がんばってネ♪

春野ことり様の医療の評価  ああ、勘違いより、

さて、今日の外来中のことです。

次の患者さんのカルテを取ろうと後ろを振り返ったら、化粧の濃い60代とおぼしき女性が後ろに立っていて、「こんにちは」と声をかけられました。

誰だかわからないまま、「こんにちは」と挨拶を返し、次の患者のカルテを手に取って開こうとしたところ、いきなり、その女性から

「先生は、患者さんに自己紹介をしていますか?」

と言われました。

「は?」

そこで初めて、この人が病院が雇っている接遇講師と気がついたのでした。

「だいたい、私が立って挨拶しているのに、どうして座って挨拶するんですか?立って挨拶するのが常識でしょう。

患者さんと話すときに、こんな風に目線の高さが違うことが医療不信のもとになるんですよ!」

いきなり叱られました。

っつうか・・・

外来中にいきなり背後に立っていた名前も名乗らぬ見知らぬ人から、立って挨拶しないのは非常識と叱られる道理が全くわかりませんでした。

どっちが非常識なんでしょう。

「目線の高さが医療不信のもと」って、患者さんとは目線の高さ合わせてます。あなた患者じゃないし。余計なお世話じゃ。だいたい、そっちからまず名を名乗って自己紹介したらどうだ

と言いたいところでしたが、それを言い出すと次の患者さんを余計にお待たせすることになってしまうので、早く去って欲しい一心で

「それは失礼いたしました」

と謝っておきました。

すると、その女性は

「今度の機能評価では医師にとくに厳しいんですからね。患者さんに自己紹介しているかどうかとか、そういうところが評価の対象になるんですから、気をつけるように」

と説教して去っていきました。

本当に御苦労様です。病院機能評価機構について、私が持っている情報は去年段階のものでチト古いのですが、まずメリットは、

この機構の評価を受けることが、ターミナルケア施設への扶助を貰うための条件にされています

春野ことり様は「天国へのビザ」(ゴメン、まだ読んでいません)という本を書かれているぐらいですから、この点は病院にとってメリットかもしれません。もっとも春野ことり様の勤務病院にターミナルケア施設があるか、これから設置ないし建設予定としてです。

デメリットと言うか認定に必要な費用です。これもあくまでも去年段階の情報ですが、


病院種別・病床等区分 評価料金
一般病院種別A200床未満 120万円
精神病院種別A長期療養病院種別200床未満 140万円
複合病院種別A現行一般病院種別A200床以上 180万円
一般病院種別B精神病院種別A400床以上、精神病院種別B長期療養病院種別200床以上、複合病院種別B新料金一般・複合100床未満 120万円
精神・長期療養200床未満一般・複合100床-200床未満 150万円
精神・長期療養200床-400床未満一般・複合200床-500床未満 200万円
精神・長期療養400床以上一般・複合500床以上 250万円


これは評価に必要な基本料金ですが、これ以外に

評価認定料以外に、医療機関に「賛助会員」になることが求められ、毎年50万円ほどの会費が徴収されています。

さらにになりますが、病院機能評価の認定は難関とされます。難関で落ちるというよりは認定をもらうために費やされる時間と労力が壮大であるという事です。どれぐらい大変かですが、これについていくつか感想があるのですが、

Ver5とDPCを同時に進めている同地域の病院の同僚に聞きましたが、医師だけでなく全員ヘトヘトだそうで、マジ病院の存続がヤバイかもと言っていました。というのは入院患者が激減(半分!)しているとか。医師も看護師も疲れ果てて、外来点滴で済ましちゃうそうです。機能評価が終わるまでオペを入れていない外科系科もあるそうです。本末転倒ですね。僻地公立病院はDPCに入らないとやばいらしく、同時進行は仕方がないと。

業務に差し支えるのは間違いなさそうです。DPCも大変そうですね。手間と暇がかかるのはある程度理由があって、審査基準が500項目以上あって、それに対する具体的な対策が明記されていないのです。たとえば、

4.1.5.2 主治医・担当医が明確になっており、診療の責任体制が確立している

  1. 院内で主治医資格が具体的に定められている
  2. グループ診療や担当医をおいている場合でも、責任者である主治医を明確にしている

読んで頂ければわかるように「主治医資格」とはなんぞやで、「責任体制」とか「明確にしている」とは具体的にどうすれば良いのかがわからない仕組みです。ではどうするかと言えば、病院側が知恵を絞って回答を出し、それを評価員が「あきまへんな」みたいな繰り返しをするうちに答えが分かってくるみたいなシステムだそうです。病院側としては既に認定を受けている病院に連絡を取ったりして情報を必死に集めるわけです。そうそう労務管理についてはフリーパスとも聞いています。

