今日はあくまでも与太話

たまにはお茶漬けみたいなサラサラ話で勘弁してください。お題は「汚染米」です。散々あっちこっちで論評されていますから、今さら感の強すぎる話ですが、与太話ですからそのつもりでよろしく。

汚染米の医学的な影響はNATROM氏が冷静にまとめられております。

評価方法についてはコメ欄で活発に議論されているのでよければ御参考にされればと思いますし、私はNATROM氏の主張に賛同します。こういう冷静な意見は広範囲に流通してしまった汚染米によるパニックを防ぐ上で貴重な意見です。ひたすら漠然とした危険性のみを煽るには好ましくなく、汚染米によるリスクを正しく評価するのも必要なことだからです。

しかし汚染米の影響を正しく評価する事と事件の重要性、悪質性は別問題です。この点はもちろんNATROM氏も理解して書かれています。汚染米の影響を冷静に科学的に評価する意味はあくまでも、

    食べるべきでない汚染米を食べてしまった。これは起こってはならない事だが、汚染米の影響は幸いな事にこの程度に止まる事が予想される。
あくまでも食べてしまった汚染米の医学的評価であり、これを流通させた業者や、流通を許した管理体制の責任は完全に別問題として扱わなければなりません。間違っても汚染米の影響が低いから、業者や管理体制の問題が軽くなるとかに結びつく事では無いという事です。ましてや影響が低いので、今後はこの程度の汚染米は問題無しにしようなんて方向には議論は進むはずもありません。これぐらいの事は誰でもキチンと区別して理解しているかと考えています。

ところが混同しているというか区別が曖昧になっている方もおられます。代表的なのは太田農相です。9/12付共同通信より、

太田農相「じたばた騒いでいない」 汚染米問題で

 太田誠一農相は12日、日本BS放送(BS11)の番組収録で、農薬などに汚染された事故米の不正転売問題で「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる。だからあんまりじたばた騒いでいない」と発言した。

 米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の汚染米が病院給食として消費されたほか、汚染米を原料にした焼酎やあられの自主回収が相次ぐなど国民生活に動揺を与えている問題に対し、当事者意識が欠如しているとも受け取れる農相の「じたばた」発言に野党から辞任を求める声が相次いだ。

 自民党の総裁選挙後の衆院解散が視野に入る中、消費者の「安心・安全」があらためて総選挙の争点になりそうだ。

 番組の中で農相は「そもそも焼酎は蒸留する過程で有害なものが分かれていくから(有毒性は)ほとんどない。中国ギョーザの(混入農薬の)濃度に比べて60万分の1の低濃度」などと発言。健康に問題がないとする理由に挙げた。さらに農相は「いいかげんに問題を扱っているんだろうと言われそうだから、あまり安全だ安全だと言わない。言わないんだけど安全だ」とも述べた。

番組内の発言の一部を切り取って批判する手法は好ましくないのですが、与太話なのでお目こぼし願います。どうもこの大臣は問題の本質を取り違えている様な気がします。たしかに「じたばた」騒ぐのはどうかと思うのですが、大臣は農林水産部門の最高責任者です。汚染米問題は食べた事による健康問題だけの話ではありません。本当の問題点として誰でも分かるのは、

    汚染米流通を許した国の管理体制
これが一番厳しく問われなければならないのです。流通した結果による健康被害と全く別に存在する問題です。汚染米を食べても健康被害が小さく見積もられるのは単にラッキーなだけの事であり、ラッキーな部分の説明するのは構いませんが、デリケートな問題だけに余ほど表現に神経を使う必要がありまあす。そういう芸ができる事が政治家に求められる部分であり、そういう点では失格大臣として良いと考えています。

ここで肝心の管理体制の問題への農水省の対応も不可解な部分はあります。9/16付読売新聞ですが、

汚染米関与は370社…農水省、午後にも調査結果公表へ

 米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)などが工業用の「事故米」を食用に転用していた問題で、新たに澱粉(でんぷん)製造会社「島田化学工業」(新潟県長岡市)も事故米の不正転用を行っていたことが16日、農林水産省の調査でわかった。

