味覚障害雑感

 前回の幕間の雑談の時に6クールでケモを終了する理由を長々と書いたのでこれはパスします。4/27に最後のゼローダを内服し、ケモからの回復期に入っています。時間とともに副作用が抜けて行く実感を味わっているのですが、ここでとにかく手強いのが味覚障害。

 思えば昨年末のケモ開始からのお付き合いですが、これも累積効果はあるようで、最後の2クールぐらいは完全に灰色の食事となっていました。受け止め方に個人差はあるでしょうが、はっきり言って辛いものです。

 味覚障害は末梢神経障害に較べたらreversibleと腫瘍科医に明言を頂いていますが、ケモが終わっても回復は牛歩、いや蝸牛の歩みみたいな感じです。2週間ぐらいじゃ間違い探しみたいな回復状況でした。軽くググると3~4週間、場合によっては数か月に及ぶとなっていてゲンナリ気分になりました。


 それでも4週間が過ぎて回復の手ごたえを感じているのですが、どうも味覚障害と感じているのは2種類あるとして良さそうです。一つはすべての味を灰色にする味覚障害です。これは食材を苦味で塗り潰して君臨し続けていましたが、ほとんど引っ込んでくれて食材の味がわかるようになっています。

 もう一つは味覚に関係はしますが、エルブラッドの末梢神経障害じゃないかと考えだしています。エルブラッドの末梢神経障害は投与中から出現し、外来から帰る頃には猛威を揮い始めます。寒冷惹起によるビリビリ感が主体ですが、字を書くのも難儀するぐらいになります。

 この時になのですが、口の中もおかしくなります。ケモが始まったのは12月でしたが、冷水を口に含むと、あれはどう表現すれば良いのでしょうか。素直な実感として口の中に髪の毛が束で入っているように感じました。

 冷たいのは寒冷惹起で悲惨でしたが、実は熱い物も感触がおかしくなります。端的にまとめると食感がおかしくなっています。おそらくですが、味覚に関しては8割ぐらいは回復してそうなのですが、食感の回復が長引いてる感じがしています。


 副作用の出方は個人差が大きいですし、味覚障害を客観的に評価するのは難しいのですが、なんとなくかなり強めに出ているのじゃないかと個人的には思っています。とくに食感です。そりゃ、致命的なものではありませんが、とにかく日々の食事を直撃しますから、ひたすら地味に辛い代物です。

 とはいえ効果的な治療法など存在しません。エルブラッドによる末梢神経障害も寒冷惹起によるものならreversibleとなっています。ただ回復時期の個人差は大きく数か月も必要な事はあるともなっています。でもって、手足のビリビリ感は今もヒョコヒョコ顔を出しますから、口内の食感の違和感も同様の気がしています。

 後は月日が経つのを待つしかありません。最初の目論見では5月中に回復と期待していましたが、その5月ももうすぐ終わりです。6月半ばぐらいまではかかるのかしらん。回復記念と言うか、オペからケモのアラカンの修羅場が一区切り付いたので、美味しいものでも食べに行きたいのですが、今の状態ならカネをドブに捨てるようなものです。


 ですが見方、考え方ではケモの影響がその程度なのは医療側から見れば取るに足らない軽症になるはずです。時間さえかければ戻る程度の代物です。客観的にはそういう評価になるのは理としてよくわかるのですが、患者としての感じ方はそこまでドライになれません。

 そういう落差を実体験しているアラカンの修羅場でした。これぐらいの愚痴を吐かせてもらわないとやってられないぐらいに御理解下さい。