もちろん機能評価機構も手を拱いているわけではなく、

    病院機能評価 統合版評価項目解説集 31,500円(本体価格30,000円)
こういうものを販売しているようです。でもこれ一冊と言うわけにはいかないでしょうね。病院機能評価機構の審査員が病院をうろつく訳ですから、各部署に必要なだけそろえるようにぐらいの指導はあるかもしれません。コピーでばらまいたら著作権の問題も出てきそうですし。

ところで春野ことり様は病院機能評価を受けているわけではなく、病院機能評価を受けるためのコンサルタントが来ている状態のようです。上記したように難関ですから、家庭教師を雇って傾向と対策をやっていると表現すればよろしいでしゅうか。もちろんこのコンサルタント料もタダではなく、500万とも聞いていますが、施設規模によって異なるらしく、

うわさではコンサルタントに1000万以上

てな話もあるそうです。それと一度認証されれば永久ライセンスかと言えばそうではなく、

機能評価の認定機関は5年間で、5年後には更新審査を受審し継続性を含めて再評価されます。

再評価時の料金も同じとされています。さらに5年のうちにヴァージョンがあがったり、同じヴァージョンであっても審査基準が変わる事も珍しくないそうで、コンサルタント料から最悪もう一度必要になると聞いています。春野ことり様のエントリーにも、

    「今度の機能評価では医師にとくに厳しいんですからね。患者さんに自己紹介しているかどうかとか、そういうところが評価の対象になるんですから、気をつけるように」
新たな審査ポイントの情報の入手は絶対に必要なことです。それと評価料金に含まれていないものとして、

サーベイヤーの宿泊料・旅費は別、電話相談は30分5万円

サーベイヤーと言うのが審査員の事です。もちろんサーベイヤーがお1人とは限りません。サーベイヤーの応募資格の概要なるものがあり、

 ・ 診療管理領域:病院長、副院長経験5年以上
 ・ 看護管理領域:看護部長経験5年以上
 ・ 事務管理領域:事務部長経験5年以上
 ・ その他、上記に準じる経験、見識を有する方など

これからすると最低でも診療管理領域、看護管理領域、事務管理領域の3人は最低限必要になります。もちろんの事ですが、交通機関・宿泊施設も十分気を使う必要があるのは言うまでもありません。間違ってもベッドハウスやユースホステル、ましてや病院前にテントを張って「ハイ、どうぞ」てな事は出来ません。

現在2503施設が認定を受けているようです。年間の賛助会費の収入は、

    2530(施設)×50万円(年会費)=12億5150万円
5年ごとに真面目に再評価を受けていたら年間500施設は審査されます。審査料は7つの区分に分かれており、検査件数の比重がどうなっているか分かりませんが、単純平均すると165万円になります。そうなれば、
    500(施設)×165万円(評価料金単純平均)=8億2500万円
両方で20億円ほどになります。マニュアル本の料金とか交通費・宿泊費は別です。病院評価機構の収入はこれぐらいですが、考えてみればコンサルタント料もかなりの額になります。これを仮に500万円とすると、アレレレ、病院評価機構より収入は多そうですね。ちなみに春野ことり様の病院にいらっしゃったコンサルタントの肩書きは、

意識改革・業務改革・CSコンサルタント・心理カウンセラー(ヘルスカウンセリング学会認定)・カラーアナリスト・イメージコンサルタント(USA・AIS公認)・カラープラクティショナー(英国オーラソーマ)・日本アロマテラピー協会認定アドバイザー

いっぱいカタカナ資格が並んで凄そうですが、病院機能評価とどう関連するのかよくわかりません。とくに、

よく存じ上げませんが、コンサルタントを行なう上で必須の余ほど凄い資格なのでしょう、きっと。そう言えば認定を受けた経験者の感動のコメントもありました。

全くの偶然ですが、たった今、合格の報を得ました。私は今、まじで涙が浮かんでいます。つらい1年だった。どうぞ、騙されている私をあざ笑ってやってください。

春野ことり様もきっと同様の感動を味わえるかと推察します。最後にエールを贈らせて頂きます。

    がんばってネ♪