リアル・ツーリング日和6 バイク乗りは少数派

 私の若い頃は自動二輪の免許を取ろうとするだけで、

    不良、暴走族
 こういうレッテルを貼られかねない勢いでした。70年代から80年代は言いようによってはバイクの黄金時代ではありましたが、社会は暴走族の弊害を懸念し若者からいかにバイクを遠ざけるかに腐心した時代でもあったと言えるかもしれません。バイク3ない運動なる物が展開され、
  • 免許を取らせ ない
  • 買わせない
  • 運転させない
 表立って3ない運動に参加していない高校でも、バイクの免許取得は許可制で、そうですね、就職後に必要ぐらいの理由が必要でした。まあ、この辺はわからないいでもなくて、当時の暴走族はかなりやらかしていたのは記憶にあります。

 この辺も暴走族と走り屋の境をどう見るかはあるのですが、風潮としてバイク、それもスポーツ系バイクに乗っているだけで、

    不良、暴走族
 こういう白い目で見られる空気が醸成されていました。制度的にも現在の大型免許に当たる限定解除は教習所での取得が出来ず、試験場での一発勝負オンリーで、合格率は3%ともされた難関となっています。これだけの運動が展開されたらバイク乗りはどうしたって減ります。

 言いようによっては、そういう風潮の中でバイク免許を取得する者はそれなりの信念があったとも言えるかもしれません。あくまでも私の印象ですが、当時にバイク免許を取得してバイクには乗ったものの、諸般の事情でバイクを手放した人がリターンライダーとなっている人が多い気がします。


 こういう制度や社会運動による逆風もあったのですが、バイクに乗るには自動二輪の免許が必要です。ですが免許取得の条件は今でも高い気がします。というのも、今でもそうのはずですが、運転免許を取るのならまずクルマの普通運転免許を取得しようとするはずです。

 今の若者は当時に比べると運転免許の取得に熱心じゃなくなってる話も聞きますが、まず取るなら普通運転免許でしょう。いきなり自動二輪から始める人は少ないと思います。

 軽くググると普通運転免許の取得費用は30万円ぐらいのようです。これも30万円出せば取得できるわけじゃなく技能教習が34時限、学科教習が26時限必要みたいですから、両方合わせると60時限です。詰めて通う方法もありますが、詰めて通うにはそれだけの空き時間も必要です。

 つまりはカネとヒマがかかるのが普通運転免許取得です。自動二輪の免許はそこからになりますが、たとえばかつての中型免許である普通自動二輪の取得には技能教習で17時限、学科講習で1時限の18時限が必要になります。つまりって程じゃありませんが、自動二輪免許を取得するには、

    普通車免許(60時限)→ 自動二輪免許(18時限)
 これをクリアする必要が出て来ます。単純計算で78時限ですよ。これに延長講習が加われば・・・私も良く取ったものだと思います。

 そんなハードルを乗り越えて自動二輪免許を保有している人がどれだけいるかです。そこで警察統計を確認したのですが、まず何らかの運転免許を保有している者が約8000万人です。ですがそこから先が警察統計ではわかりにくいのです。

 警察統計は複数の免許所持者の場合、より上位免許を1人として集計しています。たとえば私ですが、8t限定の中型免許と普通自動二輪免許を保有していますが、警察統計では中型免許保有者に分類されてしまいます。

 そこでオートバイ流通新聞を参考にしてみます。これもどういう情報に基づいた集計なのかさっぱりわからなかったのですが、

都道府県別の二輪運転免許保有者数は、全体で前年同期に比べ0.8%減少し3402万9597人であった。このうち大型二輪は同3.3%減少して789万8087人、普通二輪が同1.6%増加の1071万0385人、原付は1.0%減少の1542万0927人になる。

 ここだって原付免許単独保有者は警察統計で84万人ぐらいです。一方で普通免許以上の保有者はセットで原付一種は付いているはずです。どこから1500万人の数字が出されたのかは謎です。原付って一種じゃなくて二種を指しているのかもしれませんが良くわかりません。

