東日本大震災対策組織の想像之図

とおりすがり様から

ひげの隊長こと、佐藤正久議員のまとめた組織図がありますので、ご参考まで。

http://east.tegelog.jp/index.php?itemid=9040

さっそく確認してみると、佐藤議員が作った組織図は、

佐藤事務所で作成し、本日の委員会で配布資料とした、今回の組織図だが、○○対策本部、○○対応本郡という組織が、乱立しており、どこのセクションが何をやっているのか、その○○本部の間の調整を誰が担っているのか、よくわからない。

昨日、この組織図を作成するために、関係省庁にも聞いたが、各省庁の官僚もあまり理解をしていない様子。結局、指揮系統が不明確であり、責任の所在もわからない。

原発災害に伴う風評被害はどこが所掌なのか、原子力経済被害対応本部と原子力被災者生活支援チームの違いは、原子力損害賠償紛争審査会は誰の指揮下なのか、委員会質疑で、これらの点を質したが、明確な答弁もない。

参議院で質問するために各省庁に問い合わせて作られた図のようですから、一定の信用が置けると考えます。これを参考に昨日取り上げた各種対策組織を可能な限り当てはめて組織図を作ってみました。佐藤議員が議員の資格で問い合わせても不明瞭なものですから限界があるのですが、あくまでも参考までの想像図とご理解下さい。

ちょっと読みにくいのは御容赦下さい。図を簡単に説明しておくと実線は直接の所属を表し、破線のところは「連携」になります。本部に色を付けてあるのは菅首相が本部長である事が確認できているところです。

あくまでも素直に見た感想ですが、原発事故関係だけで3本立てになっている事です。

  1. 原子力災害対策本部
  2. 福島原子力発電所事故対策統合本部
  3. 原子力経済被害対応本部
これも3本立てかと言えば、そうとも言い切れず、組織としてはこれに、
  1. 原子力安全委員会
  2. 原子力安全保安院
  3. 原子力災害合同対策協議会
どうも原子力災害合同対策協議会は休眠状態らしいとされますが、報道でしばしば登場するぐらいですから、原子力安全委員会保安院は活動中です。あえて言えばこれに東電が加わります。あくまでもちなみにですが、原子力安全委員会内閣府に所属していますが、保安院経済産業省に所属しています。

ここで原発事故の対応に必要な部門を考えると、

  • 福島の現場での対応
  • 放射能被害への直接的対応(避難とか)
  • 放射能被害への補償問題
この3本立てぐらいになると思われます。この3つは原発問題でもある程度独立して対応が必要と考えられます。そういう前提で組織を考えると、

対応組織 福島の現場での対応 放射能被害への
直接的対応
(避難とか)
放射能被害への
間接的対応
(補償とか)
原子力災害対策本部
福島原子力発電所事故対策
統合本部
原子力経済被害対応本部 ×
原子力安全委員会
原子力保安院


あくまでもこれは印象だけの役割分担の想像です。これに文部科学省が出す放射線被曝の上限量が乗っかったりしますから、外野からはこれ以上は不明です。それと原子力安全委員会保安院は既存の組織であり、福島以外の原発の管理も担当していますから並立はある程度致し方ないとして、残りは整理できないかと感じてしまいます。

たとえば現地対策本部は原子力災害対策本部に属していますが、他の本部と組織図上で横の連絡がありません。同じく、原子力災害対策本部に属する原子力被災者生活支援チームと、原子力経済被害対策本部は別立てです。またトップは菅首相と海江田大臣が務めていますが、組織としては別立てであるのは大抵支障が生じるものです。ですから、

思いつきなのでその点は割り引いて欲しいのですが、キモは各部門の統括本部として原子力災害対策本部があり、各部門の調整に当たる体制です。原発問題の統括本部はあくまでも原子力災害対策本部であって、ここが原発問題の総合窓口になり、また各部門の活動の統合・調整に当たる仕組みです。今と実質として機能がどれだけ変わるかと言われれば自信は無いのですが、少なくとも組織の役割分担とか、指揮系統が目に見えやすくなります。



原発はこれぐらいにて、震災被害の方です。たくさん組織がありますが、良く見るとこちらの方はあんまりありません。緊急災害対策本部と電力需給緊急対策本部の2本立てとしても良さそうです。こちらの方の課題は、震災への緊急対策から平時への移行になるかと思われます。震災規模がそれなりなら、緊急対策から平時に移行するだけで良いでしょうが、今回は長期の準非常時体制での支援が必要と見られています。

名称に拘るわけではありませんが、緊急災害対策本部は被災者が仮設住宅に移行したぐらいで役割はそれなりに終ると考えます。そこからは緊急ではなく、長期の復旧・復興計画が必要です。阪神大震災も被害は大きかったですが、基本的に壊れたところに建て直す作業でした。しかし今回は津波と言う大きな要因があり、移転して建て直す作業が必要とされています。

移転すると言っても、地形としてホイホイと移転地があるわけでもなく、新たな造成地を作る必要がありますし、被災地の主要産業は水産業なので、津波に強い港も作らなければなりません。阪神大震災で壊れたところに建て直す作業だけでも地元の自治体は膨大な負債を背負い込みました。お蔭で未だに神戸市も兵庫県も貧乏です。

ただ神戸市も兵庫県の場合は貧乏になる程度で負担に耐えられましたが、今回の震災の場合、そもそも耐えられるだけの財政基盤があるかと言われれば誰しも疑問かと思います。その上、阪神の時よりもさらに負担額は大きくなるのは目に見えています。そうなると復旧・復興のための国の長期支援対策本部が必要になります。

そういう長期の復旧・復興支援対策には何がしらかの特別立法が必要なはずです。そして特別立法のためには、これに賛同する国会の支持が必要です。御存知の通り、ねじれ国会ですから、野党も唸らせる特別立法の提案が必要と考えます。もう一つ重要なのは、復旧・復興計画がこれからの政治に出来るだけ翻弄されないものであるのも大事と思います。


ここまでの政府の震災対応は数々の批判はありましたが、長期の復旧・復興計画は失地挽回の大きなチャンスです。政府の失地挽回を願っているのは誰よりも被災者だと思っています。つうか、ここでスカタンされたら被災者を奈落の底に叩き込む結果になります。そういう意味でここ1〜2ヶ月は非常に重要な時期と考えています。