夕張の総括

どうも首相も就任以来の活動を総括されて辞任されましたが、医療ブログ的には夕張の総括の方が気になりますから取り上げます。事件の概要については中間管理職様のまた夕張 「救急受け入れ、また拒否 夕張市立診療所 心肺停止の男性」とか、うろうろドクター様の夕張に村上智彦先生はもったいない。とか、ssd様の夕張雑言あたりを御参照下さい。

いわゆる新聞沙汰(これも死語になるだろうなぁ・・・)になりましたから、行政の対応に注目してみます。つうてもソースはマスコミのみなのですが、

並べてみると錚々たるソースですが、夕張市藤倉肇氏のお言葉を並べてみます。市長発言は記事の「」付き引用の部分ですから、建前上は切り貼りがあっても市長が実際に発言した部分とされるところです。

共同通信 夕張市が立ち上がろうとしている時に、市民の不安が募れば再生に水を差す
産経新聞 誠に遺憾
北海道新聞 昨年9月の事故を受け、二度とこのようなことがないようにと協議してきたので、今回のケースは誠に遺憾だ
タブロイド紙 誠に遺憾という思い。市立診療所の開設者として総括が必要だ


同じコメントのパーツを各新聞社が引用しているのですが、無理やりつないで見ると、
    昨年9月の事故を受け、二度とこのようなことがないようにと協議してきたので、今回のケースは誠に遺憾と言う思いだ。夕張市が立ち上がろうとしている時に、市民の不安が募れば再生に水を差す。市立診療所の開設者として総括が必要だ。
本当の市長発言と較べると抜けている部分もあるでしょうが、大意としてこんなものと考えてよいかもしれません。素直に読んで、今回の報道で取り上げられた件に対して強い批判を行なっていると解釈しても間違いではなさそうです。前回と今回とはややニュアンスが異なりますが、どちらも首吊りでの自殺患者の受け入れ問題です。

市長の発言は自殺患者を「万難を排してでも救急として受け入れろ」の御趣旨と受け取っても差し支えないと考えられます。前回の時に遺漏が生じない様に対策を立てたというのに、今回のような事が起こった事は心外であるとコメントしているとも思われます。

市長としてのお言葉は市としての方針そのものですから、公設民営であるとは言え市立病院であり、補助金を受け取っている夕張希望の杜診療所としても傾聴する必要があると判断できます。どれほどの補助金を受け取っているかですが、これはskyteam様の【北の聖地、夕張】産経も共同も共犯に村上氏の言葉が掲載されています。

夕張市立医療センターは今期の全職員ボーナスゼロが決定しました。 ボーナスを出すには現金1500万円必要ですが、 それを出す現金は手元になく、出すなら銀行から借りることになります。

 銀行はもう貸してくれないと思いますが、、。 こんな経営状況です。 現在、色々な経営指標の数字を出すよう事務と作業していますが、 かなり厳しい数字が出ることは間違いありません。

 この事実を市民は知りません。 夕張市職員の給与をアップする為の57億円の予算計上案。 これは市民は知っています、、。

 一方で、夕張市には地域医療維持のための交付税が年間約6000〜7000万円出ています。 このお金は市職員のボーナスにはなりますが、医療従事者のボーナスにはならないのです。 この事実を市民は知りません。」 

交付金として6000〜7000万円ですから大きな金額です。もっとも医療従事者には全部は回らないようで、そのせいかどうかはわかりませんが、4人いた医師が村上氏だけに減っているようです。夕張市全体も困窮している状態ですから、財政の細かいところには突っ込みませんが、夕張希望の杜診療所の存続は夕張市の意向が大きいのは間違いありません。

村上氏にとって誠に不本意だとお察ししますが、市長がこれほど強いコメントで指弾されていますから、これは素直にメッセージとして受け取るべきかと思います。形としては二度にわたる「不祥事」にあたりますから、責任者として潔く引責辞職されることをお勧めします。後任の心配もあるかもしれませんが、それは市長が考える問題です。

「良禽は木を択ぶ」とも言います。人は求められるところで働くのが一番の幸せかとも思います。なかなか求められる所を見つけるのは難しいですし、また仕事場を変わるのも容易ではない時もありますが、今回は大きな転機のように見えます。行政が求めていない事が明瞭になった所に、しがみつくのは未練とも思います。

それと村上氏が存分に能力を揮える所を用意できると自信がある地域・医療機関があれば、一刻も早く招聘に動かれる事をお勧めします。なんと言っても村上氏が僻地医療にかける情熱は周知の事です。そういう人物ですからクセはあるでしょうが、使いこなせれば大きな成果をあげる事も期待できます。

そうそうはない好機ですし、村上氏はこの世に1人しかいませんから、出遅れて後悔しないようにして下さい。