原口ツイッター

口蹄疫関連のメディアの扱いが小さい理由について、何らかの報道管制が行なわれているのじゃないかの噂がありました。理由は不自然なぐらい地味であるという事です。つうても根拠があるわけではなかったのですが、こんなツイッターが出ています。

原口総務大臣の発言であるとかなりの確率で推測できるとされます。ちょっと短いのでわかりにくいのですが、この前の流れは、

    1 : アカグツ(dion軍):2010/05/09(日) 20:12:56.30 id:qXh+guTg
    Twitter / Red: @kharaguchi おはようございます。ところで ...
    2010/05/09 05:37 Twitter

    @kharaguchi おはようございます。ところで大臣、ネット上でも広がっていますが口蹄疫の政府対応は後手後手ではないですか?しかも農水大臣が優雅に外遊していたことをどうお考えですか?

    Twitter / 原口 一博: @redmaximum  ありがとうございます。後手 ...
    2010/05/09 05:51 Twitter

    @redmaximum ありがとうございます。後手ではありません。発生後、すぐ私は指示をしています。風評被害が大きくなれば、さらに大きな被害となります。畜産と言う産業の性質上の問題もご考慮ください。

こういう流れから

    発生後、すぐ私は指示をしています
これは報道管制であると噂されています。非常に情報が乏しい状態なのと、私がツイッターをよく理解で来ていないので、さらに前後の流れがよく分からないので、原口大臣のツイッター上の発言の真意や解釈の根拠や信憑性については「今、そういう風に噂されている」レベルであるのはお断りしておきます。現時点では状況証拠から「もっともらしい」以上はよく判らないにしておきます。

原口ツイッターの信憑性はその程度なのですが、今日のお話は信憑性を追及出来ないので、報道管制はあると仮定して進めます。またその報道管制は口蹄疫対策の中の、マスコミ関係者に限らず関係者以外が感染地域に入る事を規制されている事と別の事柄と解釈します。


ところでなんですが、今の日本で本当の意味の報道管制は出来ないはずです。いくら総務省が放送行政の元締めであっても公式には出来ないはずです。出来るとすれば報道管制ではなくて報道協定になります。報道協定として有名なものとしては、誘拐事件発生の時の警察とマスコミの間で結ばれるものがあります。これは調べてみるとかなりキッチリしたもので誘拐事件等に関する報道の取扱いについて(例規)として規定されています。

報道管制と報道協定の違いは、報道管制が法に基いて規制され違反者には法による罰則が下されるのに対して、報道協定はあくまでも自主的な紳士ルールであることです。違反者に対しても仲間内の村八分的制裁があるにせよ、自主的な紳士協定ですから法による罰則はありません。

警察の報道協定はかなり細かく規定されているようですが、警察以外でも報道協定が結ばれる事はあるそうです。wikipedia程度の情報ですが、皇太子殿下のご婚約の時の情報にも協定が結ばれたそうです。警察との協定みたいな内容であったかは確かめる術はありませんが、事態に応じて報道協定が行なわれる事ぐらいは確認できるとして良いでしょう。

警察との報道協定ですが、これはwikipediaがわかりやすいので引用しますが、

報道協定が結ばれた場合、マスメディアは事件に関する報道を一切しない代わりに、警察は入手した情報、捜査の経緯、過程を無協定状態よりもマスメディアに公表しなければならない。この状態は警察からの要請で仮協定が発効となり、警察本部と記者クラブの会議による本決定によって、報道協定が解除されるまで続けられる。警察は事件捜査中に情報が世間に公開されて犯人を刺激することを防ぐことができ、またマスメディアは協定解除後に警察捜査に関する情報を元に記事を発信することができるため、双方にメリットがある。

報道を伏せる代わりにマスコミ側は普段以上の情報提供を受けるものとされています。これは報道協定による不利益を補うものであると考えても良さそうです。つまり報道が可能になった時により詳細に事実を報道するためと解釈できます。で、いつになったら協定が解除されるかですが、

