恋せし乙女の物語 あとがき

 久しぶりのオリジナルのラブロマンスです。これも手垢が着きすぎた分野ですが、ラブロマンスに求められるのは恋の行方がどうなるかです。言い換えればどれほどの紆余曲折があるかを求められます。それでもってヒロインの恋の行方を期待されます。

 紆余曲折に使われる常套手段は三角関係になります。ヒロインに手強いライバルが登場するパターンです。その王道に沿って登場人物の設定もしたのですが、単純な三角関係もしくはさらなる多角関係は使い過ぎました。ですから思いつく限り捻った三角関係にしてみました。

 それとヒロイン設定も苦慮したのですが、視点で工夫を凝らしてみました。自分の思いと、他人からどう見られているのかのギャップです。ですから私の作品では珍しいのですが、最初から最後までヒロイン視線で話を進めています。

 ライバルの設定は漠然とステレオタイプに当初はしていましたが、疑似でも三角関係なら、競り負けたライバルのその後をどうするかに苦慮したと言うより、発想が暴走した一面があります。

 後は紆余曲折のためですが、歳月を軸にしているところがあります。人は歳月で変わります。それは無意識に変わるところもあれば、自覚しながら変わるところがあります。それを成長と言うのかどうかは微妙過ぎるお話ですが、それこそ『歳歳年年人同じからず』の世界です。

 ラストは伏線の回収みたいになりましたが、気が付けばハッピーエンドになっていません。こういう終わり方で良かったか悪かったかも悩んだところですが、これもまた一つのお話と言うことでご了解ください。