財政制度等審議会は頑張ってますね。私の目についた順に紹介してみますが、まず5/14付共同通信
財務省は13日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に、介護保険制度の対象から要介護度が「軽度」の人を外すと、介護給付にかかる費用が年約2兆900億円減少するとの試算を提示した。国と地方の財政負担が減少し、1人当たりの保険料も年約1万5000円安くなる。
介護保険をめぐっては、昨年末から厚生労働省の審議会が制度改正に向けた議論を始めた。財務省は保険対象者の絞り込みなどで財政負担を抑えたい考えだが、「軽度」の切り捨てに反発も出そうだ。
介護保険の給付費は、税金と保険料で半分ずつ賄う。試算によると、ドイツと同様に「軽度」の介護が必要な人を対象外とすると、国庫負担を約6100億円、地方負担を約5800億円いずれも減らせる。
節約できる保険料の総額は、65歳以上の高齢者が約4000億円、40歳以上65歳未満で約6500億円。
「軽度」のうち掃除や調理などの生活援助しか利用していない人を対象から外した場合は、国と地方の負担が約300億円ずつ減り、保険料は1人当たり年約800円安くなるにとどまる。
介護保険の「軽度」を廃止しようの御提案です。メリットは、
現在介護が不要な人、将来介護保険などアテにする必要が無い人には大歓迎されそうな提案です。こういうものには根拠が必要なんですが、
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ドイツと同様に「軽度」の介護が必要な人を対象外とする
厳しい歳出改革を行っても、社会保障関係費は大幅に増加 財政制度等審議会
財務省が5月13日に開催した財政制度等審議会の財政制度分科会財政構造改革部会で配布された資料。この日は、有識者からヒアリングと社会保障に関する議論が行われた。
資料では、(1)社会保障の現状と課題(東京大学大学院経済学研究科)(P.2〜20参照)(2)社会保障(P.21〜50参照)(3)介護制度の現状と課題(P.51〜130参照)(4)医療制度の現状と課題(P.131〜227参照)―がまとめられている。
社会保障及び国の財政の姿(平成20年度予算ベース)(P.24参照)では、社会保障給付費95.7兆円の内訳や財源、一般会計との関係が示されている。また、主要経費別の歳出増減(2001年から2008年度)(P.28〜29参照)では、厳しい歳出改革を行っても、なお社会保障関係費は大幅に増加している、と分析している。
介護保険制度の介護給付費負担構造(平成20年度予算)では、公費負担と保険料負担の内訳や負担割合が示されており、介護給付費の総額は6兆6559億円となっている(P.55参照)。
医療制度の現状と課題では、平成6年度から平成20年度の診療報酬改定率(医療費ベース)の推移が掲載されている(P.135参照)。
さすがに「世界に冠たるドイツ」をモデルに出すだけでは説得力に欠けると考えたのか、社会保障費が無茶苦茶増えるから、介護保険の「軽度」ぐらいは外すのは当たり前だの理論武装を研究中のようです。この理論に「世界に冠たるドイツ」が加われば世界最強かもしれません。そのうち中間答申とかでドカ〜ンとまとめて発表されるのでしょう。
そのドカ〜ンの一部がこれではないかと思います。これも5/16付CBニュースですが、
「保険免責」1000円で医療費負担4割に
健康保険から給付される医療のうち、一定の金額までは医療保険の適用を免除して全額を患者の自己負担とする「保険免責制」の導入を、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」(西室泰三会長)が検討している。仮に1000円の保険免責制が導入されると、患者の自己負担が現行の3割から4.1割に跳ね上がるため、日本医師会などが「公的医療保険が崩壊する」と反対している。
日医などによると、医療制度の改革が議題となった4月25日の財政審では、保険免責制の導入について、2009年度予算編成に向けた建議(意見書)の取りまとめに向けた議論の中で検討するという意向が示された。
外来一人当たりの医療費と患者負担は、06年には一般の医療費が平均で6413円、老人(現在は後期高齢者)が7230円。患者負担は、一般が3割で1920円、老人が1割で720円だった。
免責額が1000円の場合には、医療費が1000円までは保険が適用されず、全額が自己負担に。そして、1000円を超える部分について、その超過額の3割が患者負担となる。
仮に1000円の免責制が導入されると、06年時点の6413円の一般医療費のうち、1000円が免責となり、残りの医療費5413円の3割(1620円)が患者負担となる。このため、免責額の1000円と3割負担分の1620円の計2620円が患者負担となり、医療費全体の4.1割を占めることになる。
これを老人医療費に当てはめると、06年の負担額720円は1620円となり、現行1割の2倍以上の2.2割の負担となる。日医は「保険免責制は、保険の給付範囲を狭め、医療の格差を助長する」と指摘。「国の財政や経済界には、メリットをもたらすかもしれないが、将来は、疾病の重篤化を招き、公的医療保険の崩壊につながる恐れもある」と反対している。
また、全国保険医団体連合会なども「保険免責制が導入されれば、受診頻度が高い患者ほど負担が重くなる。保険証1枚でかかれる公的医療を縮小させて、保険がきかない医療を拡大することだ。国民皆保険制度を根底から崩すものであり、絶対に認められない」と批判している。
免責といえば何か良いことでもありそうな言葉の響きですが、要は自己負担額の増大です。医療保険の自己負担率は拡大に次ぐ拡大が行なわれた結果、大多数の患者で3割負担となっています。ではこれ以上の拡大である4割負担とか、5割負担はどうかといえば難しいのじゃないかと言われています。理由はそんなに自己負担が増えれば保険未加入者が増える懸念です。実際のところはたとえ5割負担になっても高額医療負担制度があれば、メリットがあるとも言えますが、そこまで人は考えません。
そこで自己負担率を引き上げるのではなく、自己負担に定率と定額を織り込んで増やそうという提案です。その結果平均的な医療では、
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医療費全体の4.1割を占めることになる
これだけがすべてではないでしょうが、3つの記事をまとめると、
少なくともこういうものが、
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2009年度予算編成に向けた建議(意見書)の取りまとめに向けた議論の中で検討する
委員 | 板垣信幸 | 日本放送協会解説主幹 |
岩崎慶市 | (株)産業経済新聞社論説副委員長 | |
玉置和宏 | (株)毎日新聞社特別顧問(論説担当) | |
臨時委員 | 長谷川幸洋 | 東京新聞・中日新聞論説委員 |
榧野信治 | (株)読売新聞東京本社論説副委員長 | |
専門委員 | 五十畑隆 | (株)産業経済新聞社客員論説委員 |
田中豊蔵 | 元(株)朝日新聞社論説主幹 | |
渡辺恒雄 | (株)読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆 |
これらの委員は建議書が提出される時には「賛成」するわけであり、財政制度審議会の委員の立場で建議書の内容を支持し、これの理解を求める積極的な行動が求められるかと思います。そうしないと財務省からにらまれる事になります。もう一度まとめると、
マスコミ | 役職 |
NHK | 解説主幹 |
産経新聞 | 論説副委員長、客員論説委員 |
読売新聞 | グループ本社代表取締役会長・主筆、東京本社論説副委員長 |
毎日新聞 | 特別顧問(論説担当) |
朝日新聞 | 元論説主幹 |
東京新聞・中日新聞 | 論説委員 |
いちおう朝日新聞は「元」なので会社への直接関与の度合いが低いとしても、読売新聞になると「グループ本社代表取締役会長・主筆」ですから影響力は非常に強いように思われます。とくに読売新聞は先日取り上げた某朝日新聞関係者によると
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独裁者が全ての論調を指示できるY紙のようなマスコミもあります
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それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発