純情ラプソディ:あとがき

 書き始めたころは漠然とシンデレラ・ストーリーにしようと考えていました。ですからヒロコにはステレオ・タイプの生い立ちを設定しています。不遇時代の救世主がいて、徐々に花開いていくヒロイン像を書き連ねています。

 カルタは舞台背景ぐらいのつもりです。異様に描写が細かくなったのは、カルタを殆ど知らなかったからです。泥縄式に調べたおかげで、競技かるたはどんなものなのか、やっとわかったぐらいです。

 カルタを背景に使ったのはヒロインの出会いと恋が芽生える場所にするためです。とくに今回は三角関係的な要素を使わなかったので、カルタにかける青春群像みたいな要素を膨らませたかったぐらいです。

 それと今回は脇役陣のキャラをしっかり描きたいのもテーマでした。魅力的な脇役が活躍する作品にハズレなしぐらいです。自分なりに頑張ってみたつもりです。ヒロインの恋が一直線路線だったので、脇役陣の恋であれこれ楽しませてもらっています。

 舞台となった港都大は、これまでの作品にも何度も出ていますが、モデルはわかる人はわかる神戸大です。実は家から近いと言うか、直線距離なら百メートルも離れていないのですが、ここも行ったことがありません。そこは時代設定が今から八十年後ですから適当に誤魔化しています。

 ちなみに新歓コンパで出てきたスペイン・バルも仕事場の近所にあり、忘年会に使った中華料理の店もイタリアン・レストランもモデルがあります。もし万が一でもこの本が売れて映画化でもされたら聖地巡礼の地になるかもしれません。

 それと最初に書きあがった頃は当初構想通りにシンデレラ・ストーリーでのハッピー・エンドにしていましたが、どうにも平板すぎる気がしたのです。そこで早瀬家の謎的なエッセンスを注入して捻ったのですが、少々長くなったのを遺憾とします。