ネット上で話題になったモトネタは、
各都道府県の国公立医師会病院の統計によると、今年の4月から10月にかけて、「白血病」と診断された患者数が、昨年の約7倍にのぼったことが21日に判明した。これを受けて、日本医師会会長原中勝征は、原発事故との因果関係は不明として、原因が判明次第発表するとした。
白血病と診断された患者の約60%以上が急性白血病で、統計をとりはじめた1978年以来、このような比率は例が無いという。
また、患者の約80%が東北・関東地方で、福島県が最も多く、次に茨城、栃木、東京の順に多かった。
これに対し日医は、11/29付ネット上の書き込み「白血病患者急増 医学界で高まる不安」についてで、
日本医師会が、このような発表を行った事実はありません。
本文中には、「各都道府県の国公立医師会病院」との表現がありますが、そもそも医師会病院は、国公立ではありませんし、統計の数値につきましても、現段階でそのようなデータについて確認できず、信憑性を疑わざるを得ないものであります。
また、一部一般紙に掲載されたものであるとの噂もございますが、確認したところ掲載した事実はないとの回答を得ております。
日本医師会は、今回の福島第一原子力発電所事故に関しては、政府に対し正確な情報を国民の皆様に提供するよう求めているところでありますし、本会からの情報の提供に関しては、正確な情報提供に心がけております。
国民の皆様とともに安心・安全な医療を進めて参る所存でございますので、今後ともご理解いただきますようお願い申し上げます。
明瞭に否定しています。つまりは、
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白血病患者7倍増説はデマだった!
この7倍増説ですが、モトネタからして怪しげで、新聞記事風ではありますが、要所がかなり雑です。雑な記事も多々あるので一概には言えませんが、まず誰が調査し、誰が公表したかを明記してありません。無理やり取れば、日医会長がこれを受けてのコメント(これも捏造)しているので日医が調査した様に解釈できないこともありませんが、通常は誰が調査発表したかを明記するのが基本です。
それと医療関係者でなくても不思議な表現は、
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各都道府県の国公立医師会病院の統計
それと白血病がいきなり7倍になると言う意味がデマ作者にはわかっていなかったと思います。白血病治療なんて医療カテゴリーは、サブスペの専門医がほぼすべてカバーしています。一定数の発生患者を限られた医師が診療にあたる関係であり、いきなり患者発生数が7倍になれば即パニックになります。もし本当なら調査以前に社会問題となるはずです。
とくに急性白血病が60%以上となれば、inductionが昨年の4倍以上になりますから、たとえ全国で満遍なく増えたとしても施設的にパンク状態に陥るのは間違いありません。これがせめて2割とか3割、せめて7割増ぐらいならまだしも信憑性がでますが、インパクトを狙いすぎて7倍にしたのは、医療現場の現実を知らない人が書いた事は間違いないでしょう。
7割増だってデマ記事では東北関東に偏っていますから、最低限、医療現場の声として話題騒然で福島からの治療難民が社会問題として取り上げられているのがあり得る状態です。
もう一つ、このデマにマジレスしようと基礎データを調べ始めていたのですが、白血病による死亡数統計は人口動態統計から得る事はできますが、発生数を調べるのは厄介至極です。私が調べた範囲の最新版は、独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスで、そこでの最新版公表分が、
2011年07月26日 「がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 2008年全国集計報告書」を掲載しました。
今年の7月にようやく2008年版が出たところです。ここを上回るデータと言うか、わざわざ独自に集計しているところは、そうそうないと考えられ、日医もまたそんなマメな事はやっていません。もし日医なり、厚労省がやろうと思えば昨年分と今年分の緊急調査が必要になり、それも
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今年の4月から10月にかけて
デマ元を追跡している方もおられる様ですが、昨日時点では2chより以前に遡れないそうです。たいした話ではなかったので、今日はこの程度で簡単に終わらせていただきます。