ステトスコープ・チェロ・電鍵様が掲載されていた記事より、
後発医薬品の品質検証事業 メバロチン後発など10成分対象 品質検証へ今秋から試験開始
08/09/10
記事:Japan Medicine
提供:じほう厚生労働省が今年度から開始した、後発医薬品の品質上の問題の有無を検証する事業の対象が10成分であることが分かった。10成分には、スタチン系高脂血症治療薬プラバスタチンナトリウム(先発医薬品「メバロチン」)など大型製品の後発品も含まれている。今秋以降、国立医薬品食品衛生研究所や地方衛生研究所で品質を検証するための試験を順次開始する。結果は医薬品医療機器総合機構のホームページで公表する予定で、問題が確認された場合は企業に改善を促す。
同事業は、国立衛研の「ジェネリック医薬品品質情報検討会」を中心に実施する。
同検討会は7月の初会合で、昨年9月から今年3月までの学会報告・文献や、総合機構の2007年度相談事業で品質上の問題が指摘された後発品について検証。このうち<1>医療現場でも問題を指摘する声がある<2>医療上の重要性が高い<3>医療現場で広く使用-などの条件に合致する8成分について、国立衛研や地方衛研で試験を行い、品質上の問題の有無を検証することを決めた。溶出性試験などで品質検証 8成分で
8成分は、▽プラバスタチンナトリウム▽抗菌薬クラリスロマイシン(「クラリス」「クラリシッド」)▽同ノルフロキサシン(「バクシダール」)▽インフルエンザ等治療薬アマンタジン塩酸塩(「シンメトレル」)▽不眠症治療薬トリアゾラム(「ハルシオン」)▽同ブロチゾラム(「レンドルミン」)▽消炎鎮痛剤ロキソプロフェンナトリウム(「ロキソニン」)▽造影剤イオパミドール(「イオパミロン」)。このうち経口剤7成分(イオパミドール以外)は溶出性や含量の違い、注射剤のイオパミドールは不純物の違いなどを指摘する文献などがあった。
さらに、先発品と後発品の品質の違いなどが指摘されるときに「代表的な事例」として取り上げられる抗真菌薬イトラコナゾール(「イトリゾール」)と解毒薬の球形吸着炭(「クレメジン」)の2成分も対象に加えた。
試験では、文献などで指摘されている問題点に応じて、溶出性試験や純度試験、含量試験などを実施する
こんな事をやっているんだと単純に感心しました。これはあくまでも噂ですが、とある薬学の教授がゾロ品の検査データが先発品と寸分違わないものであったため、自ら検証し、その結果を発表しようとした事があったそうです。ところが学会は発表寸前で何故か差し止められ、せめて書籍にして発表しようとしたら、製作段階で次々と断りが入り、結局どこにも公表できなかったという有名な噂話があります。
それとこれは某先発メーカー筋から聞いた話ですが、そこでも後発品を作ろうという話になり、何種類か手がけたそうです。ところが特許公開部分で作り始めると、製品の安定性で問題が続出し、やっと数種の商品が販売可能になったが、これ以上手を広げるのは容易でないとしています。一方でゾロ品メーカーになると何十種類の製品を製造販売しているところもあり、どうやってあれだけ多種類作れるか想像もつかないとの感想を漏らしていました。
それ以外にもゾロ品を巡る噂は医療業界内で様々にあるのですが、「たった」10種類ですが検証作業を行なうとの記事です。その検証作業の中心になるのが、
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ジェネリック医薬品品質情報検討会
3.審議概要
- 開会
第一回の検討会の開会に際し、各委員より挨拶が行われた。
- 検討会に関する説明
西島座長より、資料1に基づき、検討会の趣旨等について説明された。
- 品目審議
- 平成19年9月〜平成20年3月までの間の文献及び学会発表、19年度の医薬品機器総合機構への相談内容等において、明らかに後発医薬品の品質に問題があることを示すものはないと評価された。
- これらのうち、文献等で用いられた試験方法等に問題があって、当該文献等の内容のみでは、後発医薬品の品質について判断できないものについては、念のため、試験方法の検討も含め、ワーキンググループで検討することとした。その品目は以下のものである。
□ アマンタジン塩酸塩錠
□ イオパミドール注射剤
□ クラリスロマイシン錠
□ トリアゾラム錠
□ プラバスタチンナトリウム錠
□ ブロチゾラム錠
□ ロキソプロフェンナトリウム錠
□ ノルフロキサシン錠
- また今回の文献等とは別に、イトラコナゾールとクレメジンについては種々の文献報告等があるので、これらの品目についても、同様にワーキンググループで検討することとした。
記事のモトネタがここかと考えられますが、このジェネリック医薬品品質情報検討会もほぼ間違い無く御用会議です。御用会議とは「結論ありき」で行なわれる儀式のようなものです。会議の結論を見るには委員の顔ぶれが参考になるのですが、これは会議資料にあり
氏名 | 肩書き |
西島 正弘 | 国立医薬品食品衛生研究所所長(座長) |
飯沼 雅朗 | (社)日本医師会常任理事 |
稲垣 明弘 | (社)日本歯科医師会常務理事 |
