紀子妃殿下御懐妊

まずは国民としてお祝い申し上げます。

まだ妊娠6週なので話が早すぎますが、男子誕生となればの仮定の話です。皇室典範改正論は今回の御懐妊のお話を受けても小泉首相はやる気満々です。やる気満々でも早くも党内外から慎重論が続出していますから、これからの動向は不透明ですが、仮に改正を強行したらです。

改正派の意見ではたとえ男児が出生しても増えたのは一人であり、これでは中長期的に皇統の保持が危険であるとの状況に大きな変わりがあるわけではなく、女帝容認、女系容認の上での今回の改正を断行すべしと主張しています。

後継者の安定確保との観点から立てば改正派の意見は一見まだ説得力を持っているようにも見えますが、皇室の論理を考えると最早意味無き案になっていると考えられます。改正案では愛子様を始めとする出産の可能性のある若い内親王たちが、普通に結婚をし、子供ももうけられて新たな宮家を作る前提を無邪気に信じていますが、そんな無邪気な前提が成立すると考える頭の構造を疑います。疑っても有識者会議の議長がすべてプログラム通りに動くロボット工学の専門家ですからしかたが無いのかもしれません。

皇室の基本的な意思は男系保持です。三笠宮殿下の発言は私的なものと繰り返して強調されていますが、皇室の伝統を考えるとそんな無鉄砲な事を独断でするわけは無く、皇室の総意として汚れ役を引き受けていると見なすのが極めて妥当です。

となると皇室典範改正が原案のまま成立すればどうなるか、愛子様を始めとする女性皇族は皇位についても結婚しないか、結婚しても子供を作らない以外の選択は無くなります。つまり皇室が真の後継者であると考える紀子妃殿下の親王に「正しく」後継が受け継がれるように典範を犯さずに男系の伝統を守ろうとするのは必然です。

こういう状況での女性天皇の即位は前例があります。しかしその方向で皇室が動くのであれば、今回の皇室典範改正案は皇統保持には全く役立たず、むしろ皇室を先細りさせるのみにしか作用しません。紀子妃殿下に男子が誕生すると改正案の絵に描いた餅は砂上の楼閣のように崩壊するのです。皇室は庶民の普通の家ではありません。2000年以上の伝統と格式が今も健在な一般常識が通用するところではないのです。

小泉首相の功名心から駆け込み成立の野望を燃え立たせていますが、典範改正の前提状況が大いに変わる可能性が生じた現在では、最低1年ぐらいは状況を見守らないと禍根を残す改正になるのだけは間違いありません。まあこれだけ慎重論が盛り上がれば、この紛糾国会に新たな火種を持ち込むのは気を見るに敏な首相の事ですから見送る可能性は高いとは思ってはいますが。