百億の昼と千億の夜

 かつてSFジュブナイル(これも昭和の死語になっているようですが・・・)にはまった時期がありまして、その時の勢いで読んだのが「百億の昼と千億の夜」です。たしか中学ぐらいだったはずですが、読んだ感想は、

    なんじゃこりゃ!
 SFジュブナイルの期待を大きく裏切る代物でした。早い話がジュブナイルじゃなかっただけですけどね。とにかく複雑な展開で、古代の幾つもの場所で起った不思議な話というか経験が、現在(というか、設定としての未来)に結びつくものです。

 そこから前半に大きく投げかけられた謎というか、問いに対しての冒険が始まるのですが、初読の時は正直に言うと追い切れませんでした。根性出して文字だけは読み切りましたが、それだけだったで良いと思います。とにかく読めば読むほど気持ちが暗くなるだけでなく、最後まで期待していたカタルシスもなく、

    なんじゃこりゃ!
 中学生には少々難しかったかもしれません。それでも妙に気になる本で、高校の時に何度か読み返して、
    こんな話だったんだ!!
 ようやく全貌を把握した時に茫然としたことを覚えています。あんまり書くとネタバレになるのですが、当時(今でさえそうですが)は難解な物理用語、深遠たる仏教的世界観がサラサラと散りばめられているのに驚かされたものです。

 原作を読まれても良いと思うのですが、これを萩尾望都が漫画化しています。これも調べると私が高校を卒業する頃に一度刊行され、もう一度大学時代に出されています。最初の物は目に付かなかったか、近所の本屋に置いてなかったか、はたまたレディス・コミックに並べられていたのか不明ですが読んでいません。

 二度目の時はなぜか買っていますが、実に良く描けています。最初からこれを読めばわかったと思ったものですが、こればかりはどうしようもありません。興味のある方はマンガから読まれても良い気がします。

 
 さて現在の小説の連載は当分ストックがありますが、ちょっと行き詰まり傾向です。平たく言うと新作が書けなくなっています。月に1作以上のペースで書いてたのが無理があったとも思いますが、何を書いてもそれまでの作品と似たり寄ったりになってしまうのです。

 そんな時にふと思い出したのが、百億の昼と千億の夜です。これをモチーフにして書いてみたのですが難航中。ラストは気に入っていますが、ラストまでの話が書いた自分でさえ、

    難解過ぎてつまらん
 それも長過ぎてつまらないのなら、まだ改善の余地がありますが、これが100ページ程度の短編。相当手間をかけましたが現時点ではお蔵入り。

 話の展開上、量子物理学の話を扱わないといけないのですが、これが手強いったらありゃしないです。小説ですから大づかみぐらいの理解で良いのですが、一番お手軽のはずのwikipediaでさえ尻尾を巻いて逃げたくなる代物です。

 いつの日か練り直したいとは思っていますが、それが出来るかどうかは・・・手を付け直すならお正月休みかな。