念のための補足

前にも出した話題ですが、もう一度出させて頂きます。日医の東北地方太平洋沖地震に関する情報を別件で調べた時に目に付いたものがあります。3月26日付で周知用チラシとして赤字で強調されたものですが、

医療機関での受診・窓口負担について
平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部地震
  1. 被保険者証なしで受診できます


    • 被災地の住民であった方は、氏名、生年月目等を申し出るだけで医療機関を受診することができます。
    • 公費負担医療(注)も、手帳等の提示なしに受診できます。

      (注)障害者の自立支援医療生活保護の医療扶助、難病患者の特定疾患治療研究事業等


  2. 窓ロ負担の支払いは猶予又は免除されます


    • 以下の方については、一部負担金等の窓口負担を医療機関で支払う必要はありません。


      1. 災害救助法が適用されている被災地域の住民であり、
      2. 以下の申し立てを行った方


        • 住宅が全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした方
        • 主たる生計維持者が死亡したり、重篤な傷病を負った方
        • 主たる生計維持者が行方不明である方
        • 主たる生計維持者が業務を廃止・休止した方
        • 主たる生計維持者が失職し.現在収入がない方
        • 福島第1・第2原発の事故に伴い政府の避難指示・屋内退避指示の対象となっている方(福島第1原鰭から半径30キロ圏内)


          地震発生後、被災地域から他の市町村に転出された方も対象となります。


    • 上記に該当する方の窓口負担については、後日、改めて市町村、協会けんぽ、健保組合などの加入されている医療保険において、減免又は徴収の猶予が行われます。


    • 医療機関では、上記の申し立てをした方の氏名、生年月日、事業所名、住所、加入している医療保険、連絡先等を聞き取ってカルテに記録していただければ十分です。罹災証明等を求める必要はありません。

先に断っておきますが、基本的な方針として異論はありません。これも良く調べると厚生労働省の東北太平洋沖地震関連情報医療機関・医療従事者の方への中ににあるもので、日医が厚労省に協力してリンクを張った物だと思われます。ちょっと問題と言うか誤解を招きそうな個所は、

    災害救助法が適用されている被災地域の住民
どこが問題かと言われそうですが、この個所を読まれて災害救助法適用地域を探すと間違います。災害救助法適用地域は3月24日付平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震にかかる災害救助法の適用について(第11報)が現在のところ最新ですが、ここには東京も適用されている事が確認されます。ほいじゃ東京が含まれているかと言えばそうではなく、平成23年3月23日付事務連絡「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて(その4)」に、

災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用市町村のうち、

  1. 岩手県全34市町村、宮城県全35市町村、福島県福島市会津若松市郡山市いわき市白河市須賀川市喜多方市、相馬市、二本松市田村市南相馬市伊達市本宮市伊達郡桑折町伊達郡国見町伊達郡川俣町、安達郡大玉村岩瀬郡鏡石町、岩瀬郡天栄村耶麻郡磐梯町耶麻郡猪苗代町河沼郡会津坂下町河沼郡湯川村大沼郡会津美里町西白河郡西郷村西白河郡泉崎村西白河郡中島村西白河郡矢吹町東白川郡棚倉町東白川郡矢祭町、石川郡石川町、石川郡玉川村、石川郡平田村、石川郡浅川町、石川郡古殿町田村郡三春町、田村郡小野町、双葉郡広野町双葉郡楢葉町双葉郡富岡町双葉郡川内村双葉郡大熊町双葉郡双葉町双葉郡浪江町双葉郡葛尾村相馬郡新地町、相馬郡飯舘村青森県八戸市、上北郡おいらせ町、茨城県水戸市日立市土浦市石岡市龍ヶ崎市下妻市常総市常陸太田市高萩市北茨城市笠間市取手市牛久市つくば市ひたちなか市鹿嶋市潮来市常陸大宮市かすみがうら市桜川市神栖市行方市鉾田市つくばみらい市小美玉市東茨城郡茨城町東茨城郡大洗町東茨城郡城里町那珂郡東海村久慈郡大子町稲敷郡阿見町那珂市稲敷郡美浦村稲敷群河内町、栃木県宇都宮市、千葉県旭市香取市山武市又は山武郡九十九里町(平成23年3月14日17時30分現在、追加して適用があれば当該適用市町村を含むものとする。)


  2. 長野県下水内郡栄村、新潟県十日町市上越市又は中魚沼郡津南町(平成23年3月12日17時00分現在、追加して適用があれば当該適用市町村を含むものとする。)

読めばわかるように東京都は含まれていません。厚労省のページをよく読めば見つかりますが、このページも情報が増えて煩雑になっているので注意が必要です。日医もリンクされるのなら、周知用チラシとセットで並べておかれた方が、早トチリの誤解を減らせると思いますから、出来れば工夫して頂きたいところです。知ってられる方も多いと思いますが、あくまでも念のための情報提示とさせて頂きます。



後は未だに残る疑問を少しだけ加えておきます。周知用チラシも厚労省の情報でも保険証無しの特例受診と、一部負担金免除の地域を完全に分けて書いています。つまりいくら読んでも「保険証無し特例被災地 = 一部負担金免除地域」とは明記されていないのです。ちなみに保険証無しの特例受診地域については、現在の厚労省HPでも、平成23年3月11日付事務連絡に基いており、

平成23年3月11日の平成23年東北地方太平洋沖地震による被災に伴い、被保険者証等を紛失あるいは家庭に残したまま避難していることにより、保険医療機関に提示できない場合等も考えられることから、この場合においては、氏名、生年月日、被用者保険の被保険者にあっては事業所名、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を申し立てることにより、受診できる取扱いとするので、その実施及び関係者に対する周知について、遺漏なきを期されたい。

どうもここに書かれている地域も一部負担金免除地域とイコールそうな解釈に読めそうなのですが、一方で、

  • 保険証無し特例地域は東京都も含む災害救助法適用地域
  • 一部負担金免除地域は災害救助法適用地域からさらに指定された地域
この可能性が排除しきれないところがあります。この件については先々週に実際に遭遇して、その時点の医師会の確認では東京の某所は保険証無しの特例地域では無いとはされました。しかし事態は流動しており、その時の確認が今も正しいかどうかは何とも言えません。先々週時点と現在では対応や解釈が変更されている可能性もあるからです。

東京も一時の交通の混乱はマシになったと聞きますが、これから夏場に向けて電力需要が増加すれば、再び帰宅難民が発生する可能性があります。今も帰宅難民が発生しているかどうかまで存じないのですが、そういう帰宅難民者が体調を崩し、医療機関の受診に必要性が生じ、保険証を所持していないケースもありうるわけです。

もっとも東京での帰宅難民ですから、保険証を所持していなくとも各医療機関はきっと善処するでしょうが、ここまで通達や事務連絡がいっぱい出ているわけですから、東京都民の扱いをそろそろクリアにして頂くと嬉しいところです。

重箱みたいな話ですが、保険診療に於てはそういう細かいところを一つ間違うと容赦なく査定の対象になるのは医療関係者なら百も承知の部分ですから、どうしても気になる部分になっていると御理解下さい。