気象警報による混乱

医療ネタではありません。

水曜日は梅雨末期のものと思われる大雨があったのですが、それに伴い大雨警報が出されました。大雨警報が出ても仕事には関係ないのですが、子どもの学校や幼稚園は休校や休園になるかならないかで、恒例の一騒動が起こります。地域差もあるでしょうが、神戸ではおおよそ次の通りのシステムになっています。

  1. 7:30の時点で警報があれば待機
  2. 10:00までに解除されれば登校・登園
  3. 学校への問い合わせは不可
これでいつもドタバタ騒ぎがおこります。それでも天候が警報に一致している時は判断がまだしも容易なのですが、一致していない時は微妙な判断を強いられます。水曜日もそんな感じで、朝の時点では小雨模様で、気象情報を確認せずに子どもを送り出した家庭がまず少なくありません。こういう子どもたちはとりあえず追い返されるわけですが、後は気象情報の確認のために誰か家族が家に待機する事になります。

誰か家族が待機と言っても多くは母親の役割になることが多く、当院の職員もそういうケースにあてはまり、ちょっと大変でした。水曜日の混乱に輪をかけたのは、警報の解釈が学校・幼稚園ごとにさらに分かれたことです。仕事柄、子どもを持つ母親の来院が多いのですが、警報が出ているから休みと思えば「○○幼稚園は休園じゃないみたい」とか「△△小学校は登校している」みたいな情報が入ってきます。

とくに市立小学校、さらにごく近所の小学校が授業再開となれば、市内の小学校は一律だろうと思うのが人情です。一方で「××時に学校に見に行ったら休校だった」みたいな情報も舞い込みます。職員も含めて母親方は仕事の都合もあるのでクチコミ・ネットワークで携帯をかけまくっていましたが、なかなか確報が入らない状態が続く事になります。

私はYahoo !の気象情報をチェックして「警報出てるで」と言っていたのですが、問題はそこにあったようです。ちなみにYahoo !の画面は昨日のものですが、警報はこんな感じで出ています。

いやぁ、警報の指定も細かくなったものだと感心していたら、現実はもっと細かくなっているようです。7/14付神戸新聞より、

 14日朝、兵庫県内14市町に大雨警報が発表されたが、休校をめぐって保護者が混乱した。5月末に地域ごとから各市町ごとに警報が発表されるようになり、学校や自治体によって休校基準が分かれたためだ。一部テレビ局が市町ごとの発表に切り替えられていないことも混乱に拍車をかけた。

 警報などの発表は、これまで「阪神」や「北播丹波」など8地域だったが、5月末から41市町ごとに切り替わった。

 この日朝、伊丹、宝塚、川西市などに警報が発表されたが、これまで同じだった「阪神地域」の西宮、神戸市などには発表されなかった。淡路島も洲本、南あわじ市で警報が出たが、淡路市には出なかった。

 神戸市内の公立学校はこれまで「阪神地域」に警報が出たら一律、休校としていたが、発表の細分化後、「『阪神地域』のどこかに警報が出たら休校」「神戸市で警報が出たら休校」に対応が分かれた。市立小中学校249校のうち88校が休校。残りは授業を行うという異例の対応となった。

 同じく警報が出なかった西宮市は一斉休校、尼崎市は授業、と対応が分かれ、淡路島で唯一警報が出なかった淡路市は全校を休校とした。

 各学校の休校基準が保護者に十分周知されていなかった上、一部のテレビ局が時間の制約で「阪神」「淡路」と地域名での報道を続けたことも混乱の一因。在阪テレビ局には「市町単位で放送して」との意見が寄せられたという。一方、サンテレビは市町ごとの発表に切り替えた。(斉藤絵美)

