世は在宅医療時代に流れつつあります。施設医療との比較についても厚労省の意志は強力でそうなっています。昨日は小児の在宅について少し書きましたが、そのつながりで高齢者の在宅医療も少しだけ書いてみます。ただ高齢者の在宅医療は正直なところ良く知らないので、今日はドライに経営的視点のみの感想みたいなものです。
現時点の在宅医療は経営的にペイしやすいと聞いたことがあります。参入を促すためのいつもの常套手段ですが、医療者なら誰でも覚悟と言うか知っている通り、どこかの時点で順次梯子は外されます。それがいつからなのか、どこまで梯子が外されるのかはその時にならないとわかりませんが、今がある時期ピークじゃないかと思っています。少なくとも今後どんどん手厚くなるのは期待できない事だけは確かです。
ほいじゃどれぐらいの患者を抱えれば梯子が外された後にペイするラインになるかですが、私も信頼しているある人物の予想として、
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100人
在宅医療どころか介護保険も無縁の小児科診療所ですから、在宅患者100人を抱えるとは実務的にどんな状態かこれまたわかりません。その前提の上で簡単な試算をやってみます。在宅医療とは往診診察ですから行動様式として、
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患家を訪れる → 診察を行う → 移動 → 次の患家に到着
移動時間が短いほど有利なのは誰が見ても明らかですが、単に有利不利だけでなく100人説が正しければ長い移動時間が必要な地域では在宅専従医がそもそも成立しない事になります。どんなに頑張っても採算ラインに乗ってこないからです。在宅専従医が成立するには狭い範囲に患家が集まっている必要があると言う事です。そういう意味で在宅専従医が成立するのは都市部の高齢者地域しかないんじゃないかの予想です。
この都市部ですが、都市部であればOKという訳でなく、都市部であっても交通事情で左右されます。交通渋滞、道路事情で距離的に近くとも時間的に長くなるようなら条件は悪くなります。田舎で広い地域に点在しているのと変わらない条件に近くなってくるからです。100人まで採算ラインがあがると何かと条件が厳しくなるの指摘は「ごもっとも」でした。
これに関連してですが、開業好適地は誰もが狙います。そうなると遠からず局所的な飽和状態になります。飽和状態と言っても、そうですねぇ、150人の需要があるところに先発の1ヶ所があり、そこに後発が入っても50人しか確保できません。50人では採算ラインに遠いのでより広範囲から患者を集める必要が生じますが、広範囲になると移動時間の問題が出てくるみたいな感じでしょうか。
そうなると後発組の発想として人為的に移動時間を短縮する事を考えます。単純な発想ですが、在宅療養者用の100軒程度の集合住宅みたいなものを作ってしまうです。集合住宅なら移動時間はかなり短縮できます。なんかそれに近い制度をやっていた気もしますが、誰でも思いつきそうな事です。もっと短縮を考えると老人ホーム的なものを作ればさらに効率的です。ただなんですが、そういう方向性は厚労省は現時点ではあんまり歓迎していない気がします。この方向性が進めば次に出てくる声は、
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そこまでするのなら普通に老健なり特養みたいなものを作ればエエんじゃね
人為的な塊を煮詰めていくと施設医療の形態に近づいていくのは理の当然で、そうする事で効率性が上がりサービスも向上していくのが通常の成り行きのように思います。効率が上がった分だけ単価は下がりますが、
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効率向上 > 単価ダウン
在宅が施設よりコストダウンになるのを維持するためには、施設より在宅の方がコストを常に低く設定しておく必要があります。なんかどこかで無理が生じる気がしてならないのですが、どうなる事やらです。この辺のコスト関係は厚労省はもちろんの事、関連の専門家があれこれ試算されておられるはずですが、私の調査能力では感想程度しか書けません。なんか五輪の誘致が決まったそうですが、五輪が開催される頃には一体どうなっているのか・・・嫌でも見ることができそうです。