少々物議を醸した女性手帳ですが、あえて好意的に取れば
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40歳も過ぎたし、そろそろ子供でも欲しいのですが・・・
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知っていたら、もっと早く子供を作ったのに
- 啓蒙により回避
- 啓蒙しても無関心層
- ハードルの高さも十分承知している層
啓蒙、とくに成人への啓蒙にはこういう面があり、啓蒙活動に積極的に反応してくれる層は「そもそも啓蒙が不要」なんて現実が多々あります。一方で本当に啓蒙したい層に関しては手がなかなか届かないです。啓蒙活動のポイントは、熱心な参加者ではなく、不熱心な参加者にどれだけ啓蒙効果を及ぼす事が出来るかだと私は思っています。
女性手帳の配布も一案ですが、妊娠出産は言うまでもなく両性の共同作業です。2.と3.の女性に啓蒙効果を及ぼそうと思うのなら、パートナーの男性にも啓蒙活動を行なうのが効果的なはずです。2.や3.の女性の層は手帳による啓蒙効果に耳を貸さなくとも、パートナーの男性からなら態度が異なってくる可能性が生じるからです。それだけで2.と3.の女性の層が漏れなく啓蒙できるわけではありませんが、女性だけに手帳を配っての戦術より啓蒙効果の広がりは期待できます。
もっともパートナーの男性にも2.と3.の層が女性同様に存在するわけであり、男性からの啓蒙効果は1.ないし1.以前に意識も知識もある者と、2.ないし3.の女性がカップルになった時に限られるのは言うまでもありません。まあ、2.ないし3.の女性に男性が逆啓蒙されるケースもないとは言えませんから、世の中難しいところです。
啓蒙効果を考える時にもう一つのポイントは、複数の啓蒙戦術を併用する事です。手帳による啓蒙効果に寄りかかってしまうのではなく、手帳以外の啓蒙手段を併用する事です。これはシンプルには性教育になります。教育だって万能でなく、手帳同様に2.や3.の層は発生しますが、併用する事により少しでも啓蒙効果を広める事ぐらいは期待できます。2.や3.の層に対する啓蒙とはそれほど手強いと思っています。
他の戦術としては妊娠出産に対する社会環境の整備です。現在の晩婚化の原因のとして、
- 妊娠出産による女性のキャリアの中断、下手すると失業
- 若年層の賃金の低下による結婚へのハードルの高まり、もしくは両性がフルで働かないと家庭が維持できない現実
こういう社会環境の整備のためには、政治や行政の施策が欠かせません。たとえば企業に投げるのなら、企業が負担に耐えられる収益を上げる必要があります。それが難しいのなら、負担を補助金なりで軽減させる必要です。企業収益の増大なら値上げは不可避ですし、補助金となれば増税は不可避です。国家財政にそんな余裕などないのもこれまた周知の事だからです。
それと啓蒙は、あくまでも適切な年齢での妊娠・出産を望む者に対してのみに行う強い配慮が必要です。間違っても「この年齢で妊娠出産を行うのが女性の理想」なんて啓蒙方針は控えるべきであると言う事です。女性の生き方を型に嵌め、外れたものを非難する手法は論外であると考えています。女性手帳問題でも、この点で逆上されて女性は多く見られましたし、逆上する心情は十分に理解できます。
思うのですが、少子化問題は女性の怠慢とは私にはまったく考えられません。根本的には社会構造がそう変わってしまったためと見るのが適切と見ています。だから少子化を容認してしまうのかどうかは別ですが、少子化を問題視し、これに対応を考えるのなら、歴史の流れとして少子化に向かっている方向を大規模なアクションで修正する事が必要になります。
手法として犯人さがしは最低で、これを女性の意識問題に置き換えてしまうのは最悪のものだと考えます。歴史の流れとは大河のようなもので、これを異なる方向に誘導しようと思えば、それに相応しい大規模工事が必要と考えます。それこそダムや大堤防、さらに新たな大規模導水路の建設とかです。手帳と言うバケツ一つで、これに対応しようとするのは少々無理がある発想と思っています。
ほいでも首相は親学の信奉者であり、教育政策が大好きそうなお人ですから、カネのかからない方法に傾くんだろうなぁ、実際のところ国にカネはなさそうだし・・・安上がりに昔は生んでいたから、教育で意識を昔にさえ戻せば万事解決するはずだみたいな感じです。昭和ノスタルジアの亡霊もこうなると困ったものです。意識なんて社会環境も含めたトータルなものであり、特定パーツだけ自分の都合の良い方にヒョイと変えようは無理がアリアリと思っています。