予想通りと言うか、当然のように民主党の小沢幹事長が、検察審議会で起訴相当の議決を受けた事が大きなニュースになっています。今回の小沢氏の疑惑については推定無罪の観点から直接触れません。今日、触れるのは起訴相当の議決と全く離れた枝葉末節が気になったので「教えて君」状態のエントリーとご理解下さい。
まず4/27付MSN産経からですが、
小沢氏に審査の請求を行なったのは「市民団体」である事がわかります。続いて4/27付タブロイド紙ですが、
一方で、小沢氏については「虚偽記載をする本人の意思や、石川議員らとの共謀を立証するだけの証拠はない」として不起訴処分としたため、この事件で小沢氏を告発していた市民団体が処分を不服として審査を申し立てていた。
どうやらこの市民団体は小沢氏の告発も行なっていた事が確認できます。検察審査会も良く聞きますが、あんまり良く知らない機構なので、検察審査会法2条2項を確認すると、
検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者(犯罪により害を被つた者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)の申立てがあるときは、前項第1号の審査を行わなければならない。
え〜と、検察審査会に審査を請求できるのは、
- 告訴若しくは告発をした者
- 請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者
- 犯罪により害を被つた者
告発した「市民団体」が検察審査会に審査を請求しても問題は無いのですが、市民団体とはえらい漠然とした表現です。検察審査会に審査を請求した者の身許は公開情報なのか、それとも非公開情報なのかの素朴な疑問が出ています。検察審査会の制度にそんなに詳しくないのは上述した通りなのですが、参考までに明石の歩道橋事故ではどうだったかを神戸新聞で確認してみると、
歩道橋事故の七遺族十一人が二十一日、当時の明石署副署長(62)の不起訴処分を不服として、神戸検察審査会に三度目の審査を申し立てた
またJR西列車事故では2009.10.22付神戸新聞に、
審査は8月21日、20遺族35人が申し立てた。
申し立てた者は遺族であり、遺族の数も妙に詳細に報じています。それに対し小沢氏の報道では漠然と市民団体となっています。ここについては、申立人の意志が関与している可能性は考えられます。明石の歩道橋やJR西列車事故では、申立を行なった遺族が記者会見を行なって意志を表明していますから身許が判明したとの解釈です。
別に申立を行なった者が記者会見を行なわなければならない義理はありませんから、小沢氏のケースは無かったから報じていないと考える事もできますが、それでは漠然であっても申し立てた者がなぜ「市民団体」であるか判明したかの疑問が残ります。また明石の歩道橋事故やJR西列車事故では、記者会見があったにしろ、申立人の数が妙に詳しすぎるのも気になるところです。
それとタブロイド紙記事をもう一度引用しますが、
この「」付きの引用部分は、どこから情報を得たのでしょうか。マスコミのルールとして「」付き引用の部分は、取材を受けた者の発言を直接引用したものとされます。そうなればソースとして考えられるのは、- 市民団体が記者会見を行なった
- 申立書の中にこの記載があった
- 議決書の中にこの記載があった
- 記者会見はあったが、市民団体名を報道するのを控える様に要請されそれに従った
- 申立書の中の申立人は「市民団体」と記載されていた
- 議決書の中の申立人は「市民団体」と記載されていた
- 市民団体名をマスコミは知っているが、編集権によりこれを報じるのを控えた
当検察審査会は、上記申立人の申し立てにより審査を行い、検察官の意見も聴取した上、次のとおり議決する。
どうも被疑者の上に「上記申立人」の名前が書いてありそうな気配です。もうちょっと頑張ってググると、4/27付MSN産経ニュースに神戸新聞画像で切れていた部分が確認できます。
(氏名) 甲
その上が切れていますが、ここは申立人の氏名と考えて良いかと思われます。そうなると議決書には申立人の身許は明記されていないと推測されます。そうなるとマスコミはどうやって申立人が「市民団体」である事を知ったのかになります。答えとしては、検察庁なりの記者会見で、マスコミ側から「申立人は誰か」の質問があり、そこは伏せておかなければならない情報であるので、検察庁が漠然と「市民団体」と表現した可能性はあるとは考えられます。
そういう答えが正解かどうかをこれ以上判断する材料がありませんでした。あんまり面白いお話でありませんでしたが、どうも不調なので埋め草程度の軽いムックと言う事で御了解下さい。