣旨では全くありません。そこは前から言っていたことですが、そういう問い合わせが多くありますので、明確に否定をさせていただきますし、そのことを改めて地方自治体に通知をし、今日の午前中にホームページに掲載させていただきます。
ちょっと長いのでポイントをピックアップして読んでみます。
外国人が母国で養子を取っても子ども手当は支給しないと言う事でしょうか。そうなれば日本人ならどうなるも疑問も出てきますが、-
これについては、先日もお配りさせていただきましたが、3月31日付けで「年2回は面会」という確認は、お子さんが飛行機に乗って日本に来たか、もしくは、親が飛行機に乗って母国に帰ったかという飛行機のチケットなどで確認をします。また、「4ヶ月に一回は送金」、さらに「同居要件」というのは帰国してから親子が暮らすのではなくて、当然今までからも日本に親が来る前にも親が同居していないと当然駄目なわけで、日本に来てから養子を取りましたという話は全く駄目です。
- 年2回は面会
- 4ヶ月に一回は送金
- 同居要件
- 少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。
- 親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていること。
- 来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。
- これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。
- 日本国内に居住している翻訳者による日本語の翻訳書の添付を求め、その者の署名、押印及び連絡先の記載を求めること。
これで100人の養子が防げるかですが、面会は親が母国に帰っても良いわけで、一度帰国で100人の養子に会っても問題はないと考えられます。送金も送ればよいわけで、母国で100人の養子を世話している人に送金すれば良いと考えられ、さらに母国から日本にいる養父母に送金するのも無問題でしょう。おそらく鍵になるのは同居要件になりそうです。
来日前に同居していたかどうかが条件になりそうですが、これってどうやって証明させるつもりでしょうか。公的な書類による証明を期待しているのなら失笑されそうな気がしてなりません。日本は戸籍がかなりしっかりしている国ですが、世界中がそうであるわけではありません。かなりいい加減な国も多く、さらには偽造書類が横行する国も珍しくありません。
その辺も含めての記者の質問が続きます。
(記者)
お子さんに会ったかどうかは、例えば、出入国のパスポートや、チケットだけでは厳密に会ったかどうかという証明にはならないという気がしますが、パスポートやチケットがあればいいのでしょうか。
(山井政務官)そのことについても出来るだけ確認して貰います。当然会ったという事実がないと駄目です。お子さんに会ったかどうか疑わしい場合には、出入国のパスポートだけでなく、写真などで確認することも考えられます。ですから、逆に言えば確認が出来ないということは支給出来ないということです。立証責任は申請する側にあるわけですから、本当のところ監護しているかどうか、生計同一かということを子ども手当を支給して欲しいという方が立証しない限り、分からないケースでの支給は困難です。そのことに関してはボーダーラインのケースはあると思いますので、そのことに関しては厚生労働省の相談窓口の連絡先を、地方自治体に対して今回明記させていただいたということです。今の御質問だけではなくて、様々なケースがあると思います。やはり、国によっても違いますし。それに心配しておりますのは、問い合わせに来る外国人の方も、今一つこの制度を分かっておられない方も多いということで、市町村の窓口も困っておられる部分があります。
ここは年に2回の面会条件の質問ですが、山井政務官は、
-
当然会ったという事実がないと駄目です
-
写真などで確認することも考えられます
-
本当のところ監護しているかどうか、生計同一かということを子ども手当を支給して欲しいという方が立証しない限り、分からないケースでの支給は困難です
「監護」とは、養育者が子どもの生活について通常必要とされる監督や保護を行っていると、社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実が認められることとなっており、養育者と子どもの間で定期的に面接、連絡が行われている必要があります。
また、「生計を同じくする」とは、子どもと親の間に生活の一体性があるということです。基本的には子どもと親が同居していることで認められます。しかしながら、勤務、修学等の事情により子どもと親が別居する場合には、従前は同居しているという事案が確認できるとともに、生活費等の送金が継続的に行われ、別居の事由が消滅したときは再び同居すると認められる必要があります。
なんだかんだと難しそうな条件を挙げていますが、そんな事を日本にいて書類審査だけでわかるかどうかの問題が出てきます。記者会見は続きます。
(記者)
国が出した証明書というものが本物であるのかどうかということについては、どうやって見分ける手立てを厚生労働省としてされるのでしょうか。
