だから、こういう記事は・・・

ヘトヘトなので軽くて短いのを。10/23付読売新聞 (魚拓が取れないのでスクリーンショットにて保存)より、

中高生も接種1回でOK

 中国で実施された新型インフルエンザワクチンの臨床試験で、12〜17歳には1回接種で十分な免疫がつく可能性が高いことがわかった。

 米医学誌電子版に掲載された。中国のワクチンは国産ワクチンと同じ製法を採用しており、医療従事者以外は2回接種とする日本の計画にも影響を与えそうだ。

 試験は3〜77歳の計2200人に実施した。日本の中学・高校生に相当する12〜17歳の場合、1回接種で97%の被験者に十分な免疫がついたことを示す抗体(免疫物質)の量が確認された。61歳以上は1回目で79%、2回目で93%と、2回目の方が成績が良かった。

 厚生労働省は20日に発表した接種計画で、健康な20〜50代を対象にした臨床試験結果から、健康な20〜50代の医療従事者を1回、それ以外の優先接種対象者は当面2回とした。試験で効果が確かめられていない中高生や高齢者、妊婦、基礎疾患(持病)がある人たちの回数は今後、国内外の試験結果を踏まえ再検討するとしており、厚労省では「中国の試験も参考にしたい」と話している。

よく読んで欲しいのですが、見出しは

    中高生も接種1回でOK
こう書かれています。これを読めば多数の人が中高生のワクチン接種が1回に決まったと思います。では本当に決まったかと言えば、
    厚労省では「中国の試験も参考にしたい」と話している。
なんにも決まっていません。中高生のワクチン接種の回数に対しては、11月下旬からの始まるとされる小規模治験の結果が出てから最終決定されるとなっています。結論が出るのは約1ヵ月後の予定とされており、今はその結果を待っている状態です。中国の治験も結論を出す時に参考資料にはされるでしょうが、ただそれだけの事です。

ところがこういう記事を流されるといかにも「決定した」印象のみが刻み込まれて、後日に2回接種に決定したりすると「新聞では1回と書いてあったが?」なんて問合せに医療機関が振り回される事になります。


せめて書くなら

    中国の治験では中高生に対し接種1回でも効果を確認
これぐらいに出来ないものでしょうか。これなら、中国の治験結果が日本の方針に影響が出るかもしれないぐらいの観測記事になります。そりゃ厚労省も「中国の治験結果を参考にしますか?」と質問されれば、「参考にする」ぐらいの返答はするでしょう。それでも、たぶんですが「今後の方針に強い影響がある」とか「大いに参考にする」なんて言っていないと考えられます。もしそうなら、もっとデカデカと書き立てるはずです。

どこかの三流週刊誌の見出しのように、よほど凄い事が書いてあると思って読んだら、内容がスカスカの記事とこれでは同じです。三流週刊誌は読むときの心構えとして眉にツバをタップリ付けて読みますが、いちおう読売記事ですからサラッと信じてしまう人は少なからず出てきます。さらに言えば読売記事なら見出しだけ読んで記事は流し読み、もしくは読まない人間も少なからずいるはずです。

ただでも情報が錯綜して混乱しているのですから、助長するような書き方は謹んで頂きたいところです。無理なのはわかっていても、そう願わずにおられません。