サーバはサーバリックス、ガーダはガーダシルです。どちらも子宮頚癌予防ワクチンなんですが、ガーダシルが8/26に販売開始となり、さらに9/15から公費助成の適用を受けるのが決まっているそうです。残念ながら厚労省のHPでは確認できなかったのですが、どうやら決定と見て良さそうです。9/15も国の決定であって、最終的にいつ公費になるかどうかは市町村依存になりますから、バラツキは出そうです。
さて問題は、2つのワクチンが並行して承認された事です。つまりは選択の余地が出来てしまったと言う事です。そうなると医療機関への次の質問は、
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どっちが良いか
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最寄の医療機関で御相談下さい♪
ガセは言い過ぎなんですが、アジュバンドの差でサーバの方が気持ち強く免疫が長持ちするらしい程度で、実質的に殆んど差が無いとする方が妥当そうです。そりゃ5年しかもたないのであれば、中学生に接種しても20歳までにワクチン効果は消える事になるからです。子宮頚癌(つうかHPV)に対する有効期間と免疫の付き方では優劣に差がないとして良さそうです。
ガーダ不妊症説と言うのもあったそうです。これも現在は完全に否定されているようです。有効期間も不妊症説も競合メーカーがささいな差を取り上げて大騒ぎした部分があるようですが、結局のところ大山鳴動して鼠も出てこずぐらいとすれば良さそうです。
実際の接種の副反応も差はないとして良さそうで、これも差がありません。価格は公費ですから関係ないかもしれませんが、卸値としてはおそらく殆んど変わらないであろうともされています。
どこ差があるかと言えば、ワクチンの守備範囲になります。実はこれもまた話が煩雑な上に、私も理解が生煮えの部分が多々あるのですが、サーバもガーダも子宮頚癌を起こすHPV感染の予防ワクチンです。このHPVもタイプがテンコモリあります。テンコモリあるうち、子宮頚癌を起こす可能性があるHPVは、
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16, 18, 31, 33, 35, 39、45, 51, 52, 56, 58, 59, 68, 82, (26, 53、66)
6型、11型は主に尖圭コンジローマの予防に有効とされ、この部分で言えばガーダは4大機能搭載となります。実際のところ世界的にもガーダの方が優勢であり、優勢な理由としては2大機能より4大機能の方がお買い得感が強いからだと推測されます。ほいじゃ、ガーダ推奨で決まりかと言えば、さらなる情報があります。
サーバのワクチンは現在のところ公式には2価ワクチンですが、クロスプロテクション効果があるとされており、公式部分である16型、18型に加えて、31型、33型、45型、58型にも効果を及ぼすとなっています。つうかあわせての適用効果拡大を目指して動いていると言う事です。そうなるとサーバの方が子宮頚癌に対してはより効果が広いと言う事になります。ちょっとまとめておくと、
効果 | サーバ | ガーダ |
対子宮頚癌(公式) | 16、18 | 16、18 |
対尖圭コンジローマ(公式) | なし | 6、11 |
対子宮頚癌(非公式) | 31、33、45、58 | なし |
接種時の副反応 | 同等 | |
予防効果 | 子宮頚癌に対してはほぼ同等 |
こりゃ自分でも選択に悩みそうな感じです。尖圭コンジローマも嫌そうな病気ですが、子宮頚癌となるともっと嫌です。16型、18型以外の頻度は格段に落ちるとは言え、ちょっとでも幅広いほうが良さそうな気がしますし、一方で尖圭コンジローマも捨て難い魅力みたいな感じでしょうか。
つうか、こんな説明をやっていたら、外来が終らなくなってしまいます。説明する方があんまり分かっていない状態でやると、悩む人は永遠の堂々巡りになるからです。そうそうもう一つガーダの情報があります。公費適用に合わせて用意されたのが25万本だそうです。ガーダも3回接種ですから、人数にして8万人分あまりです。
カタログデータからすると、普通はガーダに人気が傾きそうなものですから、早いうちにガーダは品切れになる可能性があります。そうなったら、そうなったで余計にややこしくなります。なんつうても、10月に入ればインフルエンザ接種の大津波が押し寄せますから、余裕が殆んどなくなります。うちは小児科ですから、年内はインフルエンザ専念として、サーバとガーダの選択騒動が収まってから動きたいぐらいです。
皆様、どんな対応をお考えですか、宜しければ情報下さい。これはモロ本業に直結しますから、正直なところ助けて下さい状態です。