やっぱりサンダーバードを作ろうよ

ジャワ島の大地震、被災者の皆様には一刻も早い救助や援助の手が伸びる事を祈らずにおられません。

大規模な災害が貧しい発展途上国で起こったとき、先進国が救助や援助を積極的に行なうのは国際的義務だと考えます。またそれについての異論も少ないかと思います。救助と援助のうち、援助は国がどれだけの度量を示すか問われるもので、早いに越したものではありませんが、閣議なりで検討する時間はあります。もう一つの救助の方はそれこそ一刻を争います。文字通り時間との勝負で、どれだけ早く現場に駆けつけられるか、どれだけ早く救助体制を構築して効率的に活動できるかが生死の分かれ目になります。

そのためには救助活動に習熟した統制の取れた集団が必要です。類似の組織として自衛隊がありますが、日本がどう言い繕うがこれは対外的には軍隊であり、他国の軍隊を自国に喜んで迎え入れる国は少ないものです。軍隊となればいろんな政治的思惑が入り、軍隊の救援チーム受け入れ交渉だけで、貴重な時間を浪費する可能性があります。

であるならば救助専門チームを常備しておいたらどうでしょうか。あらゆる災害を想定した救援用具を備え、それに対する訓練を日頃から積み重ねておくのです。いざ災害となれば、とりあえず24時間程度を目安に世界中どこでも先発隊が駆けつけられるようにしておくのです。想定として災害の一報が入ると「それ行け」とスクランブルで救助先発隊が発進するイメージです。

先発隊は現地に到着すればまずもてる戦力で緊急の救助活動に従事する一方で、被災地の情報を可能な限り集め、被災地の現状に合わせた第2陣の要請を行ないます。緊急援助必要物資は常時備蓄していますから、要請に合わせて必要物資を満載した第2陣も出来れば48時間以内、遅くても72時間以内に現地に駆けつけ可能な限りの手段を用いて救助に従事します。

この時に重要なのは先発隊で、たんなる情報収集のための偵察隊ではなく、このチームだけでかなりの水準まで救助活動を行なえるようにしておく必要があります。もちろん災害はいろんな形態で起こりえますので、すべてに十全には不可能でしょうが、そこは日頃からの研究で多様な種類の災害に対応できるチームにしておくのです。

災害現場は非常に孤独です。日常が崩壊し、秩序が消失し、被災者は絶望に打ちひしがれています。そんなところに先陣を切って駆けつけた救助隊には無条件に歓呼の声を送ります。必ずしも完璧な救助活動が行なえなくても、被災者心理として「我々は見捨てられてなかったんだ」という素直な感謝が沸き起こります。被災者にも被災国にも感謝されます。日本のイメージアップにも計り知れないものがあります。

そのためには出来うる限り早くと、出来うる限り十分なのふたつの条件を満たす必要があります。この二つを満たすためには日頃から準備を重ねておく必要があります。別に被災地が完全復興するまで働く必要は必ずしもなく、被災当初の誰も動き難い時に鮮やかに活動し、他国の救援救助活動が本格化すれば仕事を順次譲り渡して、次の災害に備えるために撤収しても良いのです。本当に被災者が困っている最初の1週間、長くても1ヶ月ぐらいの間に目覚しい活動をする事が重要だと考えています。

活動チームの想定は大規模なサンダーバード。国際救助庁とでも名づけて24時間365日スタンバイしている特別チームです。少々治安の悪い地域への活動も十分想定されるため、それなりの武装も必要でしょう。ただし主目的は救助活動であり、軍事活動は従で、まさしく自衛のためにのみ武装している形態です。装備もハイテク技術、最新の輸送手段を研究開発し、日頃は厳しい訓練に明け暮れる組織です。

世界中の人々に感謝されるでしょうし、従事する隊員もモチベーションが期待できます。世界中を見渡しても常備国際救助チームを持っている国はないでしょうから画期的といえます。平和国家日本の国際貢献のためには、これ以上の組織はないと思うのですが如何でしょうか。