生出 泉太郎 | (社)日本薬剤師会副会長 |
武藤 正樹 | 有限責任中間法人日本ジェネリック医薬品学会理事長 |
永井 恒司 | NPOジェネリック医薬品協議会理事長 |
緒方 宏泰 | 明治薬科大学薬剤学教授 |
青柳 伸男 | (独)医薬品医療機器総合機構 顧問 |
喜多村 孝幸 | 日本医科大学附属病院・脳神経外科准教授 |
井関 健 | 北海道大学病院薬剤部長 |
楠本 正明 | 舞鶴共済病院薬剤部長 |
三上 栄一 | 愛知県衛生研究所化学部薬品化学科長 |
ゴメンナサイ、私はどなたも存じ上げません。強いて関心を引くと言えば「舞鶴共済病院薬剤部長」が何故メンバーに名を連ねているのか不思議なんですが、その筋では著名な方なのでしょうか。メンバーだけでは推理できないので事務局のメンバーを見てみます。御用会議では実質事務局が最終答申まで作成してしまうからです。
氏名 | 肩書き |
川西 徹 | 国立医薬品食品衛生研究所薬品部 |
四方田千佳子 | 国立医薬品食品衛生研究所薬品部 |
阿曽幸男 | 国立医薬品食品衛生研究所薬品部 |
中垣俊郎 | 厚生労働省審査管理課長 |
益山光一 | 厚生労働省審査管理課 |
山本 剛 | 厚生労働省監視指導・麻薬対策課 |
美上憲一 | 厚生労働省安全対策課 |
黒羽正吾 | 医薬品医療機器総合機構安全部 |
香川 仁 | 医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部 |
当然といえば当然ですが、厚労省のメンバーが名を連ねているのですが、議事概要のこの部分を注目してください。
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平成19年9月〜平成20年3月までの間の文献及び学会発表、19年度の医薬品医療機器総合機構への相談内容等において、明らかに後発医薬品の品質に問題があることを示すものはないと評価された。
ジェネリック医薬品は、生物学的同等性試験結果等に基づき、品質、有効性及び安全性が先発医薬品と同等であることを確認した上で、薬事法に基づき承認されたものである。
しかしながら、品質に対する懸念も見られることから、ジェネリック医薬品普及のためには、その品質の信頼性の向上を図ることが急務となっている。
このため、厚生労働省の委託を受けて、国立医薬品食品衛生研究所が、ジェネリック医薬品の品質に関する意見・質問・情報等について、学術的観点からの検討を、有識者の協力を得て行うこととした。
具体的には、本研究所の所長を座長とする検討会を設け、ジェネリック医薬品の品質にかかる懸念に関して、学術的な課題となるものを選定し、必要に応じて当該品目に関する試験検査を実施し、その品質の確認を行うこととする。検討結果については、必要に応じ提言を付した上で、厚生労働省医薬食品局に報告することとする。
ここにも
この線をそう簡単に譲るはずがないのは常識以前の話です。でもって会議の運用なんですが、会議は、企業の知的財産等が開示され特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれがあるため、原則、非公開とする。会議終了後、議事概要及び提出資料について、個人の秘密及び企業の知的財産等に関連する部分を除き、国立医薬品食品衛生研究所ホームページに公開する。
企業秘密に関するデータがでる可能性があるので「非公開」の理由は分からないでもありませんが、その懸念とされる
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企業の知的財産等が開示され
下記に挙げられた事項について、学術的な課題を選定の上、必要な検討を行う。
- 学会等での発表・研究論文の内容
- (独)医薬品医療機器総合機構に設置された後発品相談窓口に寄せられた意見・質問・情報
- その他、ジェネリック医薬品の品質に関する懸念等
検討項目はこれだけであるとしていますから、非公開にして隠蔽しなければならないほどの情報なんでしょうか。個人的には非公開にする事により、余ほど「やばい」事が話されているとの印象を強くします。それと記事にあった、
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試験では、文献などで指摘されている問題点に応じて、溶出性試験や純度試験、含量試験などを実施する
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念のため、試験方法の検討も含め
問題指摘論文集(著作権に係わるため非公開)
論文が「著作権」の問題で非公開とはちょっと驚きました。問題指摘論文を書いた著者は公開に誰一人応じなかったと考えたらよいのでしょうか。世の中に公開できない論文がそんなにたくさんあるとは、恥ずかしながら初めて知りました。その他の文献はしっかり公開されていますから、その差はなんだろうと素直に感じます。
とにかく、
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思いっきり不安だ!