石原慎太郎氏の選挙公約

探せばあるもので、まず1期目の公約です。

  1. 都が主導の債券市場にYES
  2. 踏切のない東京にYES
  3. 健康を損なう排ガスにNO
  4. 福祉に立ちはだかる規制にNO
  5. 借金漬けの財政にNO
  6. 横田返還にYES
  7. 首都移転にNO
  8. 住みやすい東京にYES
  9. 命が守れない危機管理にNO
  10. 新しい道徳教育にYES
私は東京都民でないので、排ガス規制の件は何となく記憶にありますが、他はどれだけ実現したのかは存じません。公約は必ずしもすべて実現されなくとも選挙民さえ実績を支持すれば再選します。それでもって2期目の公約です。
  1. 安心・安全の確保、都市の再生から始める「都民福祉の充実」
  2. 中小企業の能力を引き出す「新しい銀行を創設」
  3. 都民、国民の健康を損なう「大気汚染を解消」
  4. 利用者から高い評価を受けている「認証保育所を大増設」
  5. これまでの日本にない「まったく新しい大学を実現」
  6. 千客万来の「観光都市を実現」
  7. 雇用促進のため、利用者に便利な「職業紹介を都独自に実施」
  8. 都庁の一層の合理化と「第二次財政再建に着手」
大学は聞いた事がありますし、銀行はなかなかの騒動を起こしたのを覚えています。他は存じませんが、三選された3期目の公約です。
  1. 都民の目線による医療と福祉をすすめます
  2. 納税者(タックスペイヤー)、生活者の視点で行財政基盤の強化をすすめます
  3. 「首都圏知事連合」の実現で、一足早い「道州制」を実現します
  4. 東京ブランドのトップセールスで、ものづくり発信首都東京を実現します
  5. 東京オリンピックで、都民と次世代の国際化や東京から世界に向けた文化の発信を推進します
  6. 老いてこそ人生”。シニア・熟年世代元気度日本一を実現します
  7. 多摩地域、島しょ地域の未来をつくります
  8. 「人生再起動」を全面支援します
納税者をわざわざ英語で「タックスペイヤー」としているのは文学者としての表現技法と考えます。なんとなく公約の内容が抽象的になっている気がしないでもないのですが、オリンピックが転んだのは私でも知っています。それでもって4期目なんですが、うろうろドクター様が画像でアップしてくれています。
  1. 全国初の建物耐震化条例をさらに強化し、耐震・免震力が高い、強い東京を実現させます。
  2. 津波・高潮対策をさらに強化して、東京湾からの災害に備えます。
  3. ライフラインを確実に守り、安全な帰宅ルートを確保するため「東京アクション」を断行します。
  4. 認知症ゼロ・寝たきりゼロ・孤独死ゼロのトリプル・ゼロ社会を「東京ルール」で実現します。
  5. すべての子供は社会の宝。教育・子育て支援をいっそう強化します
  6. 首都圏の自治体と力を合わせ、救急医療のネットワークを強化。24時間365日の安心を築くとともに、受動喫煙防止対策を推進。また、危機管理を強化し、テロ対策に万全を期す体制へ。暮らしの安心を支えてきた「交番」機能の増強を図る。
  7. 世界で勝つ、知力・体力・人間力の強い若者を育てる革命的教育改革を断行します。
  8. 一国に匹敵する東京都の行財政基盤を自治体連携・地方分権力でさらに強化します。
  9. アジアNo.1ビジネス首都を目指し、中小零細企業・大企業・外国企業の活動を独自の施策で支援します。金融、情報、雇用、物流のアジアセンターをつくります。
  10. 多摩地域・島しょ地域の未来をスポーツ祭東京2013・環境ツーリズムでつくります。
震災の影響と素直に解釈して良いと思いますが、最初に防災関連の公約を3つ並べています。後は医療系が2つ、教育系が2つ、その他が3つぐらいの構成と見れば良さそうです。表現とやる気が一致しているかどうかは不明なのですが、「断行します」と一番強そうな表現を使っているのが、東京アクションと革命的教育改革です。なんか革命的教育改革の内容を聞いてみたいような、聞いてみたくないような気がしますが、それは置いておきます。

