選挙観測報道雑感

 その前の自民党総裁選報道も合わせてのものです。選挙情勢なんて個人では周囲の人に聞く以外は、かつてはマスコミ報道しかありませんでした。つうか周囲の人もマスコミ報道の多大な影響を受けていました。ところが現在はネット情報もあります。

 ネット情報は御存じの通り、それはもうの玉石混交の代物で、その全体像を把握するのは不可能です。たとえばSNSにしても、自分好みの意見に引っ張られるのは誰しもあるからです。

 マスコミ報道にはシナリオ、それも下手すると全社統一シナリオみたいなものがまるでありそうと感じておられる方が多いのではないでしょうか。私もその一人です。総裁選の時のシナリオは河野氏が勝つで良いと感じました。

 一方でネットでは河野氏の政治姿勢の曖昧さに疑問を投げかけるものが多くありました。マスコミがまるで決定打のように報じた小石河連合についてもそうです。ついでに言えば高市氏への支持の強さです。

 これは答え合わせが出来るものなので結果を待っていました。私が見ているネット情報が正しいのか、マスコミ情報が正しいのかです。

 結果はご存じの通り第1回投票で過半数は無理でも1位は鉄板だと見られていた河野氏は、接戦であったとは言え2位になり決選投票で敗れ去っています。


 今度は総選挙です。これは立民が勝つです。小選挙区制の特徴で政権交代も夢でないぐらいでしょうか。ここでも立共連合の成立をまるで決定打のように報じていました。総選挙前の立民は109議席でしたが、130議席程度になるのは最低ラインみたいな観測があったとか、なかったとか。

 一方でネットは立共連合に冷淡でした。とはいえ与党への支持が熱かったわけでもありません。私が受けた印象では、立共連合への野合批判が中心だったと見ています。

 これも結果が注目されたのですが、自民党はやはり議席を減らしています。前回が勝ち過ぎたのもあるでしょうが、コロナ禍、さらにコロナ下の五輪と誰が担当していても批判しか起こらない難題に直面していましたから増えたら仰天ものです。

 ですが17議席を減らしたとはいえ261議席です。この議席数の意味は、17ある常任委員会の委員長をすべて独占し、なおかつ委員数でも過半数を占めるものになり、

    絶対安定多数
 こう呼ばれる議席数になります。これって、議席数だけで言えば現与党の政治を国民は肯定している結果としても良いはずです。

 一方の立共連合ですが、立民が13議席減の96議席、共産が2議席減の10議席。立共連合の成果で言えば121議席あったのが106議席になり、総選挙前の立民より小さくなっています。

 自民の17議席減より絶対数では下回りますが、与党を自公連合としてみれば14議席減です。立民だけで130議席の夢に踊っておられましたから、素直に負けたで良いかと存じます。

 まあ昭和の時代から左翼を標榜する政党の議席数は100~150議席だったかと記憶しています。それを考えても、今回は底に落ち込むほどの大惨敗としても過言ではないと考えております。


 マスコミへの様々な批判がありますが、個人的にはマスコミの大きな武器であった世論調査の信用度にヒビが入ったと考えています。ネット前は世論がどうなっているかはマスコミ調査しかありませんでしたから、

    ああこうなっているのか
 これを参考に世論に従うか逆らうかの立ち位置を考えていました。これは世論調査ぐらいはそれなりに真面目にやっているだろうの暗黙の了解があったからです。その信用の裏付けの一つが選挙での出口調査です。

 自民党総裁選はコップの中の争いでしたからまだしも、総選挙の出口調査の結果とのあれだけの乖離は無残過ぎるでしょう。ここにさらにが付きます。これまでの出口調査の精度は高かったのがあります。あれだけ高かったのに、今回の総選挙はなぜにあれほど凋落したかです。

 私の意見としては、こういう調査にまでシナリオを持ち込んだ結果ではないかと見ています。シナリオは選挙特番にまで及んでおり、おそらく立共連合大勝で書かれていたはずです。それに相応しいMCを呼び与党の凋落を囃したてるです。

 ところが蓋を開けてみると立共連合が惨敗です。シナリオが狂ったのでスタジオはお通夜状態になり、狂乱の醜態をさらしたMCまで出る始末です。

 結果から私はそう見ています。そして出口調査にまでシナリオを持ち込んで失った信用の回復は難しいのじゃないかと予測しています。