9/27付読売新聞・兵庫より、
新人医師採用へ特典 県が新制度
地方勤務後、最先端機関へ
深刻な医師不足に悩む県は、後期研修(専門医)を終えた新人医師を対象に、地方勤務後に、高度医療機関で働くことができる〈特典〉を盛り込んだ新たな採用制度を始める。県内の県立病院は医師不足に伴う入院・外来患者数の減少で、昨年度決算は45億円の赤字を計上するなど、厳しい経営状況が続く。県は「専門の医療設備が充実した職場は、若い医師たちにとって魅力的に映るはず」と来年度の勤務を見据え、10月から募集をする。
県立柏原病院では2004年度に43人いた医師が今年度は20人に減少するなど、県北部の医師不足が顕著という。
採用はこれまで病院単位が中心で、特にへき地の県立病院には人が集まらない状況が続いていた。新制度では、後期研修を修了し、県内の医療機関での勤務を希望する医学部卒業後6年目以降の医師(定員は30人程度)を募る。
期間は4年間で、最初の2年はへき地を含む公立病院での勤務になるが、残りの2年は災害医療センター(神戸市中央区)やこども病院(同市須磨区)、がんセンター(明石市)など、県が指定する最先端医療機関での勤務が認められる。また、県は、研修・研究費の負担も検討している。
県によると、県の病院事業は、769億円の累積赤字を抱え、貯金に相当する内部留保残高は約5億円と、ピーク時(2002年)の20分の1になるなど危機的状況に陥っている。
県医務課(078・362・3243)の担当者は「地方勤務はしんどいだろうが、高度医療機関で勉強できるのは価値がある。大勢の応募があれば良いが……」と話している。
白状しておくとssd様の二年間の窮日を読んで私も二番煎じをしたくなった話題です。一応のぢぎく県のお話なので触れても問題は無いぐらいの位置付けにしておきます。制度の対象は、
医学部卒業後6年目以降の医師(定員は30人程度)を募る
卒後6年目とは
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前期研修:2年
後期研修:2年
期間は4年間で、最初の2年はへき地を含む公立病院での勤務になるが、残りの2年は災害医療センター(神戸市中央区)やこども病院(同市須磨区)、がんセンター(明石市)など、県が指定する最先端医療機関での勤務が認められる。
条件が何故に4年かは分かりませんが、
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前半2年間は僻地公立病院勤務
後半2年間は県が指定する最先端医療機関
県立柏原病院では2004年度に43人いた医師が今年度は20人に減少するなど、県北部の医師不足が顕著という。
県立柏原はまず間違い無く「県北部=但馬」ですから赴任予定病院は、
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県立柏原、公立豊岡、公立八鹿、公立日高、公立出石、公立梁瀬、公立和田山、公立香住、公立浜坂、公立村岡
後半2年間の「特典」ですが、
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県が指定する最先端医療機関での勤務が認められる
「特典」の勤務先は、おそらくと言うか常識的に医師がリストの中から希望を出し、県が最終決定する形式かと思われます。私もさして詳しくないのですが、最先端医療機関の中でも人手不足の病院があったはずです。記事には掲載されていませんが、本来最先端医療機関として災害医療センターより上位にくるはずの姫路循環器センターです。
今回の公募に目論見どおり定員を満たすような医師が集まれば事情は変るでしょうが、数名程度なら後半の「特典」は姫循に特定される可能性があります。「特典」の2年間とは言えのぢぎく県も可能な限り有効利用したいでしょうし、のぢぎく県の財政事情も限りなく苦しいですから無駄金はビタ一文出したくないと考えます。
もう一つ気になるのは4年が終了した後です。今回の新制度による医師採用はどうも県職員として扱われるようです。そこのところをハッキリ書いていないので嘱託職員の可能性も否定できませんが、4年後でも医師不足事情が好転しているとは思いにくいところがありますから、「ハイ、サヨナラ」とはしたくはないと思われます。ごく自然に継続採用です。
この新制度での採用医師のミソは人事権を県が握るところです。2年間の僻地公立病院も2年間の特典病院も人事権は県が握っています。当然のように継続採用後も人事権は県が握っています。特典は終了していますから、次に配属される病院は県が医師不足に苦しんでいると判断されるところになるかと考えられます。わざわざ足りている病院に配属するのは県にとって無駄な事です。
医師の人事は複雑なのですが、それなりに足りている病院はいわゆる医局人事がまだ生き残っている病院になります。比較的足りている都市部の県立病院に配属しようとしても、医局人事で勤務している医師を県が動かす事は事実上無理です。強行すれば引き上げられてしまいます。そうなれば5年目に配属される病院は医局人事で穴が空いているところに限られます。
都市部の県立病院の可能性もありますが、やはり絶対的に不足している病院の方が優先されるのは常識です。そうなると今回の新採用制度の勤務病院のサイクルは、
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1〜2年目:県立柏原、公立豊岡、公立八鹿、公立日高、公立出石、公立梁瀬、公立和田山、公立香住、公立浜坂、公立村岡
3〜4年目:姫路循環器センター
5年目以降:県立柏原、公立豊岡、公立八鹿、公立日高、公立出石、公立梁瀬、公立和田山、公立香住、公立浜坂、公立村岡
これぐらいは医師なら少し調べればすぐ分かることなんですが、そこまで分かっていて応募する医師が果たしているかどうかです。先ほど応募が数名の話をしましたが、一番確率が高いのは応募「ゼロ」です。数名でも出てくれば驚きです。もちろん5年目以降は勤務しないつもりで特典目当てに応募する医師がいないとは言えませんが、30人が充足すると考える医師はおそらくいないと思います。
この手の官製企画は「ドクターバンク」「女医バンク」と類似のもので成功した験しがないものです。それでもわざわざ行なう理由は何かになります。もちろん会議室の中では応募が殺到して「嬉しい悲鳴」が上がる夢が語られているのかもしれませんが、そんな人間ばかりでは県政は運用できません。あえて考えられるのはこういう「医師募集に積極的であった」の姿勢と言うか実績を作るためではないかと考えています。
国からの支援と言っても長野や藤枝の例を見ればわかるようにアテにはならないですが、それでも県単独で対応できない事柄は国に頼むしか手がありません。のぢぎく県も財政が破綻しかけていますから、金額的に画期的なことはやりたくても出来ません。どうも毎年数十億円の予算が注ぎ込まれて会議だけしているような印象の地域支援中央会議ですが、あれが実質的に動く事を期待しての実績作りと考えられます。
ああいうところで優先されるところは条件としていろいろありますが、必要な条件の一つとして「懸命に努力していた」があります。今回ののぢぎく県の新制度も作るだけなら安価ですし、瓢箪から駒で応募医師が出てくれば儲け物、応募医師が出なくても努力した実績作りになります。ある種の生来への布石と考えれば理解できそうです。