素直に評価したいが

11/27付時事ドットコムより、

「2200億円抑制」見直しも=首相が言及−社会保障

 麻生太郎首相は27日夜、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針について「結構限度にきていないか。来年に関してどういう案があるかは検討する」と述べ、年末の2009年度予算編成に向け、抑制方針の見直しも含めて対応する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 政府・与党内では、2200億円の抑制分をたばこ税の引き上げによって穴埋めする案が浮上している。首相の発言は、こうした考えに理解を示したものとみられる。

再来年度から見直しを来年度見直しに変更すると言うのですから評価すべき話と感じます。もちろんと言うか、当然のように反対派も存在するわけで、11/28付読売新聞では、

首相、社会保障費抑制の見直し示唆…小泉路線をまた修正?

 麻生首相は27日夜、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針について、「(抑制の)限度に来ているから(現場で)いろいろ不満が出ている。(社会保障費が)毎年増えるのをどうにかしないといけないという話は確かにあったが、結構、限度に来ていないか」と述べ、見直しを示唆した。

 見直しの時期については、「来年に関してどういう案があるか検討する」と語り、2009年度予算編成で考慮する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 社会保障費の自然増分を毎年度2200億円抑制する方針は、小泉内閣当時の2006年に策定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込まれた。見直しは小泉路線の明確な修正を意味し、与野党内で議論を呼びそうだ。

 麻生首相小泉改革の象徴である郵政民営化に関しても、日本郵政グループの株式売却を当面凍結すべきだとの考えを示し、その後、修正した。

時事通信が事実を素っ気無く伝えたのに対し、思い入れがタップリ入った記事を読売新聞は報じています。とりあえず見出しに、

私も当時の状況下での小泉路線は評価すべきものはあるとは考えています。ただし当時でも全面賛成ではありませんし、小泉路線のデメリットが拡大したのは以後の後継政権が状況の変化にも関らず、小泉路線を踏襲し、路線調整を怠った点は失政であったと考えています。小泉路線は不況克服のための劇薬路線であり、劇薬は短期に上手に使えば非常に効果的なこともありますが、長期に使うと副作用ばかりが目立ち、その徴候は小泉政権末期には現れていたからです。

とりあえず読売が2200億円削減路線変換に反対なのは明らかで、

ここは小泉路線堅持派の逆襲を期待したものですし、ここは今回の発言も「麻生失言 → 即座訂正」に矮小化されるのを期待しているように読み取れます。ごく単純には「また」麻生首相が失言しただけに印象付けようとしているかと思われます。もっとも麻生首相も就任以来、失言が多いのでどれが首相としての断固たる表明なのかよく分からなくなっているところがありますから、読売の観測があたっている可能性もあるのが怖ろしいところです。多弁は麻生首相の持ち味ですが、現在のところ首相発言の軽さにしか働かないのが困ったところです。

今回の発言の真意は難しいところですが、自らと二階発言で反発を強める医療界への慰撫の意味合いがあるのだけは分かります。2200億円を持ち出せば少々の失言はたしかに打ち消す効果は期待できます。ただここまで軽くなった首相発言をどこまで信用できるかは、読売記事が書くとおり不安いっぱいと言うところです。

それと自民党内には小泉路線支持派が強固に残っています。読売記事もその点は嘘を書いてあるのではなく、党内の小泉路線支持派の反発によりこの発言が泡沫のように流される可能性を指摘しています。既に麻生首相は発言撤回ぐらいで政治的なキズはそんなに深くならない状態であるからです。ここで麻生首相小泉路線の国民の支持が党内とは別であると見切っているのであればおもしろいのですが、見切っていても党内をまとめきれるかどうかは別物ですから経過を見守るしかないでしょう。