1回でやめようと思ったのですが、nomnom様から興味深い情報提供を頂いたので補足編とします。問題となったのは週刊朝日の
-
手術数でわかるいい病院2013
どうも歯科医院の院長のブログのようですが新・院長室2011.10.27付「190万円で名医になれます!」より、必要部分だけ引用しますが、
さて、天下の超一流新聞社である朝日新聞社から出ている週刊朝日MOOKシリーズの「Q&Aでわかる『いい歯医者』2012 完全保存版」という本があります。
どうも2010年からのシリーズのようです。でもって内容なんですが、
この本の内容ですが、その主体を占めるもの、それはズバリ、歯科医院の広告合戦。
一応構成上はQ&Aが主体なんですけど、実質は広告が主体。
私が推測したよりも広告数がかなり多いとして良さそうです。
というわけで、本日、おいらのもとに佐川急便のメール便でお誘いが来ました。
もちろん広告掲載の勧誘なんですが、その中でも興味深かったのは本編中のインタビュー形式の広告です。一瞬、広告でなくインタビュー記事のように見えるアレですね。
題して「最新歯科医療独占インタビュー:Top Interview 日本の名医(インプラント治療編)」!!!もちろん広告ですから、歯科医院側がお金を払ってインタビューを受け、掲載していただくわけでございます。
どうも本の内容として広告と記事がシームレス(と感じさせる)になっており、まるで週刊朝日が選び抜いた「日本の名医」をインタビュー取材している様に構成されているらしい事がわかります。実態は御紹介した通り広告料さえ払えば「日本の名医」に認定されるわけです。気になるお値段ですが、
モノクロ1ページ:90万円!
カラー1ページ:130万円!!
カラー2ページ:190万円!!!
結構なお値段ですが、いったい何ヶ所の歯科医院が広告を出しているか気になります。10や20じゃなくて、もっと多そうな気配があります。なにせ、
-
実質は広告が主体
クリニック西川様の2012年6月付「名医の値段」よりです。これも必要部分を引用します。
先日、医療関連の出版・広告業者から、5ページに及ぶ広告ファックスが届いた。そもそも、何の断りもなしに、こちらの紙を使って一方的にファックスを送りつける広告方法自体、甚だ不愉快だが、内容を読んで不愉快が怒りに変わった。
内容はこうだ。週刊朝日増刊号「女性のためのいい病院2013」を8月上旬に発売予定。この中で「女性のためのうつ病治療」と題する広告を企画したので募集するというものだ。
しっかし週刊朝日も同工異曲のものをたくさん作られているようで、ここまでで
最後のものは「情報その1」のリンク先に2011年時点で企画中との事です。西川クリニック様にはかなり詳細な料金が掲載されており、料金は、モノクロディスプレイだと28mm×90mm:70,000円、58mm×90mm:140,000円、58mm×180mm:280,000円、1ページ:700,000円。モノクロ記事体では1/4ページ:200,000円、1/2ページ:400,000円、1ページ:800,000円。さらに、「Top Interview/日本の名医」と称して、カラーの記事体で名医として紹介するコーナーを設けている。1ページの記事だと1,300,000円、見開き2ページだと1,900,000円となっている。
これは今年の6月記事なので、話題になった「手術数でわかるいい病院2013」の値段に近いとも考えられます。ちょっと読みにくいので表に直してみます。
広告種別 | サイズ | 値段 | 補足 |
モノクロディスプレイ | 28mm×90mm | 7万円 | どうも囲み広告の類のようです |
58mm×90mm | 14万円 | ||
58mm×120mm | 28万円 | ||
1ページ | 70万円 | ||
モノクロ記事形式 | 1/4ページ | 20万円 | 週刊朝日が取材して、まるで記事のように仕立てた広告のようです |
1/2ページ | 40万円 | ||
1ページ | 80万円 | ||
カラー記事形式 | 1ページ | 130万円 | Top Interview/日本の名医としての特集ページ仕立ての広告のようです |
2ページ | 190万円 |
2011年の歯科版と較べると興味深いのですが、
広告種別 | サイズ | 値段 | |
2012年分への 歯科版 広告勧誘 |
2013年分への 女性のため版 広告勧誘 |
||
モノクロ記事形式 | 1ページ | 90万円 | 80万円 |
カラー記事形式 | 1ページ | 130万円 | 130万円 |
2ページ | 190万円 | 190万円 |
でもって内容ですが、
1ページの記事体の広告となると、広告ではなく記事と見誤る読者が出てくるだろう。「Top Interview/日本の名医」に至っては言語道断。880円払って当該誌を購入した読者に対して意図的に誤った情報を与えるものだ。
名医の明確な基準はない。しかし、一般的に実績があり、その医師の治療を受けた多くの人から優れた医師と思われる人を指すものと考えられる。200万円近い金を払える人という意味でないことだけは確かである。
週刊朝日の「日本の名医」の基準は190万円の広告料を払えるところである事が確認できます。
こうなれば実際の記事を読みたくなるのは人情です。探せばポロポロ出てくるのですが、リンクを張ると「抗議」が来る懸念もあり、興味のある方はご自分で探される様にお願いします。どれも立派なインタビュー記事ですが、カラクリは130万円と190万円と言うわけです。そうやって紹介されている記事の中には一番下の欄外の部分に
-
AD
-
Top Interview/日本の名医
実はと言うほどの話ではないのですが、こういう広告企画本とか雑誌は出版業界ではポピュラーな手法です。私も開業時に週刊朝日ではありませんが勧誘はありました。聞いた事のない雑誌でしたのでネットで調べると、診療所だけではなく中小企業を対象としてのもののようでした。そいでもって取材を受け記事になった事を自社のHPでアピールされていました。ただ週刊朝日より安かったように記憶しています。ブランドの差でしょうか。
これについて大昔にブログで書いた記憶もあるのですが、たしか反応は「それで嬉しいならエエじゃなかいか」でした。小金を出して綺麗な提灯記事を書いてもらい、「有名」雑誌に紹介されたで満足を得られれば、これもまた需要を満たす立派な商売であると言う事です。興味やカネがなければ募集に応じなければ良いだけのお話であり、現実に商売として成り立つほどのスポンサーが集まっているわけです。
今回の件が問題となったのは柳の下のドジョウを狙いすぎたためと感じています。「どうも」確実に儲かるので、同工異曲の広告企画本を粗製濫造しすぎ、肝心の広告が集まり難くなったんじゃないかです。これもまた「どうも」なんですが広告募集も週刊朝日が自分で骨を折っているわけでなく、広告会社に枠を買い取らせる「堅い」商売をやっていたです。そうすれば企画して広告枠を広告会社に買い取らせた段階で週刊朝日としてはほぼ商売は終わりです。
広告会社サイドはスポンサーをかき集めないと赤字が出るのですが、今回の「手術数でわかるいい病院2013」ではかなり苦戦を強いられたです。そこで、
-
学会及び理事長のお墨付
さすがに毎年広告を喜んで出すところは限られると思いますからねぇ。多くのところは一度出したら満足して終わりでしょうし。そう言えば二羽目のトリもこの手の企画に関与していた事を経歴に書かれていました。わざわざ書くぐらいですから本人的には自慢の経歴かと思われますが、実態としては広告のための提灯記事を書くお仕事であったと判ります。
それでも食うためには必要なお仕事であるのは理解しますが、私如きの感覚では「誇るべき経歴」ではなく「伏せたい経歴」に感じます。とくに「自称」であっても医療ジャーナリストを名乗るのなら伏せたいです。もっとも人によって感性は違いますから、どうでも良いような蛇足でした。