 それでもあえてオートバイ流通新聞のデータを信用すれば自動二輪免許保有者は3400万人ぐらいになるとしています。ここもただしが付いて来ます。私の親世代かもう少し下ぐらいまで、普通免許を取得すれば自動二輪がオマケだった時代があったのです。

 たぶんですが、今なら70歳以上ぐらいでしょうか。自動二輪も私の世代なら限定解除、今なら大型二輪免許になります。ここから先は推測になってしまうのですが、3400万人の自動二輪免許保有者がいても、実際に自動二輪に乗っている人がどれだけいるかです。

 半分なら1700万人ぐらいですが、これでも多すぎる気がしますから1000万人ぐらいでしょうか。1000万人でも過剰な気がしないでもありませんが、日本のバイクメーカーが国内市場をあまり重視していない理由がわかる気がします。

 そりゃ顧客になるのがそれだけしかいないからです。その辺の事情もあるのだと思いますが、バイクのCMが無くなっている気がします。つうか、かつてはクルマ並みにバンバン流されていたのです。たとえば私が買ったモンキーも人気バイクではありますが、モンキーのテレビCMなんて見たことがないはずです。

 モンキーに限らずかなりの車種が納車までの期間が長期化していますが、そのことはニュースにもなりません。たとえなっても片隅のベタ記事ぐらいでしょうか。裏返せばそれぐらい興味のある人が少ないぐらいには言えます。


 今日もまた長い長い前フリでしたが本題はYAEHです。YAEHとはツーリング中にすれ違ったライダーが片手を上げて挨拶する行為を指すで良いと思います。恥ずかしながらあれをYAEHと言うのだと最近知りました。

 バイク乗りにもYAEHに対して批判的な人もいます。鬱陶しいとかだったはずですが、YAEHはそれほど堅苦しいものではありません。ツーリング中だからと言ってYAEHをする義務はありませんし、YAHEをされても反応する義務もありません。

 そりゃ、すれ違いの一瞬の行為ですから、メーターとか今どきならスマホのナビを見ていたとか、他を見ていたとか、ミッションの操作中のことだってあります。もちろんYAEHが好きでない人もいます。そう、過ぎ去れば終わりですからそれ以上でも、それ以下のものでもないって事です。

 あれは何かと言われたら少数派の同志愛の発露じゃないかと思っています。ちょっとだけ近いものならハイキング中に出会った人への挨拶に近いかもしれません。

 ハイキングもそれなりに人気ですが、六甲山ぐらいの人気スポットならまだしも、少しでもマイナーなところになると、ホントに出会う人は少なくなります。下手すれば誰も出会わない事がしばしばあります。だから出会えば素直に嬉しいぐらいです。その延長線上で山頂とか休憩所で出会った人にもよく声を掛けられます。

 あれってやはり同好の士への連帯感と思っていますが、YAHEも似たようなものだと考えています。そいでもって、今日の本当の本題ですが私もYAEHを受けました。これはスクーター時代にはなかった事なのです。

 当たり前か。スクーターで走っていても近所のオッサンが買い物に出かけてるとしか見えないですものね。それに比べるとさすがはモンキーだと感心した次第です。そうなると、もうちょっとウェアをなんとかした方が良いかもしれません。

 ウェアについては長々と検討中です。安全面で言えばプロテクター入りの専用ウェアの購入はメリットは余裕であるのですが、とにかく季節は、

    灼熱の夏
 いくら夏用とは言え着るだけで暑い。つうか、部屋を出ただけでひたすら蒸し暑くてプチでもツーリングをしたくないと言うか、やれば熱中症になりそうです。秋風が吹き始めたらまた検討する事にします。ここのところバイクに費用をかけ過ぎて財布だけが涼しそうなのもありますからね。