 また、仲介・販売などにかかわった業者数は同日現在で約370社にのぼることも判明。同省は同日午後にも、調査結果の詳細を公表する。

 農水省では今回、事故米の転売先の名称などについて関係企業の同意を得てから公表してきたが、このため公表が遅れて批判を受けたことから、16日午後の公表時には、同意を得られなかった企業についても明らかにすることにした。

 同省では事故米の流通実態を調査、検証するため、法曹関係者や消費者団体の代表などによる第三者委員会を近く設置し、その結果を踏まえて関係職員の処分を行う考え。16日午前の記者会見で太田農相は「三笠フーズは言語道断だが、農水省がこれを長期にわたって見逃し、食の安全の不安を招いたことの責任を痛感している」と述べた。

気になるのは

    農水省では今回、事故米の転売先の名称などについて関係企業の同意を得てから公表してきた
同意が得られなかったら公表しないつもりであった事がわかります。汚染米の医学的影響が小さいにしろ「食べたか」「食べてないか」は誰でも関心があります。かなり広範囲の流通であったのは各種報道から明らかですが、その中に自分が含まれているかどうかは知りたいのは人情です。また転売がかなりくり返されていた可能性もあり、食品業者によっては今でも知らずに使っている可能性もあるんじゃないかと思ったりします。

農水省に現在求められている役割は一刻も早く流通ルートを解明し、未使用の汚染米の回収と汚染米から作られた食品の回収を行なう事です。業者への配慮もするなとは言いませんが、優先度の付け方に違和感を感じます。どうにも汚染米を転売した業者の配慮が重く、これを買って食品にしてしまった業者、さらにそれを食べてしまった消費者への配慮が軽すぎる様な気がします。

この辺は焼酎までどうこう言うのは過剰反応の見方もありますが、事件がこれだけの社会的影響を及ぼせば、まず事態の収拾のために早期回収を行う事が必要です。こういう基準と言うのはギリギリの安全性ではなくマージンを取っての基準ですから、今回のように流通しても実害が少なく見積もられる事はあります。ただこれは広い意味でのセーフティ・ネットであり、流通が即時に致命的にならないようになっているとも考えられます。今後の議論として焼酎ならこの程度はOKの基準を作るなら、それはそれで別の話ですが、現時点では騒ぎの沈静化のために必要な処置と考えます。

ここからが与太話の本題なんですが、農水省の及び腰の態度を見て思い当たる事があります。天漢日乗様のところで見かけた2ch情報です。あくまでも2ch情報ですから、そのつもりで読んで欲しいですし、今日のお題を与太話にしているのもそのせいです。

国は売りさばく為に「今後この業界で商売するなら・・・」とか圧力とも取れる言い方で入札に参加させてたんだよ
それも工業用に有効利用できる業者だけでなく、食品用としてしか販売してない業者にも見境無く声掛けてたんだよ
うちの会社も打診があったけど社長が「うちでは利用方法が無い」といって断ったら省庁関係の嫌がらせがワンサカ。

この話にどれほど信憑性を置くかは皆様のご判断です。汚染米流通ルートの解明に及び腰の農水省汚染米を食べても大丈夫との大臣発言。二つをあわせると、汚染米は流通してしまったが、食べても心配ないから三笠フードに全責任を負わせて事件の幕引きとしたい意図があるように勘ぐられます。そうする事により何かを隠したいんじゃないかの邪推の余地です。

考えれば時期も農水省としては幸いで、国会は閉幕中の上に政権は完全に死に体で、さらにその上に総裁選騒ぎです。総裁選後に新内閣は発足するでしょうが現農相は間違い無く入れ替えられます。さらにさらに臨時国会の冒頭解散説も有力視され総選挙のお祭り騒ぎが起こります。この政治の季節のうちに事件を矮小化して尻すぼみにさせたい狙いが見える様な気がします。

てなところで与太話は終わらせて頂きます。