  • 人質が安全に保護された場合
  • 人質の死亡が確認された場合
  • 事件にかかわった犯人が全員逮捕された場合
  • 事件が長期化した場合に、警察本部と記者クラブの会議の中で解除を認めた場合

つまりと言うほどではありませんが、報道協定は事態が報道を行なうことにより大きな不利益が起こる危険性があるときに結ばれ、期間は限定的であるとしても良さそうです。誘拐事件などは非常に分かりやすくなります。


今回の口蹄疫で報道協定がどうも行なわれているらしいのは判ります。これはどういう懸念で協定が結ばれたかに関心が寄せられます。関心を寄せるも何も原口大臣が「風評被害」のためと明言していますから、理由はそれと考えるのが妥当です。つまり懸念された重要問題とは、

    マスコミが報道すると風評被害で畜産業界が大打撃を受ける
「確かにそうだ」と素直にうなづいてしまうのですが、もう少し考えると、原口大臣はマスコミを酷評している事がわかります。報道協定は自主的な紳士協定により報道を伏せる事ですが、報道を伏せる以外の選択として「冷静な報道」をお願いするという路線もあるかと思います。しかし「お願い」では風評被害の抑制は不可能と判断したので、報道協定が必要と判断したと解釈するのが妥当でしょう。

つまり「マスコミは信用が置けない」と言っているのと同じように感じます。そこまで言われて報道協定を結ぶのもなかなかの記者クラブです。既製マスコミへの信用の低さは、ここまで来たかと感じてしまうところです。


さてなんですが、報道協定の内容はどうなっているのでしょうか。誘拐事件であるなら関係者は少ないので、事件全体が伏せられます。伏せられる期間もわかりやすくて上述した通りです。しかし口蹄疫問題はそれほど単純ではありません。関係者の広がりは、

関連が深いところでも、これぐらいはすぐに思い浮かびます。波及する範囲まで考えると、関係者はさらに多くなります。地域も宮崎に現在のところは限定されているようですが、感染の拡大が隣接県に波及してもおかしくない状態になりつつあります。消毒薬問題一つとっても国際問題にもなりかねない状態です。これらをひっくるめて協定で伏せるのでしょうか。

それと期間の問題もあります。感染が小規模に終息してくれれば、GW明けにも「こんな事がありました」と協定を終了して報道する事も可能でしょうが、現在も鰻上りに処分される牛や豚の数が増えています。これがどれだけ拡大しても協定は健在なのでしょうか。

口蹄疫対策は昨日も少しだけ調べてみましたが、結果からも順調とはとても言えない状態のようです。対策費も100億円なんて数字が4/20頃に出ていましたが、これは10年前の小規模流行の時の対策費用であり、60倍以上に被害が広がればさらなる対策費用が必要になると考えるのが妥当です。単純に60倍になるかどうかはわかりませんが、補正予算レベルの対策費になってもさほど不思議とは思えません。

そういう事態になっても延々と報道協定は生き続けるのでしょうか。


もう一つ不可解なのは赤松農林水産大臣の外遊です。表現として報道協定を結ぶほど深刻な事態であるの表現を使っても良いと思います。実態がどうなっているかなんて知り様がありませんが、報道協定はそうそう安易に乱発されるものではないと考えています。報道の自由の原則に反して結ばれる協定ですから、一種の緊急避難みたいなものと考えています。

緊急避難的なものですから、報道協定を結んだとしても可能な限り短期にするというのが大原則だと思います。そうなれば協定を結ばせた当事者は、これもまた可能な限り短期に、協定を終わらせる状態にする努力が求められると考えます。口蹄疫問題は国家レベルの対応が求められる問題でもありますから、所轄大臣は陣頭指揮でこれに当たるべきものであると考えるのが妥当です。

外遊するほど余裕があるのなら、果たして報道協定を結ぶほどの重大事態であったかどうかの問題が問われそうな気がしてなりません。現在判っている範囲では、4/20に口蹄疫発生が公式に報告され、4/22には衆議院農林水産委員会でこの問題が取り上げられています。そして4/30には赤松大臣は外遊に赴かれています。