Yahoo !の警報発表システムはどうやら

どうもこのままのようです。ところが警報システムはさらに細分化され、
    5月末に地域ごとから各市町ごとに警報が発表されるようになり
どうもよくわからないのですが、8地域バージョンの警報は今でも出されているようです。一方でそれに並行して市町村ごとの警報も出されていると考えても良さそうです。この辺の真相は詳しく無いので、Yahoo !は市町村ごとの警報を8地域に翻訳して伝えているのかもしれませんが、とにかく水曜日はこの2つの情報が入り乱れたのだけは間違いありません。どういう状態に陥ったかと言うと、
  1. 阪神地域には大雨警報が発令されたので休校にした
  2. 神戸市には大雨警報が発令されなかったので休校にしなかった
気象警報なんてそうそう出るものではありませんし、そもそも5月末の細分化の話も周知され常識化しているわけでもありません。私も知りませんでした。でもってどれぐらい対応が割れたかですが、
    市立小中学校249校のうち88校が休校。残りは授業を行うという異例の対応となった
ですから「○○幼稚園は休園じゃないみたい」とか「△△小学校は登校している」も正しかったわけであり、「××時に学校に見に行ったら休校だった」も正しかったわけです。現実としてお隣同士の小学校で登校と休校で対応が分かれる事態が起こっていた事になります。夕方に受診された子供の母親が「昼前に買い物に行ったら、なぜか小学生をたくさん見かけた」と言うのも、母親の子どもの小学校は普通に授業があり、ほんの数百メートル離れた小学校が休校であったからです。


かつては下駄の方が当たるとまで揶揄された天気予報ですが、最近は非常に精度の高いものになっているのは感心しています。警報だって私の子供の頃はザックリしたもので兵庫県南部地方でひと括りでした。さすがにこれでは大雑把過ぎると言う事で8地域に分割され、さらに市町村に細分化されたのは技術の進歩だと思います。

ただ細分化されたので境界問題が大きくなっているような気はします。どう分けたって境界問題は常に生じるのですが、神戸の東隣は芦屋です。今回は違うかもしれませんが、芦屋に出て神戸に警報が出ないケースと言うのも当然出てくるわけです。神戸でも東よりの地区の場合は、芦屋の警報の影響を嫌でも考慮します。天候は市町村領域に従って出現するわけでなく、また精度が上ったとは言え、まだまだ100%でないのが天気予報です。

それと市町村と言っても広さはまちまちで、神戸もそれなりの広さがありますから、西と東、北と南では気象状態に差が出てきます。神戸市には警報が出ていなくとも隣接する市町村に出ていれば、誰だってどうするかは考えるところです。

精度が高くなった気象情報にどう対応するかも問題ですが、今回の学校の対応の発想の元はどうかだけは気になっています。対応が分かれたのは「たぶん」ですが、細分化された警報による休校基準が明確化されていなかったためと考えています。明確化していなかったので、警報発令に対してどう対応したら規則上「間違いではない」に重きを置いて行動された気がしています。もちろんこれは憶測であって、真剣に子どもの安全と警報、今回であれば大雨の動向を十分に検討した上での決定かもしれません。


それにしても今後はどうするかだけは興味を持っています。たぶん今回の混乱を教訓にして統一基準を作られると思うのですが、方向性としては杓子定規の基準による運営を想定しています。そうならざるを得ない理由は単純で、休校か否かの決定は学校に問い合わせる事も出来ず、学校側から生徒個人に送る事もしないのが前提だからです。

子どもを持つ親は家庭に居て知りえる気象情報で登校を判断する必要があり、そのためには杓子定規な運用でなければ通用しないという事です。細分化された隣接地域の警報情報を参考にして、その度に独自の判断を行ないたくとも、その決定を伝える術はないと言う事です。

そうそう警報による休校なんてあるわけではありませんから小さな事ですが、もうちょっとなんとかならんかだけはいつも思っています。警報は休校のためにあるのではなく、気象災害に対する予防のはずなんですが、少々本末が転倒しているような気がいつもしています。この点は社会人の方がもっと酷くて、警報が出るような日は「通勤が大変」ぐらいにしか扱っていないのも問題かもしれません。

まあ次は秋の台風シーズンまで警報は出ないでしょうから、どんな対応になるかは注目しておきます。