アングマール戦記2:あとがき

 いうまでもなくアングマール戦記の続編ですが、続けて書いたのではありません。アングマール戦記はあれで終るつもりでした。アングマール戦記の後には氷姫の恋、流星セレナーデと書いたのですが、流星セレナーデでは設定の都合上、コトリとユウタの恋は終っている事にしています。

 恋ですからいつ終わっても良いようなものですが、それなりにというか、意味ありげにユウタを登場させているので、二人の恋が終わった理由も書いておく必要があるのじゃないかと感じた次第です。

 当初は流星セレナーデに盛り込もうとしましたが、それが膨れ上がり、それじゃあ、アングマール戦のコトリの一撃後の世界を描くことと抱き合わせにしようと書いたのがこの作品です。

 アングマール戦争も、もともと書く気がなかったので、女神伝説で考え無しに二百五十年としたのですが、書くとなったら年月の長さに振り回されたのは白状しておきます。それこそ、書いても、書いても二百五十年のゴールが遠いって感じです。

 遠いと言うのは歳月もあるのですが、とにかく戦記ですから、次々に起る戦いの模様の描写が必要ですが、そんなにうまい具合に新たな展開が浮かんでこないってところです。それと歳月が長いので、コトリやユッキーは変わらずに使えますが、脇役陣の新陳代謝が必要になります。まともに書けば何世代分必要かと気が遠くなる思いをしていたのも白状しておきます。

 さらにこの作品の本来の主題は、コトリとユウタの別れの理由を書くことで戦記描写も長すぎると主題がボヤけすぎます。別れの理由も当初は、激しくなる戦乱の中で勝つために非情を越えて冷酷な指揮に徹するコトリの姿にユウタの心が醒めていく構想でした。

 だいぶ手直しはしてるのですが、あちこちに当初構想の残滓が残っています。ただ愛想を尽かすぐらいのコトリの非情な面は描き切れなかったのが実情です。なんだかんだと言って、処女作からあれこれと描き続けてるコトリに、そこまでの事をさせきれなかったのです。

 本編自体も大苦戦で、重いタッチにしようとだけは考えていましたが、書けば書くほど気が重くなり、何度も挫折しかけています。自分で読んでもやりきれない感じが強すぎたってところです。実際のところ、収拾がつかない状態に陥りかけていたのですが、毎度毎度の『苦しい時のユッキー頼み』でなんとか話をまとめあげました。

 アングマール戦記はとりあえず終わるつもりです。次作はもう少し明るいというか、ホノボノした世界にしたいと思っています。そっちの方が書いてて楽しい感じがします。別に小説で食ってる訳じゃありませんから、書きたいものを書くのが一番だと思っています。