とりあえずこのブログは医療系とされているので、医療に関する二つの公約を注目してみます。


首都圏の自治体と力を合わせ、救急医療のネットワークを強化。24時間365日の安心を築くとともに、受動喫煙防止対策を推進。

ここも内容的には2つに分かれているのですが、受動喫煙については今日は置いておきます。注目したいのは救急医療の方です。この公約については、東京都民よりその他の首都圏の住民の方が歓迎するかもしれません。首都圏は救急医療だけではなく、医療全体で東京を除いて基本的に脆弱です。具体的には埼玉も、神奈川も、千葉も弱体としても良いと考えられますので、大喜びでネットワーク強化に賛成されると思われます。反対する理由が思い浮かびませんからね。

現実にもそうなっている部分はかなりありますが、有力都知事候補が公約で「築く」としていますから、より東京への搬送がスムーズになる可能性はあります。首都圏の救急事情を考えても、東京から周囲の県に搬送される人数はさほど多くないと思われます。「思われます」では良くないので平成21年6月29日付「第1回 傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会 次第」から関東の広域連携のマップを引用しておきます。

これが東京への搬送を中心にもっと組織化され、活発に行われる公約だと推測します。


認知症ゼロ・寝たきりゼロ・孤独死ゼロのトリプル・ゼロ社会を「東京ルール」で実現します。

孤独死ゼロは置いておきます。これだって大変な公約ですが、今日は置いておきます。残りの「認知症ゼロ・寝たきりゼロ」は医療関係者なら聞いただけで腰が抜けそうな公約です。それでも公約したからには石原氏が当選すれば、有識者を集めて具体的な「東京ルール」の検討会は開かれる可能性は高そうに思われます。会議が開かれたからには具体的な対策を考えないといけませんが、さぞ大変な会議になると予想されます。

どんなルールが考えられるのでしょうか。認知症や寝たきりの発生要因はあるにはありますが、そう簡単に除去できたら誰も苦労はしません。なんつうても「減らす」ではなく「ゼロ」ですから、ほんじょそこらの対策では難しいのだけは確かです。たとえば「東京都民は認知症を発症する事も、寝たきりになる事も禁じる」みたいな条例を設定しても無理です。

逆転の発想で「認知症や寝たきりになった者は、東京都から所払いにする」なら理論上は可能になりますが、そんな公序良俗に反する事は無理です。そうですねぇ、もっと捻った発想で「認知症や寝たきりになった者は、住民票を他府県に移す。ただし居住は許可する」なら実現の可能性はあります。これも憲法違反が絡んでくる気がします。

制度で無理なら医療になりますが、町医者のそれも小児科では何も浮かんできません。う〜ん、う〜ん、お茶を濁しまくって「東京都民にはラジオ体操を義務づける」ぐらいならありうるかもしれません。


まあ、そんなに心配しなくともこれは公約です。これまでの3期にあった公約がすべて完璧に実現されたわけではないと思っています。トリプル・ゼロでも孤独死がそれなりに減ったぐらいで十分な成果として誇るのも可能です。それと今回の公約はこれまでと少々色合いが異なる点はあると思っています。これまで3期の間の公約は、次の都知事選に「公約不履行」として持ち出される懸念がありましたが、今回は仮に当選してもさすがに5期目はないと思われます。

ただなんですが石原氏も78歳ですから、自分が救急医療のお世話になったり、認知症・寝たきりのリスクを真剣に考えているのかもしれません。自分が認知症・寝たきりになりたくないとの願望が込められているとすれば、やっぱり召集される有識者の皆様は叡智を絞らなければなりません。御苦労様な事です。やっぱりラジオ体操の義務付けかなぁ?