前にも出した話題ですが、もう一度出させて頂きます。日医の東北地方太平洋沖地震に関する情報を別件で調べた時に目に付いたものがあります。3月26日付で周知用チラシとして赤字で強調されたものですが、
- 被保険者証なしで受診できます
- 被災地の住民であった方は、氏名、生年月目等を申し出るだけで医療機関を受診することができます。
- 公費負担医療(注)も、手帳等の提示なしに受診できます。
(注)障害者の自立支援医療、生活保護の医療扶助、難病患者の特定疾患治療研究事業等
- 窓ロ負担の支払いは猶予又は免除されます
先に断っておきますが、基本的な方針として異論はありません。これも良く調べると厚生労働省の東北太平洋沖地震関連情報の医療機関・医療従事者の方への中ににあるもので、日医が厚労省に協力してリンクを張った物だと思われます。ちょっと問題と言うか誤解を招きそうな個所は、
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災害救助法が適用されている被災地域の住民
災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用市町村のうち、
- 岩手県全34市町村、宮城県全35市町村、福島県福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、伊達郡桑折町、伊達郡国見町、伊達郡川俣町、安達郡大玉村、岩瀬郡鏡石町、岩瀬郡天栄村、耶麻郡磐梯町、耶麻郡猪苗代町、河沼郡会津坂下町、河沼郡湯川村、大沼郡会津美里町、西白河郡西郷村、西白河郡泉崎村、西白河郡中島村、西白河郡矢吹町、東白川郡棚倉町、東白川郡矢祭町、石川郡石川町、石川郡玉川村、石川郡平田村、石川郡浅川町、石川郡古殿町、田村郡三春町、田村郡小野町、双葉郡広野町、双葉郡楢葉町、双葉郡富岡町、双葉郡川内村、双葉郡大熊町、双葉郡双葉町、双葉郡浪江町、双葉郡葛尾村、相馬郡新地町、相馬郡飯舘村、青森県八戸市、上北郡おいらせ町、茨城県水戸市、日立市、土浦市、石岡市、龍ヶ崎市、下妻市、常総市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、鹿嶋市、潮来市、常陸大宮市、かすみがうら市、桜川市、神栖市、行方市、鉾田市、つくばみらい市、小美玉市、東茨城郡茨城町、東茨城郡大洗町、東茨城郡城里町、那珂郡東海村、久慈郡大子町、稲敷郡阿見町、那珂市、稲敷郡美浦村、稲敷群河内町、栃木県宇都宮市、千葉県旭市、香取市、山武市又は山武郡九十九里町(平成23年3月14日17時30分現在、追加して適用があれば当該適用市町村を含むものとする。)
- 長野県下水内郡栄村、新潟県十日町市、上越市又は中魚沼郡津南町(平成23年3月12日17時00分現在、追加して適用があれば当該適用市町村を含むものとする。)
読めばわかるように東京都は含まれていません。厚労省のページをよく読めば見つかりますが、このページも情報が増えて煩雑になっているので注意が必要です。日医もリンクされるのなら、周知用チラシとセットで並べておかれた方が、早トチリの誤解を減らせると思いますから、出来れば工夫して頂きたいところです。知ってられる方も多いと思いますが、あくまでも念のための情報提示とさせて頂きます。
後は未だに残る疑問を少しだけ加えておきます。周知用チラシも厚労省の情報でも保険証無しの特例受診と、一部負担金免除の地域を完全に分けて書いています。つまりいくら読んでも「保険証無し特例被災地 = 一部負担金免除地域」とは明記されていないのです。ちなみに保険証無しの特例受診地域については、現在の厚労省HPでも、平成23年3月11日付事務連絡に基いており、
平成23年3月11日の平成23年東北地方太平洋沖地震による被災に伴い、被保険者証等を紛失あるいは家庭に残したまま避難していることにより、保険医療機関に提示できない場合等も考えられることから、この場合においては、氏名、生年月日、被用者保険の被保険者にあっては事業所名、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を申し立てることにより、受診できる取扱いとするので、その実施及び関係者に対する周知について、遺漏なきを期されたい。
どうもここに書かれている地域も一部負担金免除地域とイコールそうな解釈に読めそうなのですが、一方で、
- 保険証無し特例地域は東京都も含む災害救助法適用地域
- 一部負担金免除地域は災害救助法適用地域からさらに指定された地域
東京も一時の交通の混乱はマシになったと聞きますが、これから夏場に向けて電力需要が増加すれば、再び帰宅難民が発生する可能性があります。今も帰宅難民が発生しているかどうかまで存じないのですが、そういう帰宅難民者が体調を崩し、医療機関の受診に必要性が生じ、保険証を所持していないケースもありうるわけです。
もっとも東京での帰宅難民ですから、保険証を所持していなくとも各医療機関はきっと善処するでしょうが、ここまで通達や事務連絡がいっぱい出ているわけですから、東京都民の扱いをそろそろクリアにして頂くと嬉しいところです。
重箱みたいな話ですが、保険診療に於てはそういう細かいところを一つ間違うと容赦なく査定の対象になるのは医療関係者なら百も承知の部分ですから、どうしても気になる部分になっていると御理解下さい。