所轄大臣が外遊に行くぐらいですから、4/30時点で農林水産省だけではなく、政府の判断は「口蹄疫問題は終息確実」としたと考えられます。報道協定を続行しながら、所轄大臣が外遊に赴くとは少々話が逆立ちしていると感じてしまいます。

もっともなんですが、報道協定を要請したのは原口大臣であり、総務省であるから、農林水産省は関与していないの論理は出てくるかもしれません。つまり報道協定については赤松大臣も農林水産省も全く関知も関与もせず、原口大臣及び総務省が勝手にやったの理屈です。

「そんなアホな」と言いたいところですが、現在の政府ならありえそうで怖いところです。ここはもう少し考えたいところですが、報道協定は本当のところ誰と誰との間に結ばれたのであろうかと言うところです。一方はマスコミであるのは誰でもわかりますが、もう一方が誰かと言う事です。原口大臣がどうも関与しているのはわかりますが、なぜに原口大臣が口蹄疫問題の報道協定を提案し結んだかです。

ここで考えられる可能性として、

  1. 原口大臣の独断としての要請
  2. 赤松大臣の要請を受けての原口大臣の要請
  3. 政府としての判断で原口大臣がマスコミの所轄官庁の大臣として要請
このうち2.はなんとなく可能性が低そうに思います。あるとしたら、1.か3.ではないかと思われます。1.は本来あるはずもないのですが、現政府なら可能性は多分にあるのは上述した通りです。本来であれば3.なんですが、どんなものでしょうか。

それとおそらくですが、報道協定は協定が結ばれている間は、協定の存在も口にしないのが紳士ルールじゃないかと思われます。これも上述しましたが、報道協定は報道の自由に反する緊急避難みたいなものであり、目的はともかく報道協定が存在するから報道できないと「報道」するのはあまり好ましい展開とは思えません。

つうか誘拐報道を例にしてみれば、事件がある事が明らかになった時点で協定は有名無実になります。協定の存在が明らかになると言う事は、事件も明らかになっていると言う事ですから、協定自体の存在意義が疑われそうな気がします。もっとも誘拐事件と口蹄疫問題では問題の質が違いますから、口蹄疫問題では「報道しても良い範囲」が定められているのかもしれません。だから協定の存在を暴露しても構わないとの判断は考えられます。


口蹄疫問題はまったく報道されないわけではありませんから、誘拐報道の様に完全封鎖でない事はわかります。ですから報道協定は「報道しても良い範囲」が定められているとの推測は成立します。問題はどの範囲がダメなのかになります。常識的に考えて対応の不手際は報道できる範囲と思うのですが、ここまでの報道ではそうではないように感じます。

「報道しても良い範囲」を推測してみると、政府が発表する範囲についてのみ許されるに見えています。政府が発表していない事は協定により報道不可みたいな内容です。ですから消毒液は全額国費で宮崎に十分配布したの報道は行なわれても、実は一箱も届られていなかったは協定では伏せられると言うわけです。


それと誘拐報道時には普段よりマスコミに情報を豊富に伝えるものとなっているようですが、今回の報道協定でも同様かと言われると限りなく「???」が付きます。報道協定解除時は伏せられていた情報がどっとあふれ出すのがどうしても想像できないからです。推測しているような報道協定があったとしたら、お手柄は許可されて報道され、一方で不手際は伏せられていると考えるのが妥当です。

お手柄報道でさえこれだけ少ないのですから、不手際事実は多いと考えるのは可能で、そんな事を参議院選挙を控えるこの時期に解禁するなどは想像もつかないと言い換えても良いと思います。それでもマスコミサイドが協定に参加しているのは、総務省が怖いというのもあるかもしれませんが、それなりの見返りがあるんじゃないかの憶測さえ出てきます。