(山井政務官)ケースバイケースもあると思いますが、市町村の段階で見分けることが出来ないのであれば、厚生労働省に相談していただければと思います。大事なことは国民の税金であるわけですので、先ほども申し上げましたように信憑性が疑われる、正しいもの、確かなものと確認が出来ないのであれば、それは支給出来ないということです。正しいと確認出来るのであれば出せるという当然の原則です。
記者の質問はなかなか鋭いところを突いています。市町村なり厚労省が審査をするのは国内で提出された書類の審査です。記者は証明書の真偽を問題にしていますが、本物であっても実態は偽造と言う事さえありうるわけです。そもそも書類が偽造かどうかを判定するのさえ容易ではありませんし、偽った申請に基いたものかどうかなんてもっと判別は困難です。
山井政務官は
-
信憑性が疑われる、正しいもの、確かなものと確認が出来ないのであれば、それは支給出来ないということです
(記者)
養子縁組で子どもが50人いたら駄目なのではなくて、実際に50人、例えば牧師さんですとか、養護施設の園長さんでもいいですが、養子縁組していて実際に帰国している人は貰えるわけですか。
(山井政務官)そういうケースはあり得ないと思います。ですから、本当におられたら厚生労働省に相談していただけたらと思います。
(記者)基本的には駄目だということでしょうか。
(山井政務官)そうです。
(記者)本当にいる場合は相談してくれと。
(山井政務官)本当にいるとは思っておりませんし、繰り返しになりますが、今までから同居しておられないといけないわけですから。かつ、今回の子ども手当の趣旨というのは、そういう方々に出すという趣旨ではありません。御存知のように日本の子どもが外国に行っており、両親が日本にいる時にも過去30年間児童手当が出ているわけです。それで、逆に国内居住要件を子どもに課してしまうと、今すでに海外にいて児童手当を受け取っている子どもも出なくなるということで、今年度は続けております。そういう国籍要件を無くすという相互の条件でやっているわけですから、50人養子がいて云々という方々には児童手当もそうだと思いますが、子ども手当を出す趣旨にはなっておりません。御存知のように児童手当でもそういう問題は起きておりません。
山井政務官の論拠は児童手当で問題が起こっていないから「大丈夫だ」に聞こえてしまいます。ここで山井政務官の条件を完全に満たしながら、正しく100人養子を作り出す方法はあります。別に難しい話ではなく、母国に帰って100人の養子縁組を行い、無理やりでも一緒に暮らし、来年度に申請すれば文句の付け様がありません。実際に暮らしていなくとも、そうであるとの書類を整えてから来日すれば十分です。
もっともこの辺りは厚労省にしても本音では苦しいらしく、一問一答にはこうあります。
平成23年度以降の子ども手当については、子どもにも日本国内居住要件を課すことを検討します。
結局のところいかに山井政務官が力んだところで、海外100人養子の問題の根本的な防止は困難であり、そうなれば子どもを調査可能な国内にいるものに限定しようと言う発想のようです。現実的な対応策ではありますが、問題は一問一答の中にあります。
児童手当制度においては、1981年の「難民の地位に関する条約」の加入に当たり、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の趣旨も踏まえ、他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃しました。それ以来、国籍にかかわらず、親等が日本国内に居住している場合には、その子について監護が行われ、かつ、生計を同じくしているという支給要件に該当するときは、その子が国外に居住していても、支給対象となっています。
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約についてはリンク先を読んでいただきたいのですが、当然のようにこれとの整合性が問われる事になります。読み出したら頭痛がしたのであんまり読めていないのですが、単純には児童手当の時の裏返しの問題が生じないかです。ここは「よくわからない」にさせて頂きます。
それと日本国籍の人間でも海外に居住していれば、その子どもが日本人であり、実の親子であり、母親とともに日本に住んでおり、さらには父親からの送金で生計を立てていても、この子ども手当は支払われなかったはずです。海外赴任中の人がかなり悔しがっていました。
とにかく金額が金額の子ども手当ですから、いろいろ起こるでしょうね。簡単な試算ですが、来年度に本当に2万6000円になれば、
- 子ども1人で31万2000円
- 子ども2人で62万4000円
- 子ども3人で93万6000円
- 子ども10人で312万円
- 子ども100人で3120万円
(記者)
翻訳に必要な費用は、申請者が負担するということでしょうか。
(山井政務官)そういうことになります。やはり、大事なことは海外の言葉ですから市町村の方も100%分かるはずがないのですね。ですが、それが正しいものであるという証明は申請する側にしていただくということです。
そりゃ、懸命になって申請はやってくれると思います。