官房長官野中広務氏が官房機密費だったかな、これをマスコミ対策にかなり費やしたとの報道がありましたが、今回も協定を遵守する見返りに行なわれているんじゃないかの邪推も広がってしまいます。

既製マスコミを協定で抑えこんでも、現在は草の根のネット情報があります。残念ながらネット情報は玉石混交のところがあり、どこまで信用できるか、どこからがデマなのかの見分けはかなりの慎重さを要します。たとえば天漢日乗様もかなり怪しいんじゃないかとしていますが、2ch情報にこんなものもあります。

    780 :日出づる処の名無し:2010/05/05(水) 01:11:10 id:MpMguVul
    某地方局勤務の身内が遅まきながらのGWで帰省。
    口蹄疫問題に関してあまりに報道が少ないのを聞いたらキー局からストップがかかってる模様。
    ただし現場は報道したいスタンス。上からの指示待ち。
    局内では、赤松が外遊から帰国したらガンガン対策出してまるで救世主扱いのように報道するよう指示くるんだよ…と
    失笑中だそうです。

    791 :日出づる処の名無し:2010/05/05(水) 01:26:49 id:MpMguVul
    上からの指示が呆れるような指示ばっかりで現場の人たち
    かなり疲れてるらしいです。
    なにせ呆れる指示は民主政権からではなくて麻生政権から
    ずっとですから。
    だから今回の件も自嘲を込めて失笑って感じらしいです。

    797 :日出づる処の名無し:2010/05/05(水) 01:31:46 id:MpMguVul
    あ。ガンガン対策って書いたのは局内の人達が言ってる事で本当に対策するかどうかは判らないです。
    民主政権の事だから、対策した事だけを大袈裟に報道したら初動の遅れやらなんやら、全部隠せると思ってるんじゃない?
    なんて話がずっとされてるそうなので。
    実際に身内も、そこまで国民もバカじゃないと思うし、第一に報道しなかった自分達も叩かれるって上は判ってないよ…と愚痴ってました。

デマであると一笑に付したいところですが、デマであると明快に否定する材料もまたありません。

情報は煽動的な過剰報道により物凄い風評被害を招くのは周知の通りです。しかし風評被害を錦の御旗にして情報を押さえ込むと、不確実な情報から不要な憶測がデマとなって広がっていくのも情報の一面です。そこをコントロールするのは非常に難しいのですが、今回の報道管制はどうもひたすら押さえ込むことを主眼にしている様に感じられます。

しかし押さえ込めるのは主要マスコミだけであり、草の根のネット情報は漏れます。ネット情報は上述した通りに玉石混交で情報の真偽を判断するのは大変です。通常は真偽の判断に「まだ信用が置けるかもしれない」とされる、マスコミ報道や政府発表を参照にして、両者を照らし合わせながら真相はこの辺ではないかと分析するのですが、今回は殆んど出てきません。

さらに言えば、あまりにも出て来ないので原口ツイッターの情報管制の話もすぐに信用されますし、政府は何か大きな隠し事をしているんじゃないかの疑惑ばかりが大きく膨らむ状態です。どれぐらいネットであっても口蹄疫問題が広がっているかも把握するのは難しいのですが、そろそろかなり多くの人間が宮崎で起こっている事は「深刻な事である」の認識が、不確実な情報とともに広がっていると感じられます。

私も疑心暗鬼に囚われ始めている人間の1人です。私だけでなく疑心暗鬼に囚われ始めている人間は急速に増えているんじゃないかと思っています。そんな状態が行き着けば、今度は疑心暗鬼を駆逐する情報を出しても信用されない状態が来そうで怖いところです。

現地の状態は情報不足で断片的にしかわかりませんが、情報操作の小細工で糊塗出来る段階はもう過ぎ去ったんじゃないかと思わせるものがあります。これもそう漠然と感じるだけで、肯定するにせよ、否定するにせよ、これを裏付ける信用が置けそうなソースは何も無いのが今回の問題の凄いところと考えています。